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71話 ユリウス断罪 3 (ユリウス殿下視点)


(ユリウス殿下視点)



 ま、不味い……! どうすればいいのだ? ローランドとエミリーの二人は、現段階ではアイラとの売り上げ勝負で、近い勝負すら出来ていない! くそ、あれだけ自信を持っていたはずなのに、役立たずめ! シンガイア帝国からの物資の調達のみならず、私の資金まで大量に使っておいて……。



 それとも……やはり、3大秘薬の全てを調合出来るアイラが異常なだけなのか? キース姉弟は世間一般、シンガイア全域で見ても最強クラスは変わりなく、それを超してしまったアイラがおかしいだけだと。何がなんでもアイラを認める以外にはないというのか……?



 いや、それだけは駄目だ……それを認めてしまえば、理不尽な理由で彼女を追放した私の罪も認めることになってしまうからな! まだだ……まだ、なんとかなるはず……。



「聞いていらっしゃいますかな? ユリウス・ホーミング殿下」


「はっ、あ、ああ……もちろんだ」


「それであればよろしいのですが」



 議会の構成員は全てではないが、やはり刷新されているようだ。まず、私に話しかけて来た議長が、イゴール・ハンニバル公爵に代わっている。兄上寄りでもなければ、私寄りの者でもない……他に刷新されている面子も、大体は中立の判断を下せる者が多いようだ。


 くそう、これでは勢いとハッタリに任せた言い分が通ることはないだろう。以前よりも議会の構成員がまともな上に、私の背後には兄上とアイラの姿まである……状況は以前よりも不味いと言えるだろう。


「ユリウス殿下、あなたが切り札に考えていたキース姉弟の件ですが……」


「あ、ああ……」


 議長は早速、本題に入り始めた。最早、無駄な会話は必要ないということか。


「アイラ・ステイトとの売り上げ争い……現状で、かなりの差が開いているようですな。それこそ、倍以上の差が出ているとか」


「そ、それほどになっていたか、なるほどな……」


「知らないはずがないでしょう、あなたが」


「くっ……!」


 とぼけてみたが無駄だったか。冷静な突っ込みが入ってしまった。


「特に期間の定めがなかったとはいえ……これ程までの差が付いてしまっては、逆転も困難でしょう」


「ま、待ってくれ!」



 私は議長の話を遮るように、咄嗟に叫んでいた。


「期間の定めがなかったのだ! それならば、もう少し時間を見ても問題ないだろう!? なにを早急に話を進めているのだ!」


 そうだ、まだ何か月も経過していない。ここしか、貫けるポイントはない!


「まだ、数か月も経過していない! もっと長いスパンで見て、それから……!」



 キース姉弟が勝てなくとも、なんとか細工は出来ないものか? 例えば、キース姉弟の売り上げの水増しなどをして……。


「長い見積もりで見ても構いませんが、不正を行った場合の反動はちゃんと考えておいてもらいたい」


「な、なにを言っているんだ……私がそんなことをするわけがないだろう……!?」


「だといいんですがね……」


 議長は全く信用している様子がなかった。兄上やアイラにも目を向けたが、二人とも議長と似たような反応だ。こ、ここまでなのか……!?



「ユリウス殿下……もう、よろしいでしょう?」


「ユリウス殿下、これ以上、恥の上塗りはお止めください」


「オーフェン、テレーズ……!?」



 そんな時、議会の入り口から現れたのはオーフェンとテレーズだった。二人とも悲壮な表情で私を見ている。やめろ……私をそんな哀れみの目で見るな! やめてくれ……!



 私は気付いた時にはその場に崩れ落ちていた。最早、私には武器と呼べる物が存在しない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 崩れ去っていたより崩れ落ちていたとかの方が良いかも?ようはユリウス殿下が立っていられなくなった的なことなんだろうし。
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