表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/286

79話 冒険者ギルド 2


「アイテムの重要性は高いと思うんですけど……」


「はあっ? 何言ってんの、こいつ?」


 生意気な小娘が反論してきた……そのように感じたのか、カミーユはあからさまに目つきが変化していた。私はその迫力に、思わず仰け反ってしまう。


「アイテム士なんか、優秀な魔導士の前ではお荷物でしかないんだけど? 命の掛かってる冒険で、戦闘能力にも期待できない回復要員って邪魔でしかないしね」


「アイテム士……」


 私は先ほどから彼女が言っている、アイテム士という言葉に違和感を覚えていた。


 そう、アイテム士という言葉は私としては初耳に近い。冒険者の中ではもしかしたら、錬金術士や薬士のことを、アイテム士と言うのかもしれない。アイテムを作って供給する係……まあ、そのまんまだけど。


「回復魔法にしても、腕の立つ教会出身の神官を同行させればいいのよ。アイテム士の立つ瀬ってこの時点でないじゃない? そう思わなくて?」


「は、はあ……」


 物凄く高圧的な態度だ。こういう態度は、一部の貴族にもされたことはあるから初めてってわけじゃない。ただ、一番の違いは……カミーユの物理的な強さだ。この人はおそらく、物凄く強いはず……五芒星の護衛が私には居るけれど、彼女たちでもおそらくは敵わないくらいに。


 私はその場から逃げ出したい欲求が出て来てしまった……私、一般人なんだし、そろそろ勘弁してくれないかな~っていう。


 と、そんな時だった。


「アイラか? 何やってんだ、こんなところで?」


「シグルドさん……!」


 天の助けのような瞬間だった。普段はその鬼のような形相と気迫で、恐怖すら感じてしまう人だけれど……なんだか今は、天使の降臨のようにシグルドさんに近づきたい思いだった。


「えっ、どういうこと? この小娘ってシグルドの女なの?」


 カミーユの様子が変わっている。私とシグルドさんを交互に見比べながら、おかしなことを言っていた。兄妹とかなら、まだ分からなくもないけど、恋人同士にはあんまり見えないんじゃないかな?


「どういう目をしているんだ、お前は……」


 案の定、シグルドさんは物凄く呆れたようにため息を付いていた。ここまで完全否定されるのは、それはそれで良い思いはしないけど、まあ、私のことは恋愛対象に入ってないでしょうしね。


「はあ? じゃあ、どういう関係だってのよ?」


「……この女は俺の必要とするアイテムの供給源だ」


「へっ? あ、あははははははははっ!! マジで? ちょ、ちょっと勘弁して……お腹痛い……!」


 カミーユは大胆なスリットの入ったドレス姿のまま、腰をくねらせて笑い出していた。いやらしい物が見えそうで、私は緊張してたけど、冒険者の何人かの視線は明らかにその「いやらしい物」を見ようと必死だったのは見過ごしてない。


 シグルドさんは予想通りというか、そういう視線を送っていた男性冒険者の枠からは外れていた。この人、なんだかんだ言っても美人な人を見慣れているだろうしね。


「あの単独行動で冒険者界隈を賑わせていた、シグルド・バーゼルがまさか、こんな小娘の店を利用するようになってたなんてね……あはははは、ホントにお腹痛い……! ひょっとして、ロリコンに目覚めたんじゃないの?」


「……」


 年齢的に言えば、シグルドさんは28歳、私が17歳だから別にそこまで離れているわけじゃない。これは完全にカミーユの挑発なんだろうけど、シグルドさんは無言になっていた。


「役立たずのアイテム士なんかお抱えして、あんたもいよいよ限界が見えて来たんじゃないの? な~にが実力の上限を知りたいよ、格好つけた割には雑魚だったんじゃない」


 上限を知りたい、か。それって多分、シグルドさんに言っているのよね? 私もまあ、同じようなことは考えたことあるけれど。いえ、現在進行形で考えているかな。


「どうでもいいが、こいつにとってアイテム士という言葉は聞き慣れんだろう。錬金術士と呼んでやれ。それから……お前は錬金術士の重要性を低く見積もり過ぎだな」


「はあっ!? あんた、喧嘩売ってんの?」


 シグルドの冷静な返答に、カミーユは激昂したみたい。彼女の周囲を取り巻いていた雰囲気が一変した。彼女の冒険者仲間二人も傍らから早急に退避していた。こら、あんたらは何とかする側でしょう?


 アイテム士=錬金術士っていうのが分かったのはいいけれど、この雰囲気は正直、今すぐにでも逃げたくなる……。


「そこまでだ。シグルド、カミーユ! サイモン殿も困っているだろう!」


 また私の知らない冒険者パーティが現れた。重武装をしているけれど、二人に話しかけたのは女性だと思う。4人パーティかな? 全員、重武装をしているわ。


 多分、シグルドさんとカミーユに意見出来るということは、トップ5に入る冒険者ってことよね。なんだか、ギルド内がどんどん危険なんだけど、安全地帯になって行っているような気がする。今、強盗とかが入ってきたら瞬殺されるでしょうね……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 冒険者ギルドに強盗って・・・・・・・・どんな命知らずですか?
[一言] しかし馬鹿な女ですねぇ。こいつもしかしてちょっとした怪我とかも全部回復魔法とかで治してたのかな?そりゃ短期間のダンジョン探索とかならそれでも良いかもしれないけど、長期間の探索とかになってくる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