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僕らの旅   作者: yu000sun
34/43

31.会議

「考えてもみりゃぁ、いつも挑戦されっぱなしだったな、ヨルは」

「……?あ、そうだね〜」


 久々に松之介が透を愛称で呼んでくると最近は透、透と下の名前だけで呼ばれていたので、一瞬無視してしまいそうになった。


 適当に間延びした声で答える。


 今や、会議室と、透たち周辺では、ここの一部の空間だけがまるで仕切られた別室のように、空気の比重が違っていた。

 未だ実際に戦ったことの無い、少数派のハンター達は俄かに警戒の色を見せつつも威厳があり、闘って後悔するような程の惨敗を経験したハンター達は逃げ道を探すか、はたまた自分の存在を悟られまいと身を低ませていた。


「そうだったぁ〜。そういやぁ、俺に挑戦してくるハンター多かったもんな〜」


 ご機嫌な声で、はっはっはっと笑う透に、会議室の大半が一斉に身をたじろかせる。その時にわざと(・・・)耳を澄ませてそれを聞きとると、更に上機嫌ににんまりと笑みを浮かべた。


 ……なんだか、悪者みたいで少し嫌な気分もするけど。


 透が視線をかけると居辛そうに挙動を可笑しくさせるので、滑稽に思う反面、少しばかり心に突き刺さる物があった。だが、その痛みを足元にかけすらしないほどの勢いで優越感が透に、激戦の果てにつかんだ劇的な勝利に似た、なんとも言えない幸福感をもたらしくれている。

 安堵に身をゆだねた半目で彼らに視線を移していく。次第に心を突く罪悪感に似た痛みの影が消え去っていくのを感じた。


「……あなた、本当に武器は使ってないでしょうね?」


 噂には聞いていたが、実際にその現場を一度も見たことがないアーウィンは、怪我をしている彼ら、そしてその怯え様に(いささ)か怪訝な表情で、透の視線を遮るように覗き込んだ。


「――え?……あ、ええ、はい」


 ハッとして我にかえると、今の今まで偉そうな態度で踏ん反り返っていたことに気が付いた。急激に自分を恥じる気持が、優越感の高波を突き崩していく。

 慌てて座りなおして行儀良くした。


「それじゃぁ、魔法?」

「え?ええ、そう――ですね」


 あれを正当に魔法と呼んでいいものなのか少し迷った透だったが、考えてみれば魔力を使った攻撃は、全部魔法になることに気が付き、少々遠慮するように小さく頷いた。


「………。」


 由久はと言うと、いつの間にか再び不機嫌さを取り戻しており(幾分は収まっているようだが)冷やかにどこかと知らず目を流していた。


「そうなの……これからは魔法も禁止しようかしら?」

「!?」


 アーウィンが眉間にしわを寄せて顎に手をやると、小さく胸の下あたりを通るように腕を組んで呟いた。

 その言葉に一瞬にして透がショックを受けた様な顔をする。


「ちょ、ちょっとそれは……」


 遠慮気味に慌てて言った。足もとに視線を投げかけていたアーウィンは、チロっと目線を透に戻すと、数秒の空白を置いた後、ふっと口元に笑みを忍ばせる。


「冗談よ。自分を守るためには仕方ないことだわ」

「「はぁ〜……」」


 その言葉が発せられた瞬間、会議室が明らかに落胆したような声が響いた。この瞬間、微かにだが、この会議室にいるハンター達に親近感が湧いた。多少の優越感の味付けのなされた同情に似た親近感。


