純 恋 ~Junkoi~
「 付き合ってください! 」
「 えっ!? 」
「 ・・オレでよければ 」
私にとって初めての勇気のいった告白
桜も散り 空梅雨で終った
少しづつ暑くなる頃の
もうすぐ15歳になるときのことでした
そして 私にとって初めてのカレでした
今まで好きになったことあったけど
気持ちを打ち明けるまでありませんでした
私の学校は 男女交際しているカップルは少なく
高校受験で勉強に励む人
部活に熱を入れる人たちが多く
生徒同士のカップルは学年で 数組ぐらい
ちょっとヤンチャしてる男女のカップルが少なからずいました
私?
私はヤンチャしていません
人並みに勉強してますし
頭が良いとは言えませんが
多分高校は進学できます
でも カレはどうなんでしょうか?
運動もできるわけでも無いし 成績も人並み以下と聞いています
クラスも違うし 今まであまり口も聞いたこともない
カレのどこにひかれたんでしょうか
見た目 服装は違反ズボンに違反学ラン
髪型は少し茶髪の長髪
今時流行らない格好
かなり目立つ カレシ 裕太君
でも 見た目派手なだけで ヤンチャしているわけでもない
毎日 真面目に学校に通って ケンカとかそんな問題ごとは一切ない
もちろん煙草なんか吸わない
要領が良くない 中途半端な男子でしょうか
そんな恋とは無縁そうな カレが好きになってしまいました
なんでかな?
見た目が目立つ男子って なぜか惹かれちゃうんだよね
うまく言えないけど(笑)
数日後 一緒に帰ることを約束した
初めて 異性と二人で帰宅
ドキドキ
緊張もしましたが、ワクワクもしました
学校の終了チャイムと同時に
校門前 4時過ぎに待ち合わせ場所へダッシュ
三階校舎 階段で一階へ
転ばないように
ドキドキ
待ち合わせの場所に着くと
「 おーい 」
カレはすでにいた
私は
「 ごめんね 待った? 」
「 オ・・オレも今来たばかりだから 」
カレもかなり緊張しているみたいだ
「 んじゃ、一緒に帰ろ! 」
私は緊張を見せないように
二人 一緒に帰った
私の家まで 学校から大体10分ぐらい
あれ?そういえばカレの家はどこだろう?
まあ、いいか。
しばらくすると カレは私より少し前を歩く
並んで歩いてくれない
「 ねえ、なんで早く歩くの? 」
「 ・・・ 」
疑問にもった私は
カレの照れくさそうな顔を見て
すぐにわかった
他の生徒の目が気になるんだ
確かに男子は女子と二人でいると
すぐにネタにされちゃう
つまり 冷やかされちゃうんだよね
同じ年だけど なんかやっぱり子供っぽい
なんか可愛いな
私は意地悪するように
カレの横に並んだ
手ぐらい 繋ぎたい
カレの手を握ろうとすると
ポケットに手を直ぐにしまってしまう
でも はじめて男の人と二人でいるときは
こんなものなのかな・・
なかなか ドラマみたいな展開にはならないね
そして あまり言葉を交わせないまま
私の家に着いた
「 またね 」
するとカレが
「 ち・・ちょっと待ってくれ 」
口を開くことが少なかったカレが 私の足を止めた
「 こ・・今度の日曜日 海でも行かないか? 」
「 えっ!? 」
いつも恥ずかしそうにしてる カレがデートに誘ってくれた
「 もちろん❤️ 」
日曜日 10時 ××駅西口 待ち合わせ
やったぁ デートだ
「じ・・じゃあね」
軽く手を振り カレはゆっくり家に帰っていった
あれ?
まるでウチと反対方向
あとでわかったがカレの家って
まるで私と違うところに住んでいた
わざわざ 私のために遠回りしてくれたんだね
ほんのわずかな優しさに
ほんのわずかな胸が熱くなった
ありがとう・・裕太くん
そして 日曜日
いつもより朝を早く起きて
窓を開けて
天気を確かめて
今日は快晴
朝シャンして
短い髪をとかして
今日着ていく服を選ぶ
ちょっと 大人っぽい格好がいいかな
可愛い服装のほうがいいかな
男の人に会うため、おシャレするなんて
これはまた新鮮 初めての気持ちだった
ママから借りた香りの弱い香水をして
スマホの充電を確かめて
忘れ物を確かめる
ドアを閉めて
鍵をかけて
カレが待つ 駅へ
やっぱり緊張するな
ドキドキしている私が何か気分がいいな
今日こそカレの隣に並んで歩きたい
いや 手を繋ぎたい ギュッと握ってもらいたい
ギュッと握ったあと チュッと・・
・・なんて まだ早いかな?
