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109話 オイゲン商会の出店 2


「姉さん……」


「シスマ、久しぶりね」


「ええ、本当にね」


 あ、姉妹同士だと会話がちゃんと成立するんだ。アンジェリーナさんも無言が今だけは消えている気がするし。ラーデュイ家の姉妹、か。久しぶりの再会ってことは、アンジェリーナさんは仕事柄、ほとんど家には帰らないのかな? まあ、それを言うなら現在のシスマもだろうけど。


「噂は聞いているわ、シスマ。国家錬金術士として、現在は最高の能力を備えているって。姉として、とても誇らしいわ」


「やめてよ……私なんて……」


 希少生物雪女……いえ、本当に実在するかはわからないけど。でも、そのくらい絶世の美女二人の会話は、自然と周囲の人々の視線を釘付けにしているようだった。ぎこちない雰囲気を持っているけれど、仲自体は悪くなさそうだったので安心だ。


「最強の冒険者という肩書きを手にしている、姉さんには遠く及ばないわ」


「最強……? 私が?」


「ええ、そうなんでしょう? 冒険者ランキング1位のイノセントのエースにして、切り込み隊長。神速のアンジェリーナといえば有名じゃない」


 神速のアンジェリーナ……凄い格好いい異名ね。やっぱり、名実共に彼女が冒険者の中で最強なのかしら?


「私が最強……ええ、それだったらどれほど良かったか」


「姉さん……?」


 あれ? なんだかアンジェリーナさんの雰囲気も変わったような……気のせいかな?


「まあまあ、いいじゃないか。久しぶりの姉妹が再会できたのだからね。シスマ君と言ったか、私の名前はネプト。僭越ながら、アンジェリーナの相棒をさせてもらっている者だよ」


「シスマ・ラーデュイと申します。いつも姉がお世話になっております、ネプトさん。冒険者ランキング総合1位、イノセントのリーダーにお会いすることが出来て、光栄でございます」


「これはご丁寧に」


 ネプトさんとシスマは堅い握手を交わして、互いの自己紹介とした。シスマは流石富豪平民ね。こんな丁寧な挨拶、私にはとても出来そうにないわ。


「シスマ君もどうかね? 我々と一緒に明日、オイゲン商会の直営店に行ってみないかね?」


「許してもらえるのでしたら是非。アイラも構わない?」


「当たり前じゃない、断る理由がないわ」


「そう、ありがとう」


 ああ、もう! シスマの何気ない笑顔が本当に美しい……! なんだかいけない方向にシフトしちゃいそうな……いや、冗談だけどさ。


「では、決まりだね。明日はこの4人で直営店に向かうとしようか」


「そうですね」


「いや、違うか。アイラ君の護衛……の方が3人居るのかな?」


 エメルさん達、五芒星の存在をしっかりと看破しているネプトさんは流石だった。アンジェリーナさんは無言に戻っているけれど、おそらく気付いているんだと思う。う~ん、冒険者ランキング1位の二人はとんでもないわね……おそらくは、カミーユやサイフォスさんは気付いていなかったと思うし。


 3位の人は分からないけれど、彼ら以外で五芒星の存在に気付いたのはシグルドさんだけだ。私としては決して踏み入れられない領域だけに、非常に興味深いものに映っていた。冒険者間での真の力の序列とか興味あるわね。いつか分かる時が来れば楽しいかもしれない。

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