「ふふ……みんなは貴女に魔法を使われたくないようね」

「そりゃそうだ。“アンフェア ”だしな」


 蔑むように鼻で笑って由久が言った。相変わらず透には横顔を見せているが、その視線の先には何を見ているのだろうか。

 そもそも透は、椅子に座りつつ後ろを向いているので、由久はちゃんと椅子に座っている。


「あんふぇあ?」

「? んまぁ……」


 アーウィンが頓狂な声を上げた。由久は一瞬小馬鹿にしたように眉を吊り上げかけたが、声の主がアーウィンだったという事に気が付くと、わずかに言葉を濁した。


「不公平って意味だ。挑戦者は魔法なんて一切使ってないしな。そもそもこっちの地方で魔法が使えるのって希少なんだろう?」

「確かにそうね……」


 由久から透の顔に視線を移すと、俄かにアーウィンが目を細めた。


「あなたも体を鍛えた方が良いかも――」


 アーウィンが真剣な顔つきで話しているその最中に大きな音がし、部屋の中の者は一斉にその音源に注目した。

 大きく開け放たれた扉に、白髪と鼠色の髪の入り混じった老人が立っていた。


 前髪を後ろに流し、キチッと撫でつけられた髪形に、黒を白色にくすませた様なスーツを着こなすその姿は、日本風の威厳のある実力派の社長を連想させた。


「あぁ、諸君。揃っているようですね」


 姿に違わず、多少枯れつつあるも厚みのある落ち着いた声が静まり返った会議室に響く。


「私が、貿易第二拠点ラス・ナイク。ルビナ第五番街、町長のブラザ・エルラムです」


 ブラザ町長が後ろ手に腕を組みつつ、名乗った。


「『ルビナ第五番街』ってどういう意味ですか?」


 透の後ろの席で松之介がアーウィンに聞いた。本来、彼女はこの席でないため、先程まで隣のグループのハンターの席を借りていた。

 立ち上がり、中腰になって松之介の質問を聞く。数秒の思考の後、アーウィンが声を潜めて松之介に耳打ちした。


「後で説明するわ」


 その声はとても小さい声だったが、会議室全体が静かであるために、前に座っている由久と透にも聞こえた。


「先にラス・ナイク事務長兼外交補佐のペジェム氏が、今回の主旨に触れていたと思いますが――」


 ペジェム氏の名前が出た途端、会議室全体が俄かに殺気めいた。


「あのふざけた野郎はここにいるのか?」


 野太い声で言う二本の鍵爪のついた盾を腕に持ったハンターが噛み付くように言った。


「人を小馬鹿にした態度を取りやがって……どういうつもりなんだ!?あぁあ?」


 続いて少し離れた場所に壁に寄り掛かっている女性が、透が思わず身をすくませるほどのドスの聞いた声で叫んだ。

 が、直後に「デスメタルを歌わせてみたいな」と由久が呟くのを聞き、何故か怖さが薄れて、確かに聞いてみたいと透も賛同した。


「――その件は申し訳なく思っております」


 町長は僅かに足もとに視線を下ろした後、再び会議室内を見渡す。


