69話 ユリウス断罪 1
「アイラちゃん! 今日はエリクサーと万能薬を貰おうか!」
「は~い、毎度ありがとうございます!」
「私達はエリキシル剤を貰えるかしら?」
「はい、畏まりました!」
お父さんとお母さんが私のところに訪ねて来て、2週間くらいが経過していた。本日も私は、従業員のライハットさんと二人で店の経営を行っている。シグルドさん以外の高名な冒険者も来てくれる頻度が上がったので、売り上げはさらに伸びている。
エリクサー、蘇生薬、万能薬にエリキシル剤……この4つのアイテムは特に高額で販売しているしね。強力な冒険者たちはそのクラスのアイテムを欲する割合が高い。だから、多めに作っても在庫になることはあんまりなかった。
そろそろ本気で、ライハットさん以外の従業員を何人か雇ってもいいかもしれない。かなり有名になって来てるし、募集をすればすぐに集まると思うから。より安定的で高収入を実現するなら、私は調合室に陣取ってた方が良さそうだしね。
「ライハットさん、そろそろ、従業員を増やそうかと思っているんですけど」
「従業員をですか? なるほど……確かに調合もしているアイラ殿の手間を省くという意味合いでは良いかもしれませね」
「ええ、ある程度の給料なら払えると思うし」
「はははっ、それは確かに……7万スレイブを即金で出せるアイラ殿ですからね」
「ちょ、ちょっと何を言ってるんですか……!」
「ははははっ、冗談ですよ」
ライハットさんとはこうやって軽口を簡単に交わせる仲にまで進展している。伯爵令息の偉いお方だけれど、もうそんな身分差はないと言っても過言ではなかった。
なんだか、毎日が楽しい……もちろん、忙しさもあるんだけど、その忙しさも私を成長させてくれてるんだと実感できる。
だから、成長した私は、しっかりとケジメを付けようと考えていた。本来なら、私は関わらなくてもいいかな……なんて思い始めていた事柄なんだけど。
ユリウス殿下への断罪……。
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「くそ……相変わらず、売り上げを伸ばしているみたいだな、お前!」
「なによ、ローランド。そっちだって、順調なんでしょ?」
「まあまあ、喧嘩はやめときや」
昼休みに入り、私はキース姉弟の元へと脚を運んでいた。時間にして1分もかからない距離にあるから、いつでも行くことが出来る。最近ではちょうどいい溜まり場と化しつつある。
「アイラの今月の予想売上は100万スレイブは楽に超えるみたいやな」
「まあ、そんなくらいだけど」
「ウチらはその半分がせいぜい良いところや。これはもう、完全敗北やな」
「くそう、まさかシンガイアから素材を調達までしたってのに、その上を行かれるとはな……」
二人とも悔しそうではあったけれど、私との売り上げ勝負は現段階での負けを認めてくれていた。それだけでも十分だ、私だって今後、彼らに負けないように努力を続けないと駄目なんだし。
「それで? ちゃんと呼んでくれたの?」
「ああ、呼んどいたで。まあ、ウチらに頼ってるところあるから、素直に来ると思うけどな……て、噂をすればやな」
エミリーの向いている方向、私もそちらに目をやった。近づいて来るのは身なりの良い人々……周囲は真ん中の人物を護衛する役目の人々だ。
「お久しぶりですね、ユリウス王子殿下」
「あ、アイラ……」
以前に会ったのは1か月くらい前になるかな? あの時……ユリウス殿下が滅茶苦茶な理論で強引に議会を納得させた時以来だ。現在のユリウス殿下の心境はどんな感じなんだろう……聴診器で聞けるのなら、当てて聞いてみたいくらいだった。




