64話 圧倒的 2
「完成~~~!!」
私はシスマの協力もあって、とうとう3大秘薬の最後の一つである万能薬を完成させた。これも彼女のおかげだ。国家錬金術士としての仕事の合間を縫うようにシスマは私の所へ来てくれている。
「はあ……とうとう、完成させたのね……」
「うん。これも、シスマが手伝ってくれたおかげよ! ありがとう、シスマ!」
もちろん、シグルドさん達の協力が大きいのは言うまでもない。でも、とりあえず私は、双性錬金を行ってくれたシスマにお礼を言った。流石にキース姉弟ほどの手際で双性錬金を行うことは出来なかったけれど、それでも他人同士の見様見真似にしては上出来だったと思う。
万能薬、エリキシル剤共に必要な分の数を揃えることが出来た。
「私は本当に、少しだけしか手伝えていないわ。あなたの手際の良さには、全くついて行けてなかったもの……あなたが、無意識なのか私の速度に合わせてくれていただけよ」
「シスマ、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ」
「本当のことよ、アイラ。あなたはもっと自分の能力を前面に押し出しても良いと思うけど……」
「いえ、十分に押し出してるんだけど」
昨日、アミーナさんの許可を取って、桜庭亭の前に巨大な看板の設置が完了した。
【薬屋エンゲージ! 3大秘薬とエリキシル剤の販売も致しております!】
と、初めて見た人にとっては誇大広告としか思えないだろう内容の看板だったりする。本日、万能薬とエリキシル剤が完成したので、その広告も真実になるわけで……私はこれでもか! と言わんばかりに自分の能力をさらけ出していると思う。
でも、シスマは首を横に振っていた。
「違うのよ、アイラ。あの看板なんて可愛いものじゃない。あなたがその気になれば、もっと大きな事だって出来そうなのに……それこそ、国家錬金術士に返り咲けばホーミング王国にどれだけの利益をもたらすか」
う~ん、流石に国家錬金術士に戻るつもりはないかな……色々あったしね。それにしても王国に対する利益か……まあ、私が居た頃は単に言われた物を作ってただけだったしね。今のアイテムを全て国の為に捧げたら確かに凄い利益を生むかもしれないけど。
ユリウス殿下のほくそ笑む顔が思い浮かんだから、それ以上は考えないことにした。
「とにかくこれで、アイテムは完成ね。万能薬は1万スレイブ、エリキシル剤は2万スレイブで売りに出そうか」
「ええ、そのくらいがいいんじゃないかしら。有名な冒険者の目に止まることは間違いないでしょうし」
私とシスマは作ったアイテムを早速、お店の棚に陳列していく。
こうして見ると壮観ね……エリクサー、蘇生薬、万能薬、エリキシル剤の4つのレアアイテムが並ぶなんて。シグルドさんクラスの冒険者でも、この4つのアイテムを同時に所有していることは、まずなさそうだし。そう考えると、シスマに言われた通り凄い気がする。
「……」
少しだけよぎってしまった……私は一体、どういう存在なんだろうか? と。いやいや、普通に首都カタコンベの西にある田舎町ルルブタウンで生まれた小娘ってだけだし。
ちょっとだけ感じてしまった不安……私はそんな不安を首を勢いよく振って払っていた。
「お邪魔します……あら、アイラじゃない」
「えっ……?」
そんな時、なんだか聞き覚えのある声が聞こえて来た。そして、もう一人……。
「アイラ、久しぶりだな。元気にしていたか?」
「母さん、父さん!?」
いきなりの両親の訪問に私は驚いてしまった。目の前には母さんこと、ニーニャ・ステイトと父さんこと、ジーニアス・ステイトの二人が立っていたのだから。