「彼は過去に、ハンターにそれは酷い仕打ちをされたらしく、その名残が未だに――」

「どうでもいい」


 凛とした響く低い声が町長と、「次は俺が」と口を開きかけたハンターの口頭をつぶした。視線が声を発した男の元に集中する。

 黒髪の長髪。後ろで束ねられた髪は細く、髪を梳い量を減らしてから束ねているのだと透は推測した。

 ポニーテールの細い黒髪に革のコートを着ていて、その衣服の隙間から、衣服のように白い包帯を隙間なく巻かれた胸板が見える。


「会議は五時からの筈だ。すでに四分は遅れが出ている」


 腕を組んで冷静な声で男は言った。威厳を放つ為か、わずかに身を逸らして見据える際、後ろ髪がゆられてその下にあった細身の剣が見え隠れする。


「……。――!」


 男の容姿、声が透の記憶の端に引っ掛かり、もやもやとしたすっきりとしない気持ちにさせる。程無くして透はハッとした驚きの表情を見せた。


「クロさん?」


 一週間も前のことになると思うが、彼は、他に三人の仲間と一緒に『ハウス・ねこ』に食事をしに来ていた。

 彼の本名を知らない透は思わずあの時呼ばれていた愛称を、本当に小さい声で呟く。音として発せられていたかも微妙だ。


「――断っておくが」


 開け放たれた両方の扉の影からすっと全身黒のスーツを着た男が二人出てきた。透たちで言う、黒人と…白人にしては顔の堀が浅い男。

 勢いよく入ってきた彼らの出端(でばな)を挫くように言葉を突き刺す。


「俺を含め、サーチャーとそのガードナーはハンターじゃない。そのことを忘れるなよ?あくまで客人(スケット)だ」


 少々あざ笑うかのように言い放つ。透は彼の言った言葉に?が浮かんだ。


 サーチャー? ガードナー? ハンターではないと思っていたが、今の言ったものは職業だろうか?


「――そうですな。ごもっとも」


 落ち着いた声で町長が言いつつ、さっと右手を上げて廊下の方へ顎で指すと、男は再び扉の影に姿を消した。


「しかし、依頼主にたてついた途端にお払い箱にされるのもどうかと思うがな」


 別の男のハンターがため息混じりに言った。

 透はそのハンターを目もくれることも無く、キョロキョロと会議室を見渡していた。

 あのクロ(仮)と呼ばれていた彼の他の仲間を探すことに世話しなく目を移していた。特に、魔法使いと大男は風貌が異様なのですぐにわかる筈と思っていた。


 もう一人は……。そんなに特徴がなかったかな?


 酷いことに、透はもう一人いた黒に近い茶髪の剣士の姿をすっかり忘れていた。


(『それは、ハンター協会側で既に決まった規則ではなかったでしょうか? ――さて、依頼の内容へ早々と移らないといけませんね』町長が正論で返していると、クロの大きく咳ばらいするのが聞こえ、町長が話を切り換えた)


 ふと、アーウィンが反対側の席にいることに気が付いた。ハッとして後ろを振り向くとやはりアーウィンは居なく、先程まで彼女が座っていた椅子に見知らぬの男性が座っていた。

