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23話 ユリウスの計画 5 (ユリウス殿下視点)

「本当に申し訳ございません! ユリウス殿下……!」



 テレーズは私の前で頭を下げた。その瞳には涙を浮かべながら……なんということだ、アイラ・ステイトの調合した薬を最新設備で模倣しようと画策したが、それすら不可能なレベルだったとは……!



「テレーズよ」


「は、はい、ユリウス殿下」



「議会の貴族たちが提案したノルマは10種類だが……現在はどの程度であれば調合可能だ?」


「はい……初級回復薬、中級回復薬、目薬2種類、毒消し薬、暗闇回復薬、風邪薬1種類の合計7種類であればなんとか……」



 7種類か……少ない。それでは、議会の連中を納得させるのは難しいだろう。アイラが調合したアイテムをそのまま、テレーズが調合したことにすれば、とも考えたが、そんなことをすればすぐにバレてしまう。


 

 しかし、7種類だ。7種類のアイテム調合を可能にしているのだ。決して、テレーズ達が錬金術士としてレベルが低いわけではないはず。私はある種の願望に近い感情に支配されていた。



「アイラと競い合うものでもあるまい。いい加減、諦めたらどうだ? ユリウス」


「兄上……!」



 兄上はどことなく、勝ち誇っているようにも感じられる。自らが推薦した国家錬金術士の方が才能があったと言いたいのか? 言いたいのだろうな……こちらは、テレーズだけではなく、他に2人の錬金術士を合わせて、ようやく現在までで7種類だからな。テレーズ以外の2人は、そこらの薬士と大差ない技量とも言えるしな……。



「アイラ・ステイトの才能がそんなに嬉しいのか? 兄上」


「何を言っている?」


「はっ、とぼけても無駄だよ、兄上」


「……?」



 兄上は私の失態を心の底では願っているはずだ……なぜならば、今後の王位継承権争いにも影響してくるからな。私たちの父上の後継者……国家錬金術士として、アイラ・ステイトを推薦した事実のある兄上が有利になっているのは事実だろう。


 ここで、私が今月末までのアイテム調合のノルマを達成できなければ、さらに不利になってしまう……兄上はそれを望んでいるはずだ。



「ユリウス……何を勘違いしているのかは、分からないが、あまり気負い過ぎるなよ?」


「ふん、余裕だな兄上。だが、私にも切り札はあるのだよ」


「切り札……?」



 おや、兄上の顔色が変化をしたぞ。ふふふ、やはり気になっているようだな。そう、私は念には念を入れる主義なのだ。万が一のことを考え、オーフェンには既に伝えていることがある。私はオーフェンに視線を合わせた。



「オーフェン、既に選定は完了しているな?」


「は、はい……ユリウス殿下」


「よし、ならば早速、呼び出すのだ。私の部屋に来るように促せ。既にカタコンベには居るのだろう?」


「確かにカタコンベの宿屋に泊まっているかと思いますが……本当に呼ぶのですか?」


「当たり前だ、何としてもノルマは達成しなければならん」


「……畏まりました」



 オーフェンはそう言うと、私と兄上に頭を下げ、そのまま去って行った。さて、ここからが本番だ。



「兄上……勝った気でいられるのも今の内だぞ?」


「勝負をしていたのか、私たちは? オーフェンはどこへ行ったのだ?」


「くくく……取りこぼしていた才能に会いに呼びに行ってるんだよ」



「なに……それは、まさか……」




 その通り……我が王国の各地に存在すると言われる金の卵たち。私はその中でも、おそらくは最高の存在を既に発見しているのだ。平民出身の者ではあるが、その地域では恐ろしい才覚として有名だった。テレーズたちだけでは届かないのだから仕方がない。



 私はノルマ達成の為に、平民を国家錬金術士にする準備を進めていたのだ。最早、この手しかないのだから……。

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― 新着の感想 ―
[一言] そもそも、国家錬金術師にするのに何の試験もないのがおかしい気がするけど。 それにどのみち、第二王子の行いが評価される事は絶対に有り得ないのになw アイラを国家錬金術師に推薦したのは第一王子だ…
[気になる点] 平民が嫌で追い出したのに、その平民に対抗する為に引き入れる切り札が別の平民という大矛盾www どこまで迷走すれば気が済むのか [一言] というのを漫画を読んでて思って小説を読みに来て…
[良い点] あえて言いたい その手があったか! [一言] なんだか迷走しつつも諦めない王子が好き
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