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22 ナユタとサクラ

 ナユタ・エルリカ・アルは16歳である。

 ドラゴとナユタが生まれたときから一緒にいる。ドラゴは1000年以上もアル家に仕えているのだから、それはそうだろう。

 というよりかは、1000年以上もアル家に生まれる子供の相手をしてきたのである。

 ナユタの父親が子供だった頃も、同じように一緒にいたし、当然ながらナユタの父親の妹、つまりアラタ・アル・シエルナの母親が子供だった頃にも、彼は一緒にいたのである。


 ドラゴから見て、ナユタは歴代のアル家の当主と比べて16歳にしては幼いかなという感想を持っていた。

 ナユタは厳重に保護されて育てられた面があるとは言える。

 というのは、アラタの母親がシエルクーン魔導王国の兵士に殺害されたという事件があったせいだろう。

 アラタが現在12歳だから、12年程前のことである。ナユタが4歳の時ということになるだろう。


 ドラゴはナユタを見て「もう16歳か」とあらためて思った。もう過保護はやめるべき時が来たかなと考えていた。


「なに喧嘩してるのよ!」


 サクラ・リイン・ダルシアがナユタに言った。


「喧嘩ではないのだ。『戦闘ごっこ』なのだ」

「『戦闘ごっこ』? なにそれ馬鹿じゃないの? 馬鹿なの?」

「馬鹿ではないのだ。お前こそ俺に何か用か? 忍熊とかいう熊に連れてこられたのだ」

「何か用かって、王宮が、お父様が襲われたって手紙に書いたわ」

「手紙は読んだのだ。だけど、俺に何ができるっていうのだ?」

「何がって……」


 言われてみれば、確かにナユタに何ができるというのだろうか?

 〈剣聖〉フタバ・ディア・レイクと、法王国の国王であるウイト・ウェルギリウス・ダルシアが二人がかりで撃退した相手である。


「まあ、いいのだ。あの女神に会っても『恩寵』は消してもらえなかったのだ」


 より正確に言えば、『恩寵』を消すには女神と戦って勝たなければならないのであるが。


「それより、これを見てくれ」


 ナユタは薄っすらと青く光る左手の甲を見せた。


「おかしな老人に魔導草がたくさん生えている世界に連れていかれたのだ。そしたら、体が青く光ったのだ!」

「体が青く光った? ……魔導臨界かしら」

「魔導臨界って何だ?」

「強い『魔導の力』を持つ者が稀に起こすことがあるらしいのだけど、アル家の人が『魔導の力』を発現することはめったにないはずよ」

「そうなのだ。俺は『魔導の力』など持っていなかったのだ」


 ふと、ナユタが左手を軽く振ると〔ファイア・ストーム〕が発動して、ドラゴに当たってドラゴの毛がチリチリと燃えた。


「て! め! え! わざとやってるのか!」

「わざとではないのだ。ごめんなのだ。というか、なぜよけないのだ?」

「よけないというよりは、受けとめているのだ」

「なぜ、受けとめるのだ?」


 ドラゴは説明するのが面倒だと言い、燃えた毛を舐めた。


「『魔導の力』をコントロールできていないわ」

「そうなのだ。なんか体中がむずむずするのだ」

「ちょっと見せて」


 サクラ・リイン・ダルシアはナユタの光る左手をとると、その左手の甲に軽く口づけをした。


「な! 何をするのだ?」


お読みいただきありがとうございます!

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