 振り向いた透に気が付くや、ビクッと体を揺らした。視線は町長の方へ向いているが、冷や汗が出てきている。

 おそらく息を止めているだろう。みるみる顔が青くなってきた。


「……そんな、取って食ったりとかしないって」


 苦笑しつつ透が前に向き直ると、その男性は、はぁーっと妙に年老いた老人の様なため息をついていた。


「――……今回、皆さまをお呼びしたのは、他でもありません。御察しの方も居ますでしょうが――魔物撃退の任を受け持ってもらう為です」


 個々で会話を始めて騒がしくなってきた所に、急に大きく軋む音を発てて扉が閉まった。

 それに続いて町長が話し始めると、段々と騒がしくなってきた会議室が急に静けさを取り戻し、少しばかり緊張の張った空気が流れる。

 その切り替えの早さに、急に自分は、この場においておよそ不釣り合いな人間の様な気がした。


「先日、ルビナ北方の国境観測地点にて、魔物の群れの動きを感知したとの報告が来ました」


 微かにかすれ始めた老人の声が会議室に響き渡る。その言葉に俄かに会議室にざわめきが起きた。


「北方? 北西の山脈ではないのか?」


 ハンターの中で比較的、紳士的な口調の男が、解せないといった顔つきで聞いた。


「北方は東にわたって垂れこむように、防壁があるはず。あそこにはバクザ辺境騎士団がいる筈では――」

「ものの一時間も持たぬ間に全滅、だそうです――しかし」


 彼が言葉を言い終える前に、町長がため息混じりに答える。一瞬、ざわめきあがるも、続けざまに言う町長の言葉に、静かになって次の言葉を待った。


「監視は、国境観測地点から、魔物たちが森の中に侵入する手前まで続けられたそうです」

「それで?他に奴らの情報はないのか?」

「――エンポール!」


 町長が一際大きい声で何者かの名前を叫ぶと、数秒の間の後、静かに扉が開いて先程のスーツ姿の片割れが現れた。


「何でしょうか」


 サッと礼儀正しく腰を折るポールは低く抑揚の少ない声で言った。


「魔物の情報を」

「はい……」


 町長が命令すると、返事をして、さっと顔を上げ直立不動の体勢になった。


「観測地点に置いて『精霊使い』からの水境投影による通信によると、森に入る前の時点で、魔物の数は目測だけで半年前の、『ファグリアン滅亡』時のおよそ三倍。

 村の一つや二つ。一時間で楽に荒地になるということです」

「ファグリアン滅亡時の……およそ、三倍?」


 絶望に打ちひしがれた声が聞こえた。ふと、見ると、大斧を背中に背負いこんだ長身の男が立っていた。

 額には何やら黒と黄色で模様が作られた帯を巻いており、金糸の様なさらさらとした金髪をなびかせている。

 立派な防具に赤茶色のマントを着こんで、騎士とも言えそうなその風貌の男のその表情は、真っ青になっていた。


「で……?それを我々にどうするつもりだ?」

「無論、撃退してもらいたい」


 その言葉を発せられた瞬間、彼は呆けたように見えた。


「報告によれば、群の割合としては、悪鬼が四十、ゴウレムが二十、そのほか、特に見るべきものはないとのことで――」


 エンポール氏が淡々と説明していく。 その間呆けていたように見えた彼が、瞬く間に顔を真っ赤にし、小刻みに顔が震えだした。

 そして――


「じ…………冗談ではないぞ!!」


 火山が噴火したかのような勢いで急に大声を張り上げた。

 空気が、その声によって衝撃波をもたらすのではないかと思えるほどの怒号だった。

 彼はアーウィンに近い、反対側の壁際に立っているといえど、その轟く怒号はビリビリと空気を揺らした。


 透もその気迫に圧倒されて危機感を――


(……初戦から、なんかすごいことになりそうだね〜)

(あぁ、そうだなぁ)

(………。)


 危機感を全く抱いていなかった。透は少々不安げな表情ながらも、言うことはそれほどでもなく、由久に至っては欠伸を噛み殺して、わずかに出てきた欠伸涙を擦っていた。


 一方で、後ろにいる松之介が、酷く恐ろしい笑みを浮かべていたのは、誰も知らない。


「戦いにおいて種類の強弱で、その全体が決まるわけではない!

 最終的には質よりも量だ!!」


 金髪の前髪が顔にかかるのも構わず彼は続ける。


「私もあの時、ファグリアンにいて防衛を任されていた……――はっきり言おう!!」


 今や、彼の前に座っていたハンターたちは椅子ごと席を移動し、避難していた。それに甘んじて前に進み出た彼は、腕組をしていた右腕を勢いよく机に叩きつけた。

 堪え切れずに欠伸をしていた由久は不意を突かれた様子で、急に小さく飛び上がった。


「ここに集まっている防衛勢は……――」


 歯を食いしばり、叩きつけた(てのひら)を、まるで机を削り剥ぐ勢いで力をこめて握りこぶしを作っていく。


「ファグリアンの時の……」


 右腕に掛かっていたマントを吹き飛ばす勢いで拳を振り上げた。そして、目の前の机に狙いを定める。


「――五分の一以下だ!!!」

 バゴン!


