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7話 薬屋「エンゲージ」

 こうして、クリフト王子殿下からの協力の約束を経て、宿屋「桜庭亭」の中にある薬屋「エンゲージ」が正式に決定することになった。



 この数日間はお店というより、宿屋のオプションとしての立ち位置だったと思うから。アミーナさんの宿屋の中にあることは間違いないけれど、一応は独立した個人経営の薬屋という体裁だ。アミーナさんが許可してくれた。



 アミーナさんとクリフト様には感謝しても仕切れないかな……受けた恩は、薬の売り上げ向上で返していくとしよう! 私はとても張り切っていた。




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「アイラ、調合用の素材を持ってきた……とりあえずの数ではあるが……」



「ええっ!? こんなにですかっ!?」



 調合用の素材供給を約束してくれたクリフト様は、その2日後から早速、運んできてくれた。護衛の兵士たちも手伝っているけれど……想定の3倍くらいはありそうな量だった。



「これだけの素材を、一体どこで……?」


「まあ、こう見えても一応は第一王子という肩書きで生活させてもらっているからな」



 答えになっているようでなってないような……クリフト様の持つ権力が凄いということだけは伝わって来た。おそらくは宮殿内……私も以前まで働いていた、錬金術に於ける最新設備のある施設からの調達だと思う。


 ユリウス殿下にバレたりはしないのかな? 確か今は貴族の錬金術士が3人で使用しているはずだけれど。クリフト様が議会を通して承認されていたと言っていたから、既に錬金術士は活動を開始しているはず。



「あのこの素材は、私が使用しても問題ないのでしょうか……?」



「ああ、大丈夫だ。何かあれば、私の名前を出せばさらに安全だろう」



 なんという心強いお言葉……クリフト様に逆らえる人なんて、王国中を探してもほとんど居ないわけだしね。



「よし、これで準備万端だな」



「はい、クリフト様」



 お店の名前も正式に付けたことだし……さて、頑張ろうかな。




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 私は楽しみながら、そしてアミーナさんやクリフト様に報いようと、そしてお客さんのニーズにも応えようと張り切って調合を開始した……。在庫切れにならないように、初日は徹夜して種類も揃えて……。



 それから、次の日の開店になったんだけれど……。



「種類が増えているな……すごい」


「な、なんなの此処は? 宿屋じゃなかったの……?」


「なになに、薬屋エンゲージだって? 宿屋の中に薬屋さんが併設してあるのか、面白いな。しかも、種類がすさまじい……」




 目薬や風邪薬、胃腸薬、初級回復薬から上級回復薬、毒消し薬などの各種状態異常回復系、火炎瓶、氷結瓶などの攻撃系から、ダークポーションなどの状態異常発生系のアイテムまで調合していた。流石に徹夜をすると眠気が凄いことになってるけど。



 お客さん達の笑顔があれば、眠気なんて吹っ飛ぶ……というより、その品揃えの多さに戸惑っている人々が大半だったような気がする。そして……言うまでもなく、どんどん買われて行き、それと同時に薬の効果についての質問の嵐となった。



 私が接客をしていなかったら、今頃、パンクする音が聞こえて来たと思う……。

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