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124話 エンゲージにて 2


「か、彼氏って……レッグさん、そんな急に」


「いやいやいや、アイラちゃん。アイラちゃんくらいの器量の持ち主なら選び放題だろ?」


 選び放題だなんて、そんなことはないはずだけど……。なんとなく、隣で棚に並べている薬をチェックしていたライハットさんと目が合ってしまった。彼はすぐに明後日の方向を向いたけれど。


「性格だって悪くねぇし、錬金術の能力はピカイチと来たもんだ!」


「性格はともかく、錬金術の能力ってモテる要素なのかな……」


 性格の良し悪しは絶対に好き嫌いが出る要素だと思うけど、一般的に考えたら、錬金術の能力でモテるとは考えにくいかな。


「男でも女でも稼げる奴ってのは、それだけで安心感抜群だからな。長期的に見たら、錬金術の才能ってのは素晴らしいモテ要素になるはずだぜ?」


「そっか、そういう風に考えれば確かに……」


 お金の話になるので、やや夢が壊れるけれど重要なことではある。


「こうやって、適当に列挙するだけでもアイラちゃんはハイスペックなんだよ」


「ハイスペックって……」


 褒めてくれるのは嬉しいけれど、言葉のチョイスがおかしい気もする。レッグさんから見て、私は機械か何かなのかな?


「私は人間ですよ、レッグさん」


「分かってるよ、アイラちゃん。しかし、錬金術の腕を見てると精密機械と言われても納得しちまいそうだぜ」


 私は呆れた表情で軽くため息を吐いた。なんというか、力が抜けてしまったから。調合室の方で仕事をしていたシスマや従業員も何事かと出てき始めた。


「何をしているの、アイラ?」


「いや、別に……」


「アイラ殿の恋人に相応しい者は誰か、という話をしていたのですよ」


「ら、ライハットさん……!」


 いたずら心が湧きたったのかな? 今まで明後日の方向を向いていたライハットさんが急に話に割って入ってきた。ちょっとだけ怪しい笑みをこぼしながら。


「アイラの恋人? へえ」


「シスマ……?」


 雪女の異名を持つ(私の意見)シスマも、何やら興味深そうにつぶやいた。なによ? そんなことに興味深々なわけ? なんだか恥ずかしくなってきた。


「アイラのお相手として一番近い人。おそらく現段階では……」


「俺だな」


 シスマが自分の考えを述べようとした瞬間だった。エンゲージの店に新しいお客さんがやってきた。


「カエサルさん……?」


 カエサル・ブレイズさんだった。ていうか今この人、なんて言ったっけ……?


「俺はアイラの定期収入の旗頭だ。今後、彼女との仲は揺るぎないものになっていくだろう」


 恥ずかしいセリフを全く気にすることなく話しているカエサルさん。この人は前から思っていたけど、羞恥心が薄いのかな? というより、自分の外見に自信を持っているから言えるのか。確かに彼が言うと、そこまでおかしくは聞こえないし。


 どうでもいいけど、カエサルさんが変なことを言ったおかげで、ますます私の恋人話はヒートアップしていきそうな様相を呈していた。


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