プロローグ
自分ですらクズと思って居る高校生主人公の物語。
人生ってのはさ、かなり非情なものだと俺は思う。
大抵は顔を見て、選ぶってのも、また人間って生き物なんだろうな。
モテるのはいつもイケメンと美女ばかり。
だがそれが、仇となるということも、案外あるもんだ。
例えば俺だ…現在の俺は、死にかけてるんだからな。
駅のホームにある階段から落とされて、全身が傷だらけの重傷…自慢の顔も台無しだ。
顔がよくても、行い次第で罰が当たる…それも良いことをしただけですらこうなるんだぜ。
クズはクズにしかなれない、親切なんてしても、俺には帰ってこない、全てが仇になって帰ってくるだけ。
今日の朝も何の変哲もない日だったのに、ただ今日はいつもより運が相当悪かったようだ、元カノが家に来て修羅場起こされた方がどれほどマシか。
学校に行くために電車に乗る、それもぎゅうぎゅう詰めの満員電車。
暑苦しく、動くと鞄やらがぶつかってきやがる。
変らぬ日常の中で、俺は苛つきながらも耐える毎日に、うんざりしていた。
そんな中で、あることをが起こる。
「やめて…ください」
俺の隣から女の声が聞こえてくる。
ほんの少しだけ、チラ見をしてみると、そこには眼鏡をかけた気弱そうな女子高生がいた。
制服は…俺と同じ高校か。
それにしても、後ろにいるおっさんの息が荒くて不愉快だ。
「だれか…たすけて…」
女子高生は俺の支線に気づいたのか、一瞬目が合ってしまう。
これは……あれだな、面倒事だが。
痴漢…ってところか……それも動けない状況と言う悪質なタイプ
だから妙に息が荒いわけだ、女子高生も付けを求めてか、涙目で俺の裾を掴んでくる。
何で自分の人生を潰すリスクを冒してまで、痴漢をする事が出来るのか、俺にはあまり理解が出来なさそうだ。
とりあえず俺はスマフォを取り出し、痴漢をしている場面の撮影を開始、十秒ほど立ってから、おっさんの手を掴み、上に上げた。
「なぁおっさん、なんでそんなリスクを犯してまで女子高生に痴漢してるわけ?人生をぶち壊す事をする位なら金貯めて風俗にでも行けよ」
「なんだ貴様は!?私は何もしてないぞ!さてはそこの女子高生とグルだな!この犯罪者め!」
電車の中がざわつき始めた。
そりゃそうだ、ピアス着けた高校生と社会人の男の争い。
それも痴漢という言葉で。車内が騒がない方がおかしいだろう。
「犯罪者…自己紹介でもしてるのかよ、とりあえず次の駅で降りてもらう、それと眼鏡のアンタもしっかりと着いて来て駅員に証言してくれよ、辛いだろうが、ハッキリと話すんだ」
「は、はい!」
良い返事だ、とりあえずおっさんの手を離さないようにしないと。
電車が次の駅に到着し、扉が開くと同時におっさんは、あろう事か俺の足を思いっきり踏みつけた後、逃走を図った。
最悪だ、この靴買ったばかりだってのに。
完全に切れたぞ、あのおっさん、完全に人生潰してやる。
「待てコラ!逃げてんじゃねぇぞ痴漢野郎!俺の新しい靴も踏みつけやがって!」
俺はなんとか階段の前で、おっさんの捕獲に成功した。
手首を掴み、捻り挙げる。
「誰か助けてくれ!この男が私に濡れ衣を着せてくるんだ!」
「何が濡れ衣だよ、それはお前の事だろうが!」
おっさんを連行しようとすると、一人のガリ勉っぽい学生が前に立ちはだかった。
某ゲームのモンスターバトル時の音が、もの凄く似合いそうなタイミングだぜ。
ガリ勉は学ランを着ており、見事なグルグル眼鏡をしている。
正直に言わせて貰う、どこのギャグ漫画だ…つかこんなの実在するのかよ。
現実に存在するのが逆に驚きだぞ、危うく笑っちまうところだったぜ。
