70話 ユリウス断罪 2
ユリウス殿下はあくまでも平静を装っている……でも、明らかに私との会話に関しては動揺している様子だった。どうしたらいいのか、彼は考えているのかもしれない。
「こんにちはです、ユリウス殿下。お久しぶりですね、本当に」
「う、うむ……そうだな……」
「ここに私が居る理由は分かりますか?」
「な、なんだろうな……? はははは、キース姉弟と仲良く話しているようにしか見えんが」
「……」
ここに来て、まだしらばっくれているユリウス殿下に、私は大きくため息で返した。ケジメで断罪とか考えていたけれど、それすら馬鹿らしく思えて来る。あそこまで議会で啖呵を切っておいて……本当にこんな人が第二王子様で、大丈夫なんだろうか? クリフト様とは違い過ぎる。
「売り上げのことやで、王子殿下」
「え、エミリー……? わ、わかっている、そんなことは」
私への助け舟かしら? しらばっくれているユリウス殿下を現実に引き戻したのは、エミリーだった。私とは一応は敵同士のはずなんだけど、ここではユリウス殿下の味方は居ないみたいだ。
「売り上げの勝負、決着はついたと言いたいわけか? アイラよ」
「別にそんなことを言いたいわけじゃありませんけど。ただ、議会を納得させる材料が消えてませんか?」
議会には自信満々で、キース姉弟が勝つと言ってしまっている。でも今の段階では、キース姉弟の店が私に追い付く見込みはなかった。それは、ユリウス殿下もわかっているはずだ。
「ローランド、エミリー……お前たちは負けを認めるというのか?」
「いや、別に負けを認めているわけじゃないけどよ」
「今のところは負けてるのは事実やからな」
「そうか……まあ、議会には期間の定めは特にしていないからな。まだ、私が負けたことにはならんだろう。アイラ、残念だったな」
「はあ……」
子供みたいな言い訳だ……じゃあ、今後、1年くらい経っても私が勝っていたらどうするんだろう? それでもユリウス殿下は諦めないのかな? それではこの売り上げ勝負自体が、ただの茶番だったことになってしまう。私個人やキース姉弟にとってみれば、良きライバル店同士の争いでしかなかったけど、ユリウス殿下にとっては違うはず。
「そんな言い訳が通用すると思うのか、ユリウス?」
そこに現れたのはクリフト様だった。このタイミングで現れるなんて……ユリウス殿下の後を付けていたのかしら?
「あ、兄上……! 聞いていたのか……」
「クリフト様っ」
「ユリウス、議会がお前を呼んでいるぞ。アイラも済まないが同行してもらえないだろうか?」
私は昼休みなんだけど、この後のお店はライハットさんに任せてもいいのかな……? 流石にこの状況で行かないわけにもいかないし。
「わかりました、私も行きます」
「ありがとう、アイラ。さて、ユリウス……最早、以前のような言い訳は通じないと思った方が良いぞ。お前の切り札は使い果たしたようだし、議会の構成員の刷新も行っているからな」
「構成員の刷新……!?」
「ああ、気付いていなかったのか?」
クリフト様は裏で凄いことをしていた。つまりは、以前の議会メンバーとは異なっているということだろうか。もっと、公正な判断が出来る貴族が中心になっているとか? ますます、ユリウス殿下は窮地に立たされそうね……。




