表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/286

1話 追放された錬金術士 1

 私はアイラ・ステイト、17歳。ホーミング王国の首都であるリンクスタッドで錬金術士をしている。それも、国家錬金術士として……。


 私の仕事は素材から回復薬や毒消し薬、他にも相手に状態異常を付与するダークポーションやマインドポーション、ポイズンポーションなどの精製だった。これだけ色々な物を作れる錬金術師は他に居ないということで、私は平民ながら破格の待遇を許されていた。


 将来的には、伯爵様などとも結婚できるかもしれない……そんな噂さえ囁かれていた。でも、調子に乗ることなく日々、仕事に励んではいたんだけど……。



 ある日、私はホーミング王国の王子であるユリウス・ホーミング様に呼ばれることになった。ユリウス様は第二王子に該当する人物だ。一体、何事かと、私は大急ぎで彼の元へと向かった。



「アイラ……今まで国家錬金術士としての仕事、ご苦労だった」


「あ、ありがとうございます、ユリウス殿下」



 いつもと変わらない態度に見える……だけど、何かがおかしい。ユリウス殿下の表情というか、全体の雰囲気というか……。彼の周りには二人の騎士の姿もあったから。


「今日でお前はクビだ」


「えっ? どういうことでしょうか?」



 いきなりの言葉に、思考が付いて行かない。



「聞こえなかったか? お前はクビだと言ったんだ。別の錬金術士を見つけたのでな。私は兄上とは違う……お前のような平民が近くに居ると思うだけで、虫唾が走ってしまうのでな。今までは代わりが居なかったから、なんとか我慢していたが……これで、お前を堂々と宮殿から追放出来るというものだ」



「ちょ、ちょっと待ってください……! そんなことを急に言われても困ります!」


「うるさい奴だな……」



 ユリウス殿下は全く聞く耳を持つ気がないみたい。欠伸をしながら、私からは視線を逸らして窓を眺めているし。代わりが見つかったということは、その人はおそらく貴族なんだろうけど。私を最初に宮殿に招いてくれたのは、第一王子であるクリフト様だ。



 クリフト様なら、ユリウス殿下のようなことは絶対に言わないはずだけれど……。



「クリフト様に会わせていただけませんか……? お願いいたします!」


「兄上は現在は留守だ。そして……お前の国家錬金術士としての職務は今日限り。つまりは会うことはできん」


「そ、そんな……!」



「全く……兄上も兄上だ。何故に、こんな平民を宮殿で働かせたのか。お前の代わりの錬金術士は3名も居る。平民でしかないお前よりも能力ははるかに上だろう。わかったら、荷物をまとめて出て行くんだな」



「ゆ、ユリウス殿下……」



 最早、私の言葉は全く受け入れてもらえなかった……1年前から国家の錬金術士として働き、色々なアイテムを調合してきたけれど、こんなにも一瞬でその身分を失ってしまうなんて考えてもいなかった。



 私はこれからどうしたらいいんだろう……。


もしよろしければブクマや評価、感想などいただけますと、大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 1話の1行目で読みたくなくなったのは初めての経験です 国名町名の名付けが酷過ぎて冒頭に目を通す事すら嫌悪です
[一言] 「ちょ、ちょっと待ってください……! そんなことを急に言われても困ります!」 首になった本人が困ることって、給料が貰えなくなる位でしょう。今まで、良い給料貰ってきたのだから、のんびりすれば…
[気になる点] 「カタコンベ」って地下墓地の事なのですが首都の名前には不吉すぎませんか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