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僕らの旅   作者: yu000sun
35/43

32.襲撃

 皆さんこんにちわ。


 私、山の木霊は10/7より修学旅行に行ってまいります。

 四日ほどのものなので、その間に更新出来ないために、出る前に、更新しておこうとこの話を入れました。

「え――ええ!構いません。むしろそちらの方が心強い!」

 一瞬、聞きそびれたように固まるも、その言葉の意味を理解した瞬間、急に明るく応えた。

 一方でアーウィンは真剣な顔つきで軽く頷くと視線を移す。


「なら補佐をしてもらう人も必要ね。ロインさんと――貴方にも」


 彼女はロイン、続いて何者かに手を差し出すような形で差した。一斉に視線がその先に集中する。


「貴方、名前は?」


 差し出す手の先には、黒髪ポニーテールの男、クロ(仮)の姿があった。


「アリフォリア……アルフォリア・エデム・パスジュラグだ」


 ――おお、なんだかすごい名前が出てきたぞ。


 腕を組み、瞑想しているかのように目をつむっていた彼は、ゆっくりとその目を開くと、静かで低く響きのある声で応えた。(こん)にも見える黒色のかすかに色の薄い瞳だった。


「アリフォリア・エデ……?」

「パスジュラグでいい」


 アーウィンが少々困惑した表情で名前をつっかえるので、クロ(仮)改め、アルフォリア・エデム・パスジュラグは、ため息交じりにそう言った。


「あ、そうね。じゃぁ――パスジュラグ、頼めるかしら」

「……悪いが俺は上に立つ仕事は余り好かない。断らせてもらおう」

「そう……」

「――だが」


 アーウィンが少し残念そうに引き下がると、アルフォリアがゆっくりと身を起こす。


「代わりに一人推薦しよう。俺たちが護衛をしている『サーチャー』になら任せられるはずだ。ハイウェント・アスヴァイターと言う男で――なんだ?」


 アーウィンが、彼が指名する人物の名前を言った途端、疑問を抱いた様子で眉間に皺をよせた。


「あ――いえ、何でもないわ」


 おそらく、記憶と言う名の大海の中へ飛び込みかけていたのだろう。現実に戻されたことを歯がゆいらしいのか、噛み潰すように首を振った。


「『サーチャー』であるなら魔法が使えるわよね? ――魔法壁は作れるかしら? 特大で」

「規模と、攻撃の威力によるだろうが――取り敢えず、街全体はハイエントでも不可能だ」


 二人は最早、この会議室の中の者では、介入できそうにない次元の話をしているように思えた。


 透が会議室を見渡してみると、皆、壊れた机の前に立って話すアーウィンと、座ったまま腕を組んで答えるアルフォリアの会話に呆然と眺める様に、または興味津々の目つきで聞き入っていた。

 一方でロインは居心地が悪いようで、少々顔色が良くない。腕を組んで堂々と話を聞いている姿勢なのだが、その視線は床に散らばった木片に集中していた。


「なら、半分はどう?」


 アーウィンが頼みかける様に聞いた。


「わからん。あいつの本気が今、どれほどなのかも知らない。必要な時に、必要な分だけ力を使う奴だからな」


 残念そうに目をつぶって首を横に振った。


「そう……なら、直接会って聞くしかないようね……」


 腕を組み、口元に右手を当てながら呟くように言った。


「あいつは今、表通りの宿屋にいる筈だ」

「悪いけど、彼を呼んできてもらえるかしら? 具体的な策を考える為にも――ロイン!貴方も団員をすぐに集められる?」

「……ああ、問題ない」


 アーウィンに名前を呼ばれると、僅かに首を揺らし、深い水に沈みこんだものが徐々にその姿を水面に表すように、彼の遠のいた瞳に光が戻って行った。


「他に、団をひきつれた代表者はここにいるかしら?たしかリシアさんと――」


 先ほど、恐ろしい程の怒号を上げた女性がさっと手を上げていた。アーウィンは彼女の名前を呼びつつ手招きすると、周りのハンターが道を開けた。


「……残念ながら、ジェクエラ狩猟団は夕刻に入る手前、この街を出発したそうです」


 町長が突然、そう告げる。さっと透が視線を移した時には、誰かが会議室の扉を閉めつつ、静かに出て行ったところだった。


「そう……これから、策を具体的に作りたいのだけれど――」


 残念そうにつぶやいた後、急に話を転換してラス・ナイク防衛の話に移った。


「私が見る限り、殆どがハンターになってから一年経ってない新人ばかりね?」


 ギクッとして会議室の大半が身をたじろかせた。


「……て、俺に挑戦した人全員ジャン」

「成りたては、大概、腕試しに走りたがるのよ――まぁ、二年、三年と歴を積むにつれ、そういうこともしなくなってくるわね」

「っ!」


 思わず声に出していってしまった透は、アーウィンが苦笑しつつ答えるのを見て、やっと自分が喋っていたことに気が付いた。

 それと同時に、このタイミングで口を入れてしまった状況が急に恐ろしくなり、慌てて口を押さえて縮こまった。

 すかさず横から由久が「馬鹿め……」と口を動かさずに呟く。


 だって……だって!! 見事に怪我した人全員が、居心地悪そうに座りなおしたんだ。思わず言いたくなる!


