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82話 訪問 1


「それではシグルドさん、私はこれで失礼しますね」


「ああ、気を付けて帰れよ」


「はい、それではまた」


 何気ない優しい言葉をシグルドさんは掛けてくれた。こういう見た目の人が「気を付けて帰れ」なんていう言葉を発するとはとても思えないだけに、その優しさは嬉しかった。



「はあ、冒険者ギルドに行って本来なら、従業員の応募のことだけを聞いて帰るだけのはずだったのに……」


 その後にカミーユに脅されて、そのまま冒険者会議も見学することになってしまった。体力的にはともかく、精神的にはとても疲れた。その原因は、間違いなくカミーユ・シェイドという魔導士にあるんだけど。


「アイラ様、ご安心ください」


「えっ?」


 と、そんな時、私のことを交代制で警護してくれている五芒星の内の二人が、インビジブルローブを外して私に話しかけて来た。


「もしも、あの者たちが襲って来たとしても、我々が必ずあなた様をお守り致します」


「どうぞご安心ください」


「あ、ありがとうございます。本当にすみません、私なんかの為に……」


「いえ、お気になさらず。それに、アイラ様はこの国にとっても宝でしょうから」


「いや、そんなことは……」


 普段は話しかけて来ないけれど、彼女たち二人は私を守ってくれると、安心の言葉をくれた。でも、実際の実力差はどうなんだろうか? 冒険者ランキングトップ5に属している人達に、いくら五芒星でも渡り合える……? 確か、武闘派のライハットさんがシグルドさんよりも遥かに弱いって言ってたくらいだし。


 その辺りのことは、いずれ聞いておいた方がいいのかもしれない。



------------------------------



「あ、あの……! すみません……!」


「えっ? 私ですか?」


 桜庭亭に到着し、中へ入ろうとした時……私は声を掛けられた。聞き覚えのある声だ。すぐにそちらに振り返ると……。


「あなたは確か……サイフォスさん、でしたっけ?」


 確かそんな名前だったはず。可愛げのある弱気な態度……それでいて、冒険者ランキング5位のチームリーダーをしている強者だって、サイモンさんが言っていたはず。格好は一般的な冒険者の正装って感じだけれど、回復魔法がどうのとかカミーユが言ってたし、神官に属する人なのかな?


「用件は、私にですよね?」


「はい、その通りです。先ほど、お会いしたと思いますが、サイフォス・マッケンローと言います。よろしく、お願い致します!」


 サイフォスさんは19歳だったはず……まあ、同年代だけれど、こんなに丁寧に挨拶されたら恐縮してしまう。私も慌てて頭を下げた。


「い、いえ……ご丁寧にどうも!」


「い、いえ……」


「は、はあ……」


 なんとなく微妙な雰囲気がお互いに流れていた。しかも、桜庭亭の前で……未亡人のアミーナさんが私達を見ている気がする。念のため、中を確認するけどそんなことはなかった。


「それで、用件はなんでしょうか?」


「は、はい……! アイラさんのお店のアイテムを見せていただけないかと思いまして」


「それだけですか……もちろん、構いませんけど」


 いきなりサイフォスさんに話しかけられた時は、何事かと思ったけれど、単純にエンゲージの品揃えを確認したいということだった。


 冒険者ランキング5位の方に見てもらえる……それは大変、光栄なことだ。今は「アルデバラン」の他のメンバーは居ないみたいだけれど、顧客になってくれれば、私としてはとっても嬉しいしね。私は喜んで彼を桜庭亭に通すことにした。


 まだ、一抹の不安を覚えることもなく……。

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