13.何で居るんですかあなた。
中間テストがあるので更新ペースしばらく遅いです。
あと急いで仕上げたので後で少し書き直しするかもしれません。
あの部屋で仮眠をとった私は、現在ワームを狩って食事をしていた。
『・・・・・・うっげぇ、相変わらずまっず・・・・・・』
ワームの味を軽く説明すると、苦いような酸っぱいような、何とも言えない味がする。あれだ、胃液を強烈に苦くしたような感じっぽいのだ。
―――それは所謂ゲテモノであり、前世が人間、しかも食に関してはうるさい日本人という種族の私にとってはこの世の物とは思えない不味さであり―――
当然、それを生きるためとは言えど、食べるのには覚悟を要するのである。
考えもみてほしい。ちょっと前までは駅で話題の絶品スイーツや、ケーキを食べていた女子高生が、ある日からミミズとムカデを混ぜたようなフォルムの虫を食べなければいけないのだ。しかも、食べ物がそれしかない。誰もが覚悟を決めてかぶりつくであろう。私だってそうした。え?生肉?あれはまだ味覚に優しかったからノーカン。
それに、こちらはまだ(前世含め)十何年しか生きていないのだ。まだ死にたくはない。
『ああ、フルーツちゃんが恋しい・・・・・・甘いものが食べたい・・・・・・』
気付いている人もいるかもしれないが、私は甘党である。極度の甘党ではないが、しょっちゅう駅前のスイーツ店に友達を連れて食べに行き、バイトで貯めたお金を必要最低限まで使ってしまう。
余談ではあるが、私は食べても太りにくい体質のようで、よく一緒にスイーツ店に行ってる友達に羨ましがられた。睨み付けられながら。
女子は皆体重のことを気にしているから、体重のことに関して馬鹿にしたりしてはいけない。ダメ、絶対。殺されるよ、まじで。
食事を終えた私は、とりあえず最下層を目指す事にした。理由は特に無い。もし、危ない目に遭いそうだったら逃げる。速攻逃げる。今まで倒してきたワームの三倍位大きい奴がいたとしたら、風よりも早く逃げる。何故かって?
私が大の虫嫌いだからだよ!! 悪いか! こっちだって好きでこんな虫だらけの場所に来たわけじゃない! 全ては竜王が悪いんだ! 私は悪くない、以上。
こんな場所に飛ばした竜王を少し恨みながら、足を進めていると、変な看板を見つけた。その看板には、こんなことが書いてあった。
「 この坂を下れば最下層に入るよ! 頑張ってね冒険者さんはぁと♡ byこのダンジョンを作った人 」
『・・・・・・。』
はぁと♡じゃねえよ!! 絶対ふざけてるよね??
うわー。無いわー。とりあえず会ったらぶん殴りたいわー。てか、罠なような気がする。今まではこんな看板無かったもの。
とりあえず、本当にこの坂を下るべきか迷う。この坂の先が最下層の可能性もあるし、和なの可能性もある。しかし、どっちの可能性が高いかと聞かれたら間違いなく後者だ。
仕方ない、こういうときは他に無いか探すしかないか・・・・・・
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
探した結果、他に下へ下るような場所は無かった。やはり、罠の可能性が拭えないが、この坂を下るしかないようだ。
普段よりも周囲に警戒しながら、坂を下る。しかし、そんな私の心情を嘲笑うかのように何にも出なかった。いや、何も無いのはいいのだが、何だかこのダンジョンの製作者の思うつぼになっているような気がした。
・・・・・・やっぱり殴るの一発じゃ駄目だな。十発だ十発。十発殴ろう。
沸々と製作者への怒りをたぎらせながら、探索を再開する。
(そういえば、奈緒たちは元気かなー)
奈緒とは、他に先ほどよく一緒にスイーツを食べに行くといった親友の名前で、小学校からずっと同じの幼馴染みだったのだ。
他にも、親や友人の顔が思い浮かぶ。私にとって、唯一の心名残は置いてきてしまった人達だった。
せめて親が死ぬまでは生きてやると決めていたが、先に死んでしまい、本当に申し訳なく思っている。
『あ、そうだ。いいこと思い付いた』
いいこと。それは、人生(竜生?)の目標である。私は今まで何かしらの目標を立てて生きてきた。それを今世でもやろうと思ったのだ。やっぱり人生には目標が無いと面白くないんですよ、ええ。
『今世ではー、んー。よし、まずは人になれる方法を探すか。ファンタジーならTHE☆定番だけど、まぁいいよね。』
やっぱり人の生活はしたい。今の体はドラゴンでも、ここは魔法があるわけで、人化の方法位あるだろうと考えたからだ。無かったら諦める。
そのためにも早く進化がしたい。今Lv41なのだが、一向に進化の気配がない。進化ってLv制じゃなくて、条件が揃わないと出来ないのか?
まぁ生きて帰れれば竜王に聞こう。うん、それが一番早い。
というか、幾らなんでもそろそろ3日経っているような気がするんだけど、竜王が迎えに来ない。遅すぎやせんかねぇ・・・・・・
私としてはこんな虫だらけのダンジョンからとっとと帰って、お肉が食べたい。肉は肉でも、もう虫肉は嫌だ。鹿とかの動物のお肉が食べたい。
そうした思いを馳せている私に、突然女性らしき声が聞こえた。
『あの・・・・・・ドラゴン様ですか?』
『・・・・・・え? 誰?』
急に声を掛けられた私は、そんな反応しか出来なかった。てか、まさか喋ったのって虫じゃないよね・・・・・・?