「君、その人を離したまえ!君の様な社会的クズのような人間が、社会を壊していくんだ!その人は汗水流して働いているのだから経緯を払え!」
面白い事を言ってくるな。
確かに俺はクズだ、だが痴漢をするほど墜ちてない。
女と遊んで、飽きたら捨てるを繰り返す、だがそれを招致で相手してるんだぜ、お互いに。
だがこのおっさんは、痴漢と言う名の、本当の犯罪をしてる、俺とは違うんだよ。
「お前は当事者か?違うだろ?なら無関係の奴は引っ込んで、もっと社会の生き方を勉強するんだな、例えば人の見分け方とかな、何でもかんでも見た目で判断してたら後々苦労する羽目になるぞ」
「……ちくしょう!どいつもこいつも僕を馬鹿にしやがって!」
ガリ勉はそう叫ぶと、俺達へ体当たりをしてきた。
普通なら避ける、そうすればこのガリ勉は自業自得と言う事で、階段から真っ逆さまに落ちていくだろう。
タイミングが悪い事に、今、俺は痴漢を拘束している。
つまりは…避けるタイミングを逃していると言えるだろう、この手を離せば痴漢は逃げる可能性が高いからだ。
俺と痴漢はぶつかられた衝撃で、階段から転げ落ちて行く。
途中、階段の賭けた部分が俺の顔に当たり、右の頬肉をえぐり取った。
。
「ひ、人が階段から落ちたわ!」
「おい、逃げるな!」
「は、離せ!僕は悪くない!あの人を助けようとしただけだ!あんな髪の毛を茶髪にして!ピアスを着けた男なんか信じられない!アイツは社会のクズだ!ゴミだぁ!」
オシャレしてるだけだろうが…それなのに酷い言われようだ。
それにしても…体が痛いな……何より右頬が一番痛い。
動かそうとしても…動く気配が全くない、恐らく、手足が折れてるかもしれないな。
見える視界からして、俺は仰向けに倒れてるようだ、ハッキリと階段の上が見える。
腰を抜かしてるOL、パンストが似合ってるな……それからあのガリ勉にそれを押さえるリーマン。
ガリ勉、お前は頑張ったが……俺はお前を憎むぜ、なんたってお前のせいで、俺がこんな目に合わされたんだからな。
「床が血まみれだ!」
「もしかして……死んでるんじゃ……」
ふぅ…今日で、俺の人生も最後か。
とりあえずは…何故この俺が、あんな痴漢野郎のせいで、死なないといけないんだよ!
「こっちの親父は死亡っと、それでこちらのイケメン君は…血も滴るいい男になってる!」
苛ついている俺の耳元に入る声、雰囲気からして女だってい言う事は分かった。
そしてあの痴漢が死んだと言われたが、それが真実かは、見ていないからわからない
だが、死体観察とは良い趣味をしてる奴もいるもんだな。
「見事なえぐられ方、頬肉が無くなって歯がむき出しじゃん」
「……誰だ?」
俺は虫の息になりながらも、声を絞り出した。
すると、声の主であろう女が、しゃがみ込みながら、俺の顔を覗き込んで来た。
黒いフードに全身を包み、綺麗な白髪のロングヘアー、瞳は真っ赤でまるでルビーの様な輝きを放っている。
正直言うと、俺の会ったことがないタイプだと、直ぐに分かった。
にしても随分と美人だな、昨日の夜にナンパした女と比べものにならない位に、綺麗な顔をしてるぜ。
だが…俺は、女が立ち上がると同時に、背筋が凍りついた。
女の手には…巨大な鎌が握られていたからだ。
「えっと聞いておきたいんだけど、貴方は宝岡仁で間違い無いよね?年齢17歳、女とギャンブルが大好きで、それ以外にはあまり興味がない……間違いないよね!?読み方がタカラオカとかホウオカとじゃないよね!?タカオカで良いんだよね!?間違ってたら怒られるから!書類とか上に報告しなきゃいけないから!」
俺の知った事か!
