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16.奈緒と狩り

 くんかくんか……んーむにゃむにゃ。美味しそうな牛肉の匂い……じゅるり。いただきまー……


 『あいだぁ!?』


 ……口に広がるパサパサ感。あれ、これお肉じゃない……? んー? あ、わかった。

 これ、奈緒の羽根だわ。


 ジト目で私を睨む奈緒と、目をそらす私。とんでもなく気まずいです、はい。うわ、めっちゃ舌に羽根がついた……取ろ……


 『はぁ……寝ぼけてたのはわかるよ? だけどね? お尻噛むの止めてね? 痛いんだからね?』

 『ごめん……お腹減ってて……』

 『だろうと思ってこれ狩ってきたから食べたら。あれに比べたら美味しいよ』

 『あれと同じぐらい不味いもん持ってきてたらてめえの顔面に向かって吐く』

 『おお、怖い怖い。まだそんな時間経ってないから新鮮なうちに食べておきなさい』

 『それじゃあ早速。いっただっきまーす』


 奈緒が狩ってきた牛にかぶりつく。……凄い美味しい。あれ(ダークマター)を食べたあとだから尚更なのか、涙が出るほど美味しい。語彙力無いから説明できないのが惜しいくらい。これ、どこにいるんだろ……


 『ね? 言った通りでしょう?』

 『うん……すごく美味しいよこれ……』

 『ふふん、そうでしょうそうでしょう』


 褒められて胸を張り、もふもふな胸毛を強調する奈緒。もふったら気持ち良さそうだな、あれ。

 あ、そうだ。


 『一緒に食べる? 私だけじゃ食べきれないし』

 『はえ? いや、いいよ。私お腹減ってないし……』


 ……グウウゥウー……


 『『……』』

 『やっぱり私も食べるわ……』

 『おう、食え食え』


 二人で牛にかぶりつく。しばらく無言で牛を味わっていると、奈緒が話しかけてきた。


 『ねえ、ゆうちゃんはさ、転生───ドラゴンにだけど───してよかったと思ってる?』

 『どうしたの急に? まあ最後が最後だったから良かったと思ってるよ。……まあ、今んとこ酷い目にしかあってないけどねーはは……』


 それでも幸せっちゃ幸せだけどね。(多分)優しい親に恵まれたし、危ない目に遭っても竜王が助けてくれたりしてるからね。

 ……そういえばマザー、ファザー元気にしてるかなあ……何だかんだで一か月近く巣を空けている事になってるからなあ。会いたいなあ……


 『そういえば、奈緒は前世で彼氏とか出来た?』

 『いたけど別れたし、社会人になってからはそんな暇も無かった』

 『ほーん。仕事楽しかった?』

 『……ええ、最高に楽しかったわよ……ふふふ……積み上がる書類……終わらない業務……当たり前の残業……ふふふ、ふふふふふふふふふ……』


 ……やばい、何か地雷踏んだか?




 そんな感じの雑談をしていると、あっという間に食事も終わり、気が付くととっぷり日が暮れていた。いやはや、時間が経つのは早いねえ。

 あれ? そういえば竜王どこ? 目が覚めてから一度も見てないんだけど。どこかに行ったのかな?と思い、奈緒に聞いてみると


 『私も知らんわ。いつの間にか消えた。多分私が狩りをしていたときに出掛けたんじゃない?』


 とのこと。

 うーん本当にどこへ行ったのだろうか。ま、悩んでても仕方ないよね。だって竜王だもん。

 にしても、昨日から身体が痒い……鱗もムズムズするし……あー掻くの気持ちいいわー……


 ポロポロッ


 何かが落ちたような音がした方を見てみると、そこには何と! 私の鱗が落ちていた。

 え? 鱗剥がれた? そこまで強く掻いてないんだけとなーポリポリ。


 ポロポロポロッ


 ……また剥がれたね。何だこれ、病気? ドラゴンに病院ってあるの?


 『ゆうちゃんどした? うわっ!? めっちゃ鱗落ちてるじゃん!』

 『そうなんだよねー。身体痒くて掻いてたらこうなったんだけど、これ病気?』

 『痒い? あーだったら病気じゃないと思う。多分進化が近いんじゃないかな? 私もそうだったし。一時期羽根が抜けて抜けて……禿げるかと思ったわ……』

 『は?』


 進化が近いですと? まじで? 思いもよらない時に欲しかった情報が手に入った。はえ~進化ってこういう感じに始まるのかあ……といっても、まだ近いかもっていう段階だけど。

 まあまあ有益な情報も得たし、月も頭の上まで昇ってきましたしそろそろ寝ますかね。あ、この世界にも月っぽいのはあるよ、一つ。月と言うのか知らんからとりあえず私は月と呼んでる。まああってそうではあるけどね。


