80話 冒険者会議 1
「アイラちゃんにとっても良い刺激になるかもしれないぜ? 見学だけでもしていくといい」
「見学ですか……?」
そう言われて、私は冒険者ランキングトップ5の人達で行われる会議を見学することにした。冒険者会議とは言っても、丸いテーブルに5人のリーダー格の人が座って、その周囲をその仲間たちが囲んでいる状態だ。私はとりあえず、シグルドさんの後ろに立つことにした。
「あの、サイモンさん……冒険者会議って、何を話し合うんですか?」
「まあ、それぞれのチームの近況報告が一般的だな。新たなダンジョン発見や素材の報告、危険な魔物の報告だったりもあるから、ギルドや王国にとっても有意義な会議なんだよ」
「なるほど、そうなんですね……」
よく見ると、ホーミング王国の執政官? みたいな人も居るし、あとでクリフト様たちに報告されるんでしょうね。少しだけ、冒険者と王国の繋がりが分かった気がする。
「ぼ、僕がこのテーブルに座るなんて……そ、その、本当に良いんでしょうか……?」
明らかに気弱な態度の少年っぽい人が、テーブルに座っていた。シグルドさんとは真逆な印象だけれど、このテーブルに座っているってことは、リーダー格なのよね。
「冒険者チームアルデバランのリーダー、サイフォス・マッケンローだ。年齢は19歳、性格は気弱に見えるがあれでも、冒険者ランキング5位のチームを束ねている」
「へえ、凄いんですね~~」
彼は、隣に座っているカミーユ・シェイドに絡まれていた。
「ねえ、あんたさ。回復魔法が得意な神官なんでしょ? 私達のヘビーメタルに入らない? 給料は高くしとくわよ?」
「え、そ、それは……」
「なによ、はっきりしなさいよ!」
絡まれているというか、強引な勧誘を受けていた。サイモンさんも彼女の横柄な態度にはため息を付いている。
「冒険者ランキング4位のヘビーメタルのリーダー、カミーユ・シェイド。年齢は24歳。まあ、実力は折り紙付きの魔導士だが、性格がな……」
「はい、それは先ほどのやり取りで痛感しました……」
出来れば二度と関わりたくないタイプの人だ。それから、カミーユとシグルドさんの言い合いを止めた女性がその隣に座っている。重武装は兜だけ外されていた。やはり女性だ。
「冒険者ランキング3位、聖獣騎士団のリーダー、アルファ・ルファだ。年齢は27歳、騎士道精神の溢れる人物で、ロンバルディア神聖国出身の騎士でもあるな」
「へえ、そうなんですか……」
ダブルワークってことかな? 視線はシグルドさんとは別の意味で怖い。なんというか、軍隊教育をさせられそうなイメージとでも言えばいいのか。彼女はシグルドさんの方向を見ていた。
「シグルド……お前はいつまで、シングルプレイをしているつもりだ?」
「あ? なんでお前にそんなことを言われないといけないんだ?」
性格的には衝突しそうな二人だ……この二人が喧嘩したら凄いことになりそう。
「もう知ってると思うが、シグルド・バーゼル、28歳。彼は単独で2位の位置まで来ている。これは通常ではあり得ないことだ」
まだ1位の人達? が来ていないけれど、このサイモンさんの説明だけで、シグルドさんの立ち位置を再確認することが出来た。トップクラスという噂は本当だったのね、ていうか単騎だったら最強ってことかしら?
私のお店に直接関係ないかもしれないけれど、顧客など増やせる機会かもしれない。私は冒険者会議に出れたことを今後に活かすつもりでいた。