そんなの俺が知るわけが無いだろうが!なんだこの女!?
「写真での判別がしたいけど…顔に大きい傷が入って難しいかも、多分本人であってるよね…それにしても、超もったいないかも、こんなイケメンを死の世界に連れて行くの…部屋に持ち帰ろうかな、そんで魂が噴紛失した事にして」
「答えろ…よ…誰だ?」
俺はもう一度、問いかけた。
すると女は、俺に満面の笑みを浮かべてこういった。
自分は死神であると。
「私はタナトス、死神タナトスでーす!この大鎌と服装で分かると思うんだけど…そっか、この世界では男が担当してるんだっけ、まぁ私の世界とは大分違うけど」
何の話をしてるんだよ…男が担当とか。
タナトスと言う女の全身を見ると、黒いコートの中には、へそを出しの黒いミニタンクトップ、真っ黒いエナメルの短パンがきらきらと輝きを放っていた。
これが死神とか、正直冗談がキツいぜ、イメージ駄々崩れって感じ。
もうすぐ救急車が来るだろう、そうなればこの女とも離れられる。
だがその期待は…大きく外れた。
「そろそろ時間の関係上間に合わなくなるから、その魂を刈り取らせてもらうから、あまり時間掛けてると減給処分とかもあり得るんだよね、あー死神とか超怠い仕事なんだけど、早く結婚して子ども産んで安定した生活を送りたい」
そう言うと、女は手に握っていた大鎌を振り上げた。
まさか、本当に振り下ろす気なのか?
そんなの……正気の沙汰じゃないぞ、死神なんてふざけて言ってるんだろ。
女の目は本気だ、今度こそ、本当に最後だな。
大鎌が振り下ろされ、俺の目と鼻の先で止った……じらさないで欲しいぜ。
こういうのは、結構、勇気と覚悟が居るって知ったばかりなのによ。
「てかさ…なんでそこまで生命力高いわけ?普通ならこの時点で死んでるんだよね、それなのに、ここまで強い生命力って逆に珍しいかも」
「俺の……知った事か……殺るなら…早くしてくれ……痛くて…仕方が無い……」
俺は女にそう言うと、女は不気味な笑みを浮かべ再び俺の顔を覗き込んだ。
「イケメンでしかも顔に傷あり、それでいて生命力も高い、気に入ったかも…決めた!貴方にしよっと!」
何が貴方にしよっとだ、俺は最初に選ぶモンスターじゃねんだよ。
女は鎌を右肩に担ぐと同時に、俺を左肩に担ぎ始めた。
どうなってるんだよ…てかどれだけ怪力なんだよこの電波女。
女は何か呪文の様な物を唱え始める、すると空から黒い羽が降り始め、気づくと俺達は何処かの部屋の中に居た。。
部屋の中にある家具類は赤と黒ベースにしてあり、全てがゴシック調の物でまとめられている。
やはり状況がつかめない…分かるとしたら、あの女の部屋なんだろう。
……一切の状況を理解出来ない俺は、あることに気づいた、先ほどまであった激しい痛みが、綺麗さっぱりと消えていたのだ。
ますます混乱する、まさか本当にあの女は、死神だというのか?
「ごめんごめん、驚いたよね?ここ私の部屋なんだけど、ああ寛いでくれて良いよ、私これから書類とあの痴漢の魂を職場持って行ってに提出する必要があるから」
「いや。寛いでも良いって、普通は状況説明が先だろが!」
その後、女は笑顔を崩す事なく部屋を飛び出した、しかも手まで振ってくる。
マジかよ……結局は、俺って死んだのか?