待ち合わせの10分前
あれ?カレはもう待っている
学校で持ち合わせた同じセリフで
「 今、来たばかりだよ 」
カレはもしかして もっと早く来てるんじゃないかな。
そして 二人で電車に乗り
混み合った電車の中
カレの至近距離に私がいる
裕太くんの鼓動が聞こえる
カレもドキドキ
中学生二人で海に行くなんて
ませているのかな?
電車に乗って20分
色んなことを思いながら
海の近い駅にたどり着いた
改札を出ると 潮の香り
小さいころ家族でよく行った場所なのに
見慣れた景色が なぜか はじめてみる風景に見えた
「 よ・・よし、行こうか 」
どこに行くか あえて聞かなかった
すべてカレにお任せしてもらおう
しばらく歩いていると
「 あ・・あれ? 」
道に迷ったみたい・・・
「 どこに行くつもりだったの? 」
「 ち・・ちょっと、とある公園へ・・ 」
カッコつけちゃって・・少しでも男らしいところを 見せたかったのかな
ちょっと頼りのないカレだけど
見た目派手なギャップが また一つ好きになっちゃった
「 いいよ あっちこっち歩いたからお腹がすいちゃった 」
「 ご・・ごめん、んじゃ ランチにしょうか 」
近くの飲食店で食事した
本当ならデートするときって
もっとオシャレな店に行くんだろうな
初めてなら仕方がないないか・・
でも、牛丼屋さんは・・ちょっと 違うんじゃないかな・・
お客さんは 男の人ばかり 女は私一人・・落ち着かない・・
落ち着かないと思いつつ 牛丼は全部食べちゃった
意外にも美味しい カレが汁だくが勧めてくれたからかな
でも カロリーが気になる・・
「 先に店を出てて 会計はオレが出すから 」
「 いいの? 」
まあ、いいか そんなに高くないから ゴチになります
次 私が出すからね
あれ?なかなかカレが店から出てこない
どうしたんだろう
店をのぞくと 何やら レジで揉めてる
もしかして・・?
「 10円足りない… 」
やっぱり・・・
「 いいよ ワリカンにしましょ 」
「 ごめん・・ 」
こんなにカッコつけなくていいって
でも、男の人って 見栄を張ってしまうものなのかな
そして カレが言う とある公園へ
ここから どうやって行くのかわからないまま 牛丼屋さんを後にした
適当に歩いている二人
でも どこ歩いても 景色は最高
飽きることはなかった
そして ようやく 並んで歩けた
口数の少ないカレが ようやく他愛のない話が出来た
しかし まだ手を繋げない
いつ目的の公園に着くかわからない時間の中
少しづつ 愛が育っているのが 心に染みた
どれくらい経ったのがわからないまま
日はすっかり暮れそうになっていた
ようやく カレのいう目的の公園にたどり着いた
「 ごめんな・・何時間も歩かせてしまって 」
「 大丈夫だよ、疲れていないから 気にしないで・・ね! 」
本当は 少し疲れていたけど
初めてきた ここの公園
景色は確かに最高だな
今まで歩いてきた景色もいいけど
ここは もっと凄い
人もまだらな公園のベンチに座ると
うしろは森 前を眺めると 一面 海 もうすぐ沈む夕日
水平線の向こうに かすかに見える 小さな小島
絵になるような絶景 疲れなんて忘れてしまった
ちょっと頼りないカレだと思ったけど 見直したな
二人 遠くを見つめながら ベンチに座り
ゆっくり時間が流れていく・・
このままでいたい・・時を凍らせる魔法があればいいのに・・
私はカレに寄りかかった
そして、私の手をカレから触れてくれた
握ってはくれなかったけど 確かに裕太君のぬくもりを感じた
緊張してたけど 温かさが伝わった
ロマンチックな気分に酔いしれ
私は裕太君の横顔を見つめ 静かにまぶたを閉じようとする
わずかに見える カレの顔が私の方に静かに動いた
そして、私の目は無意識に閉じた
これって??もしかして??
ドキドキ
ドキドキ
「 ・・・トモちゃん 」
小さな透き通った声で 私の名前をささやいた
どきどき
ドキドキ
息がかかるほど カレが近くにいるのがわかった
ドキドキ
どきどき
すると・・・・・
「 眠いのか? 」
「 !!!!!! 」
「 長い時間 歩いたから疲れたろ? 」
「 少しの間 眠ってもいいからな 」
「 怒 怒 怒 !!!!!!怒 怒 怒 」
何それ!
さっきまでロマンチックに酔いしれた時間はなんなの?
有り得なーーい
「 なんで、怒ってるの? 」
「 知らない!!」
私は 早歩きでうちに帰ったのであった
ロマンチックに酔いしれてた時間を返せーー!
初めての恋の味は 私にとって ほろ苦い青春だった
でも 純粋すぎるカレにとって精一杯の優しさかも知れないね
それも気づかなかった私もまだ子供だったんだね
大人になった今 気づいたよ