『申し遅れました。私は"竜鷲"のスイと申します。』
良かった。虫じゃなかった。鳥だった。・・・・・・うん? 鳥が喋った?
『ワーオ、ファンタジー・・・・・・』
『え、今何と言いました?』
『え?』
『あの、聞き間違いでしたら申し訳ありません、今ファンタジーと言いませんでしたか?』
『あ、はい。言いましたけど、何か?』
『あ、いえ。故郷にそういう言葉がございましてですね。失礼ですが・・・・・・プリンという食べ物を知っていますか?』
『プリン? スイーツでしょ? 正式にはカスタードプディングって言うみたいだけど・・・・・・』
『やっぱり・・・・・・あなた、転生者でしょ。しかも日本からの。』
『!!??』
『何故わかったって目してるわね・・・・・・教えてあげるわ、この世界にはプリンは無いのよ。だから知ってるのは私と同じく日本からの転生者しか知らないのよ。』
『何・・・だと・・・!?』
プリンが無いだって? 私の大好物のプリンちゃんが? 無い?
『プリン・・・・・・こっちでも食べたかったのに・・・・・・無いの・・・・・・ショック・・・・・・』
『うんうん、わかるその気持ち。私も初めてこの事実を知ったときめっちゃショック受けたもの。』
『ケーキは!? ケーキはあるよね!? せめてチョコはある!?』
『ケーキはあるにはあるけど食べれるのは王都の貴族くらい。チョコも同じく。』
『ガーン・・・・・・まじかよ、高いのかよ・・・・・・』
王都の貴族って事はお金持ちな訳で。その人達しか食べれないってことは相当高いわけで。
私、今世でスイーツ食べれるのかしら・・・・・・心配。
『まぁまぁ、そんなにショック受けないで。それより、あなたの前世と今の名前は?』
『うぅ・・・・・・今の名前はフライア。見ての通りドラゴンだよ。前世の名前は羽沢友里・・・・・・あぁ、私のスイーツちゃん・・・・・・もう生きていけない・・・・・・』
『え? 友里? ゆうちゃんなの? 交差点でドジして転んで居眠り運転のトラックに轢かれて死んだゆうちゃんなの?』
『何か結構酷いこと言われてる気がするけど、私の事知ってるの?』
『あ、そっか。私の前世の名前言ってなかったね。私奈緒だよ、神埼奈緒。あんたの小学校からのお・さ・な・な・じ・み。久しぶりだね。』
『・・・・・・は?』
いやいや、偶然にも程があるでしょ。ああ、そうか。これは夢なのか。あはは。
『ちょ、ゆうちゃん!? 何で無言で床に頭打ち付けてんの!? 怖いから! 怖いからやめよ、ね? これ現実だから! ・・・・・・現実逃避すんなぁあああああああ!!』
『ゴフッ!?、だからって蹴ること無いでしょ!!』
『うるせえ! 大体こっちは鳥だって言うのに、何でゆうちゃんは最強種族のドラゴンに転生してるんだよ! チートだ、チート! 訴えて勝ってやる!』
『ああん!? 確かにドラゴンだけど、こっちだって色々苦労してんだよ! 何回死にかけたと思ってんだよ! てかどこに訴えるんだよ! 訴える場所ねえよ!』
『それでも生き残ってんだから良いじゃん! 私なんて食われかけたんだからね! 親に!』
『親に!?』
『『ゼェー・・・・・・ハァー・・・・・・』』
『・・・まぁ、そっちも元気そうで良かったよ。』
『ゆうちゃんもね。ホントに悲しかったんだからね? ゆうちゃん死んじゃったとき』
『ごめんて。反省してるから』
『むぅ、反省してるなら転生してからの事を教えなさい!』
『はいはい、んじゃまずは―――』
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『運の悪いことに、森でボスモンスターに会っちゃって。そんでさー、もう死ぬ! ってときにねー。』
『ふんふん。何があったん?』
『何と、竜王が―――』
『フライア、こんな所にいたのか。探すのに手間がかかったぞ。』
奈緒と話している途中に、後ろから懐かしい声が聞こえた。その声の主は竜王だった。
『あ、竜王さん。』
『え!? 竜王様!?』
『全く、我もここまで来ているとは思ってもみなかったぞ。お陰で迎えに来るのが三日目の予定はずが六日目になった。』
あらーやっぱり3日以上経ってましたかー。奈緒がビビってるけど気にしない気にしない。
『そちらにいるのは竜鷲か。』
『は、はい。スイと申します。』
『ふむ・・・・・・フライア、帰るぞ。スイといったな。そなたも付いてくるがいい。』
『竜王さん、良いんですか? な・・・・・・スイを連れていっても。』
『ああ。先程の様子を見るに、友であろう? 恐らくだが、お前にとって生まれて初めての友。別れさせるのは我も心苦しいものよ。』
『そうですか。ありがとうございます、竜王さん』
素直に礼を言う。幼馴染みと折角会えたのに別れるのは嫌だったからありがたい。
『本当にありがとうございます。』
『うむ、では転移するぞ。』
白い光が私たちを包み、それにともなって私の視界も白く、白く染まっていった。
何とpv7,500人と、ユニーク2,600人を突破しました。嬉しすぎて涙です。
また、評価ポイントも130pt到達しました! 本当にありがとうございます!
まだ文体とかあやふやですが頑張って書いていきたいと思います!
もしよろしければ下の方で評価出来るのでよろしくお願いします<(_ _)>