…あまり死んだと言う、実感すらも湧かない上に、体が透けていると言う事もない。
「とりあえず……ここから出るか」
先ほど飛び出した扉へと向かい、ドアノブに手を掛け、思いっきり扉を開いた。
すると、そこには真っ赤な世界が広がっている、まさに絵に描いたような地獄。
まるで火山が噴火したかの様な山がいくつもあり、よく分からない黒い物体が空中を漂う、辺り一面に草や木の代わりに骨の腕や骸骨が生えていた。
これは…きっと夢だな、そうだそうだ、きっと夢に違いない。
昨日の女達と夜遅くまで遊んでたから、きっと疲れて寝てるだけだ、そうに決まってる。
俺は部屋に戻り、ベッドに腰掛け、目が覚めるのを待った…だが。
「……全然、目が覚める気がしないんだけど…なんでだぁ!?」
それからしばらく俺は、ベッドの上で絶望した。
「俺……これからどうなるんだよ……何?黒魔術とかに使われるわけ?生贄にされるわけ?レッツ・サクリファイス?」
「レッツ・サクリファイスと言うより、私はレッツ・ブライドをしたいかな、とりあえずただいま、お腹空いてる?何か作ってあげるね」
振り返るとあのタナトスとか言う女が、満面の笑みで俺の背中に張り付いていた。
俺は急いでベッドから降りようとしたが、女は俺の腕をしっかりと掴み、寂しそうな視線を向けてくる。
ふりほどこうにも、片手に大鎌を担いだ状態で伸長が180以上ある男を軽々と持ち上げるのだから、力で敵うはずもない。
女の一番の目的がなんなのか分からない、分かるのは…いつも見ている女と同じ顔をしてきたというところ。
こういうときに限って、俺は自分の意思の弱さを後悔する。
つかなんで死神が、こんなに美人なんだよ…おかしいだろう。
死神ってのは、もっとこう、骸骨とか、マイナスイメージが強いのに。
「ねぇ…貴方、私を抱きたいと思ってる?」
「それはお前の方だろ…顔を見ればちゃんと分かる、そういう顔は何度も見てきたからな」
俺は自分の欲望には、とても忠実なんだ。
だからこうして求められると、余計に燃えてくる、恐ろしいくらいにな。
その後はお互いに、気が済むまで求めあった。。
こんなに熱く激しいのは、今までで初めてかもしれない、殆どが遊びだったのに……ここまで燃えるのは初めてだ。
彼女の姿を見ていると、不思議と胸が高鳴り、自分が抑えられない。
まるで獣になったかのように、いや、俺自身の中には元々、獣が住み着いていた。
それを今まで、押し込み、閉じ込めていたのだろう。
他の女とは違う、彼女の魅力に俺は…まさに釘つけだった。
彼女が、俺の中に閉じ込められていた獣を解き放ち、俺を変えさせた。
「ジンって…呼ばせてね……それにしても、結構激しい…私…経験ないから、こういうものなの?正直つかれちゃった…」
それくらいは、反応を見て、即座に分かったさ。
だが初めてにしては…彼女のほうも凄かったな…そこも神だからか?今まで以上に燃えたことなんて、考えたらないな。
「俺も初めてだ…こんなに激しいのは……正直、自分でも信じられねぇ……なぁ、なんで俺を選んだ?やっぱり顔か?」
「仁を選んだ理由?……簡単に言うと、一目惚れかな、実は神様って結構そういう話って多いの、実際にこういう事例は多いけど……結構批判も受けるのが…ねぇ」
いきなりテンション下がったな。
あまりの下がりようで、こっちも下がりそうだ。
考えてみると俺、目の前に神様いるのに平然と会話している上に、そのまま関係を持ってしまったんだけど
ある意味、幸運なのか、だが相手は死神だから、これの場合はどうなのだろうか。
とりあえず、俺と彼女は相性は悪くないと言う事が分かった。
「でも……ジンなら、何故カ信用が出来る気がしたの、何でだろうね、神様の勘ってやつかな」
それを言うなら女の勘だろう、だが嬉しいことを言ってくれる。
クズとして自覚をしてきたのに、信用して貰えると言われるのはさ。
それにしても、笑顔も素敵だな、今まであった、どの女よりも。
もしかする…これが神の魅力かもしれない。
「ところで、俺はこれからどうすれば良いんだ?死んだのかもよく分からない上に」
「ああ、死んでる死んでる、魂だけがこの世界に来れるんだよね、だから魂だけを連れてきて肉体の方は私がしっかりと保管してるの…死んでるから別に連れて来てもいいよね、どうせ死んだら地獄行き確定だったから」
はぁ!?今俺地獄行き確定とか言われたのか!?