 『そろそろ寝るわ……お休み』

 『ん。おやすみ』


 私は奈緒のふかふか羽毛に身を寄せて、深い眠りについた───。






 『ん……くあぁ……もう朝か』

 『んにゃ……ケーキ……ほらゆうちゃん新作だって……食べに行こうよ……え? 太るよだって?うるせえ○すぞ……むにゃむにゃ』


 何か隣が物騒なこと言ってる以外は平和な朝だなー。すごい晴れてるし。散歩には丁度良さそう。

 猫みたいに背中を伸ばす。んー気持ちいい。身体を伸ばして筋肉を解していると、奈緒が目を覚ました。


 『ふあぁ~。おはよ』

 『おはよ。良い天気だよ』

 『んーっ。狩り日和だねえ』

 『そうだね』


 さて、こんなに良い天気なのに竜王さんはどこへ行ったんでしょうかね? 探すなんて気は毛頭ないけど。

 まあ、そんなことはおいといて、さて、と。


 『朝ごはん、狩りに行きますかね』

 『狩りに行くなら私も行くわ。空からも探した方が早いだろうし』

 『お、いいね。じゃあ行こっか』


 私たちは洞窟を出て、一つ山を越えた先にある平原へ向かうために大空へ羽ばたいた。




 んー……美味しそうなのいるかなあ……


 大体一時間位かけて山を越え、平原に着いた私たちは美味しそうな獲物(モンスター)を探していた。


 『ここにいるやつだと、グレートボア辺りならゆうちゃんでも狩れるんじゃない? あの迷宮にいる虫倒せるんだし』

 『ほーん。そんなのいるのか』


 ボアだし、豚肉みたいな味するんかね? とりあえずそいつ探してみるかな?

 そう思い私は少し降下して飛ぶ。ドラゴンになってから視力も上がったけど、やっぱり攻撃されない程度に陸の動物が見える高さで探したい。


 探し始めてしばらくすると、そこそこ大きそうな猪が見えてきた。地球の猪と違い、牙が上ではなく割りと真っ直ぐに生えていた。

 あれの突進食らったら重症じゃすまないぞ……あれ……


 『奈緒ー猪っぽいの見つけたけどあれ?』

 『うん、あれだよ。グレートボアの中でも少しだけ大きめの個体だから気を付けてね』

 『わかってるわかってる』


 さて……来ますよ久々の! ステータス閲覧! ……あれ? おーいステータスはよ。


 <現在、フライア様の[ステータス閲覧]は[鑑定]というスキルに変更されております。>


 ……ええ……まあいいや、鑑定。


===================================

[グレートボア]のステータス

Lv.18

体力 :287/287

魔力 :14

筋力 :28

防御 :23

素早さ:10


【スキル】

{突進 Lv7}{噛みつき Lv5}{死んだふり Lv3}{激化 Lv5}


【称号】

なし

===================================


 おおーめっちゃ簡潔になってる。これぐらいの方が見やすいよね、うん。……でもちょっとわからんぞ……神の声さん解説プリーズ。


 <体力は対象の生命エネルギーです。体力が0になると死亡します。前ステータスでのHPとお考えください。


 魔力は対象の魔力を使用する魔法などの攻撃力です。また、対象の魔力の多さもこの数値に比例しますが、魔力の減りが速いかは種族補正やスキルのレベルの高さ、魔力を使用する頻度などで変化します。

 ちなみに人間は魔力を扱うのが少々苦手な部類なので{魔力制御}というスキルが必須になってきます。フライア様方ドラゴンは全種族の中でも魔力に秀でているため{魔力制御}が無くとも魔法が扱えますが、やはり入手しておいた方がよろしいかと思われます。他にも、魔法に対する耐性もこれに含まれております。


 筋力は対象の物理攻撃力を表しています。前ステータスでの攻撃力だとお考えください。

 防御は対象の物理防御力を表しています。素早さは対象の移動の速さです。以上でよろしいでしょうか。>


 いいよー。普通にわかりやすかった。やっぱり神の声さんは有能やでえ。

 さて、神の声さんのおかげでグレートボアが魔法攻撃に耐性があまり無くて、私の{ドラゴンクロー}には耐性がある───つか堅いのな。


 それならばとる道は一つ。{風魔法(ウィンド)}!!

 スパーン、と私が放った{風魔法(ウィンド)}でグレートボアの頭が吹っ飛ぶ。さすがに頭が無くなったら体力も無くなるだろうと予想して放ったのだ。


 まあ予想通りと言いますか完璧に死んでいたので早速洞窟に運ぼうと思った。奈緒の方も何やら蛇っぽいのを掴んでいたのであっちも狩りが終わったんだろう。


 その後、私たちは戻った洞窟でお互い狩った獲物を談笑しながら味わい、ちょうど食べ終わった所で竜王が帰ってきた。





 『フライア。お前の親の元に行くぞ』




 ……は???

金土日は出来るかぎり更新できるのならばしようと思います。

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