「じゃぁ、これから会議をしたいのだけれど……悪いけど私の指名する人以外はホールに行ってくれるかしら?ああだ、こうだと大人数で話しても、時間がもったいないもの」


 以外にも特に詫び入れる様子の無く普通に言いきると、さっと会議室を見渡した。


「異議はないわね。当然、ロイン殿とパス……え〜っと、『パス』もここに」


 アルフォリアの苗字――パスジュラグを思い出そうとしたが、思い出しきれず、『パス』と申し訳なさそうに呼ぶのに至った。一方で、彼はこの事に慣れているのか、小さくため息をしただけで頷いている。

 ……だから仲間から『クロ』などと言う愛称で呼ばれていたのか。

 透は大いに納得した。


 『アルフォラグ(・・)・エデ()・パスジュリア(・・)』って覚えにくいよね。


「あと、加えてリシアさん」

「おう!」名前を呼ばれた彼女は威勢のいい声で答えた。


「それと……貴方。そこの貴方もよ」


 その後、四人ほど指名し――彼らの名前は、アーウィン知っておらず、一人々々に自己紹介をさせた。

 最後に、透たちの方を向いて、指名しようかどうか迷った末、経験不足と言うことで三人は、会議室から追い出されてしまった。


「力量的には、まずまずなのだけれどね……」


 アーウィンが扉に手をかけつつ、残念そうに言った。だが、彼女に言われても全然、彼らを目の当たりにした三人には、イマイチ信憑性の欠けていたフォローだった。


「あ、別にいいです――……絶対俺ら、一番弱いぜ? あの中で」


 アーウィンが扉を閉めたと同時に由久が苦々しく言った。追い出されたハンターの中には幾らか経歴を積んだハンターも居たが、力量不足として追い出されてしまっていた。

 ホールで不機嫌そうに歩いているそのハンターを目で追いながら、透は、「きっと、あの人も俺より強いだろうな……」とため息交じりに呟いた。


「そりゃそうだ――あ」

「「あ」」


 松之介が相槌を打ちつつ、前を見た途端に立ち止まった。続いて二人も立ち止まる。視線の先には、透たちとは他のプレイヤー。嵯峨野と久嶋が玄関口から奥に横切るように歩いていた。


「――!?あ、透さん!こんにちは!!」

「や、やぁ……」


 二人はブツブツと会話をしていたようだが、立ち止まってこちらを指差す松之介に目がとまり、続いて透を視界にとらえると、慌てて、敬礼をビシッと決めた。

 一方で、突然の行為に驚きを隠せない透は、少しばかり体を引かせつつ、軽く右手を上げて挨拶する。


「透さんも追い出されたのですか!」

「ま、まぁ、そりゃぁ、素人だし……」


 透が説教した後から、常にこんな調子の二人に、どう絡めばいいのかいまいちつかめていない透は、言葉を濁しつつ引き攣った愛想笑いを――


「ん? なんだ?」


 不意に由久が上を見上げながら呟いた。


「え、どうしたの?」


 助け船に飛び込むといった感じで透は即座に反応した。


「いや、今爆音が聞こえた様な――」


 ヒュルルル………


『おい……あれはなんだ!?』

『え? ――』

 ドカァアン!


 由久が心配を含んだ警戒する様子で話していると、不意に何かの落下音が聞こえ始める。

 同時に外で通行人の叫び声が聞こえ始めた次の瞬間、地震と共に爆音が鳴り響き、岩が砕ける音、誰かの断末魔。


 一気に押し寄せる音の波に、人々は皆、一瞬にして思考が真っ白に塗りつぶされた。


 間髪入れず、それらの一瞬の次に、ホールの巨大で立派な木製の扉に、何かが轟音と共に木片を噴火する溶岩の塊のように撒き散らし、その衝撃でホールに居たほぼ全員が一〜二メートルほど吹き飛ばされる。


 ゴン!


 鈍い音を立てて、その弾丸のように四方八方に飛びだす木片の一つが透の額を直撃した。右上の額が割れんばかりの激痛が走る。

 透は、あの時と同じく、一瞬にして全てを認識することができなくなった。


 透と同じ様に木片に当たる者が数人いるも、皆頭部以外――大半が腕で咄嗟に払いのけた――を強打したくらいだ。


 しばらく、ホールに居る者は放心状態のまま、何かが刺さった玄関口を、まるで餌を発食べる金魚のようにパクパクとアホ顔に口を開け閉じしていた。

 静まり返ったホールに、遠くから鐘の音が聞こえ、次々に爆音、煉瓦が砕け崩れる音が聞こえくる。人々の悲鳴が大きくなっていく。


「……な、なんだ?」

「噴水塔だ……」


 誰かが、呆けた調子で呟き、違う誰かが同じ調子で答えた。奥で扉を慌てて蹴破る音と、噴水塔が轟音を響かせて折れたのは、ほぼ同時だった。


「魔物の襲撃だ!!全員、北の外壁に急げ!!」


 ロインの号令によって慌てて周りが動き出すも、透は何が何だか訳が分からず、とりあえず立ったものの、流れ出る人の波に跳び出す松之介と、それについて行く由久を見失ってしまった。


「あ、あれ?」


 気が付けば透は、石と木片の転がる人気の無い大理石の広いホールに、唯一人、ポツンと佇んでいた。


 愈々、戦闘シーン間近です!


 上手く描写出来るといいですが…頑張らせていただきます!

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