もう一度君の笑顔が見たかった アフターストーリー
これはアフターストーリーなので本編をを読んでない方は先に本編を見てください。
あれから1年がたった。事故が起きた次の日には目が覚めていたらしい。それでも俺は彼女に会わなかった。その彼女が今、目の前にいる。
「久しぶり、だね。元気にしてた?私はずっと君を探していたんだよ?」
なんで今更目の前に現れるのだろうか。せっかく覚悟を決めて、幸せになってほしくて、ずっと、ずっと遠ざけて、探していたなんて。忘れていると思って。それとも恨んでいるのだろうか。事故に遭ったのは俺のせいだって。
「久しぶりだな。なんで俺なんかを探していたんだ?」
「そうだね。ちゃんと説明しようかな。まずは、ごめん。私が事故に遭ったから、君が責任を感じていたんだよね」
「そんなことない」
「そんなことあるよ。ずっと君は私のために苦しんでくれていた。だからありがとう」
本当に、そんなことない。そんな綺麗な心を俺は持っていない。また、いなくなって、傷つくのが怖かったんだ。逃げたのに、彼女はこんなに優しい言葉をかけてくれる。だから、俺は彼女の前で泣いた。
「あと、告白の返事。してなかったから。私もずっと君のことが好きだよ。少し不器用なところもあるけど、一緒にいて、沢山遊んで、楽しかったんだ。でも、君と付き合うことで全てが夢で、今まで楽しかった思い出もなくなるんじゃないかって怖かった。でも、ずっと一緒に入れるなら、友達のままでもいいと思ってたんだ。だけどね、君がいなくなってから、やっぱり、自分の気持ちに嘘はつけなくて、苦しくて、ずっと君が私の前に現れてくれるんじゃないかと期待してた。だけど、なかなか会いに来てくれないから、必死で探して、ここまで来たんだよ。あなたのことが好きです。今更何言ってんだって思うかもしれないけど、この1年ずっと君が好きという気持ちはなくならなかった。だから、私の恋人になってください」
ずっとこの気持ちをなくさないといけないと思っていた。気持ちに蓋をして、心の奥底にしまって、もう二度と表に出てくることはないと思っていた感情。でも、やっぱりどこか彼女のことを想っていて、彼女に告白した日、彼女は走り去っていって事故に遭った。この気持ちがなければ彼女は死ななかったかもと何度思ったことか。でも、彼女も不安だったんだ。ずっと俺は間違っていたのかもしれない。でも、それでも、彼女は今ここにいて、俺たちの気持ちは通じ合ったんだ。
「俺も、君のことが好きだ。1年たった今でも、気持ちは変わらない。君が事故に遭ったその日から、怖かった。だから、俺がいない方が君は幸せになれると思いこむことにしたんだ。そうすれば、気持ちが楽になったから。どこかで幸せにしてるだろうって。けど、一度も君のことを忘れたことはなかった。もし、事故がなかったら君と一緒に笑い合っているんじゃないかって。でも、ただ俺だけが楽しいと思っていたらどうしようって不安だったんだ。だけど、どうしても君のことが気になって仕方なかったんだ。だから、俺と付き合ってください」
「じゃあ、両思いなんだ。1年もたってるのにね」
そういって笑う彼女の笑顔は1年前と変わらず綺麗だった。