確かにクズみたいな事したけどよ…別に犯罪を犯した積もりはないぞ、人を殺したりとか。
だが……俺、タナトスと結婚をするのか?
結婚なんて、一度も考えた事がないな…でも、タナトスとなら良いかもしれない。
女遊びが出来なく鳴るのは辛いが……タナトスがいるからな。
「私がいないとジンは地獄行き確定、その上で永遠に苦しみを伴い続ける、最悪の場合は…一生転生とかは望めないらしいんだけど、真相は謎の中へと封印!だってこれからは一緒に暮らすんだから!」
それから、俺とタナトスの同居生活が始まった。
彼女から料理を教えられ、毎日彼女の帰宅を待つ、言わば専業主夫ってやつだ。
こうして考えると、俺も大分変ったな。
その後は死の世界で、俺はバイトを始めた、簡単には彼女の職場で軽い書類をまとめる仕事なわけだが収入が足りなくなり、ホスト紛いの仕事も始めた。
元から顔は良いから、女性受けはかなりよかった。
平凡な日常が過ぎ、俺は年齢的には18歳を迎えた…そして、彼女と密かに結婚をする。。
更に月日は流れ、気づけば俺と彼女の間には、一つの命が芽生えていた。
名前はタナトスが付ける事になり、死神の子どもだからというとでタルナトスと名付けられた。
とても元気な女の子だ、いつも笑顔で笑い、妙に俺に懐いてくる、タナトスが抱っこすると俺に手を伸ばすくらいに。
名前の件では、最初こそ俺は反対をして喧嘩もした、だが彼女はどうしてもと言う事で、俺は娘の名前から二文字とり、ルナと呼ぶことで決着した。
俺達は幸せな日々を送っていた…だが唐突にそれは、崩れる事になる。
タナトスは、元々この世界の存在では無く、異世界から来た存在であり、出張で来ていたらしい。
そして…出張から帰ってこいと、前の世界から通達が来たのだ。
「実は…話していなかったんだけど、私この世界の神様じゃないの!」
「ああ……知ってる、てか薄々そんな気もしてた……だからってどうしたんだよ、それなら俺とルナも連れて行けば解決じゃないか、別に離れる事はないんじゃ」
タナトスの表情が暗くなっていく…ここで俺はまさかと思い、そっと彼女を抱き締めた。
「神と人間との恋愛は…かなり批判されるって前に話してでしょ?……それだけど、実は最近問題視されてるらしくて……神と人間が結ばれるのは間違いだって、言う神様が多いらしいの、だから」
なんだよ…娘も生まれて……幸せの絶頂中にこんなのありかよ。
なんでそんな事を、勝手に決めるんだよ。
俺達は二人でじっくりと話し合いをした結果、俺とルナは下界、タナトスはそのまま死の世界で暮らす事になった。
異世界で、俺はアンデッドとして蘇り、ルナと共に暮らす、そしてバレない様にタナトスが会いに来るというもの。
そうしないと、最悪は……。
「本当は…ずっと一緒に居たいけど……」
「また来るさ、その時まで、俺がルナを立派に育てるよ、お前は俺の最高の妻であり女だ……俺が人生で唯一愛した女」
運命の日が来ると、俺とタナトスとルナは異世界へと向かった。
再び、三人で暮らせる日が来るのを、望みながら。
死神であり、妻であるタナトスとの別れ。
再び三人の幸せな家庭が戻って来る事を望む、そんなジンの思いは叶うのか。