 会議室に僅かに驚きの声が上がった。雄叫びと共に振り落とされた拳を中心に、長い木製の木は陥没し、真っ二つに折れていた。

 僅かな驚きな声、それは由久を抜いたプレイヤー側のハンターたちであった。それ以外は何食わぬ顔で済ましている。


「…………五分の一の勢力で、三倍を迎え撃つ。五分五分の勢力でも負けてしまう……不可能だ」

「それで? 他に何か言いたいことはあるか?」


 エンポールは、至って冷静に――それを通り越して呆れてさえ見受けられた。


「……今の話を聞いていなかったのか? 頑なに守ろうとしても被害が多くなるだけだ。だが、街は作り直すことができる。ここは西のハーマスの村か東のビジムの村に――」

「要点をまとめてもらうと」


 クロ(仮)が突然、話し始め、彼の言葉を遮った。


「尻尾巻いて逃げた方が得策だ――だな? ロイン騎士団、団長アクラ・バド・ロイン殿」


 ひやりとした嘲た口調で彼の名を読んだ。


「貴方の率いる団の活躍はサウスロードを渡って南半球でも少しばかり有名です」


 背もたれに深く持たれている姿勢を戻し、さっと立ちあがる。ロインは意外な話に少し気分を直したようで、苛立ちにやり場の無さを感じているようだ。


「ありがとう……だが、今は――」

「ロイン団長殿? 今は防衛策を考える方が先……ですよね?」


 ここで初めてアーウィンに注目が集まった。クロ(仮)の方を向いていた彼は振り返って彼女の方を向く。

 アーウィンは少し離れた席で、余裕な表情でロインを見ていた。


「アーウィンさん!貴女まで――」

「そうね。住民の生活基盤をも守るのが、『騎士』ではなくて?」

「!?」

「ロイン。あなたはファグリアンの時も撤退を推したそうじゃない」

「あ、あの時だって明白な戦力差が出ていたからです」


 ロインが急にどもり始めた。心なしか他のハンターも恐れをなしているような気がする。


「そうね。あなたの率いる二十余名の精鋭が戦力から引かれれば、その分優劣の差が大きくなるわよね」

 


 アーウィンの冷やかな言葉に、ロインの顔色は真っ赤な怒りから病気の様な青白い顔に変わっていった。


「あ、あれは……私は! 私は――間違った判断を下したとは思っていない!!」

「いいえ、あなたは致命的な間違いを犯したわ」


 必死に叫ぶロインにアーウィンは冷たく言い放った。


「『魔物は質ではない、数だ!』……それがあなたの持論よね? ――けどこれが当てはまるとしたら、多勢の人間同士の殺し合いよ……例えば、ファグリアン滅亡の時に、襲いかかってきたのがバグの群れだったら?同じ数であっても……いえ、それ以上であっても、撤退なんて言葉、思いつかないわよね?」


 彼女は今や怒りさえ放っているかのように見えた。


「戦わずして逃げるのは『騎士』団ではないわ。どうしてもというのなら――ハンターをやめること。まぁ、貴方程の人が抜ければ、貴方の団員も含め、ハンターが十人は死ぬことになるけど」

「グッ……」

「さぁ、どうするの? 街の防衛をするか……ハンターを辞めて逃げ出すか……」


 アーウィンが手を差し出すと――距離的には全く届く距離ではないのだが――ロインが、反射的に右腕の水晶を庇いつつ、身をたじろかせた。


「……決まりね」


 彼が渡してこないことを、防衛に参加するという意味と捉えてアーウィンがにこやかに笑った。あれほど怖いオーラを放った後の笑みは、いつもと変わらない明るい笑みであっても、不思議と怒っているように見えた。

 ロインは敗北感に満ちた顔で力なく椅子に戻った。


「――さ、エンポールさん。話が大分それたけど、魔物が到着するのはいつ?」

「……観測地点からの報告では、森に入るまでの移動速度からして、明日の早朝から、明後日の夕方まで、との予測が入っている」

「そう…………町長から、何か策はありますか?」


 軽く頷いた後、少しだけ考えこむと、遠慮気味に聞いた。


「あ、いや……特に無いですな。考えるために会議を開いたようなものですから――私たち素人よりも貴方々(あなたがた)の方がいい案がでると思いまして」

「――なら、私が指揮してもいいかしら?」

「おお!貴女がしてくださるのであれば!」


 彼女が落ち着いた声で提案すると町長が嬉々とした表情で頷く。その途端、会議室が俄かに活気づいた。

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