9話
最近は肌寒さが続きます…
皆さん体調には気をつけてくださいね?
9話
アムレシアの北の城門を出て、歩いて1時間の場所に、初心者でも安全な場所に
俺は来ている。
「薬草の上限はないんだから、たくさん持って帰るか…それにアイテムボックス使えば
状態は気にしないでいいしね。」
―――5時間後
ハハハ…採りすぎたな。
まったく自重する気なしで今回は100本も採ってしまった。
採り方は簡単!!
①薬草を1本採取
②生物には例外無しで必ず魔力が流れているから、薬草の魔力を感知する。
③後はその魔力を周囲で察知するだけ。
これだけでいくらでも採れるから、つい集中しすぎてしまったのだ。
まぁ、アイテムボックスに入れておくから、今日はそこまで騒がれない程度のおさめよう。
ギルドに帰って来た。
城門を警備していたのが、朝の人と同じだったからその場で10分程度話してしまった。
その人は『ガリス』さんという。また、会うだろうから覚えておこう。
「あっ!!ウェル様、おかえりなさいませ。」
俺は運よく空いてる時間帯に帰って来た。
てか俺、あの受付嬢さんによく話しかけられるな…?
「ただいま戻りました。」
「ええ、お疲れさまでした。どうでしたか?」
「ええ、20本ですね。どうぞ」
そういって、あらかじめフェイクの袋に用意していたので薬草をそこから取り出す。
「ほお、結構状態がいいですね!これなら報酬を上乗せできますね。」
お!報酬が増えるのは良いことだ!!
「ありがとうございます。それでいくらになりますか?」
「薬草1本が銅貨1枚なので、銀貨2枚加え銀貨1枚が報酬になります。
お確かめ下さい。」
「はい、確かに。では僕はこれで」
「はい、またのご利用お待ちしてますね?ウェル様。」
そう言って、受付嬢さんの笑顔を後にした。
次にじいさんに呼ばれてたので、メルク鍛冶に来ている。
「おじいさん、来ましたよ。」
「む、お主か。防具は用意出来ておる。こっちへ来い。」
じいさんの所に行くと上から何か被せられた。
「うわ、なんだこれ!?」
「それが防具じゃよ。『黒龍の鱗』の余りでコートを作っとたんじゃ。それをお主のサイズに合わせて昨日作ったんじゃよ。」
「おじいさん、僕のサイズをどうやって?」
「目測じゃよ。」
すご…!
「ドワーフで鍛冶をやってるもんは誰でもやれるぞい?」
「ドワーフ恐るべし…!!」
「ふむ、これでお主の装備は整った…それだけでもお主はC,B辺りの魔物には引けを取らん実力じゃ。」
「まぁ、感謝すんよじじぃ。」
やばい、早く戦いたい!!強い奴と気が済むまで!!
「ふむ、さすがに興奮しとるか。まぁ、今日はこれで終りじゃ。」
「あぁ、ホントに感謝してるぜ。」
今日も良い1日だった。飯は上手いし、風呂は気持ちいい。
今は何となく宿の庭で座って月をながめている。
「ん?」
誰か来たな?
…!!この匂いは…確かフードの人と同じだ。
実はあの時、微かにだが、甘い匂いがしていたのを覚えている。
それは、あまりにも特徴的な匂いだったので今でも記憶している。
「隣いいかな?少年」
そこには、金髪ロングで1本にきびっていて、顔は人形のように綺麗に整っている女性が立ってこちらを見ていた。
この人、いつの間に?
「え、ええ良いですよ?こんな僕の隣でよければ…」
「ああ、すまないね。では失礼するよ。それにしても綺麗な月だね」
「ええ、普段は見ていないので、余計に綺麗に見えます」
この人の狙いは何だ?全然読めない…
一応警戒して、『黒姫』を取り出せるようにはしているけど…
「私は一応ここで冒険者を2年間していてね、ちょうど12の時に登録をしたんだよ。」
「僕と同じ年齢で登録したんですね。」
「あぁ、君も12歳なのか。いや、実は君がギルドに登録している時に私もいたんだよ」
「え?あの場所にいたんですか?ってことは」
「うむ、きっちり『ガート』との戦いを見ていたよ。あれは戦い?と呼んで良いか分からないくらい圧倒していたがな」
「ははは…恥ずかしいとこをお見せしましたね?」
ホントこの人何が狙いだ?もういっそ窯かけるか?
「いやいや、あの戦いで君は中々興味深い事をしていたから、むしろ勉強になったよ。」
「それは、何よりです。それで、あなたの狙いは何なのでしょうか?ただ話に来ただけではないでしょう?」
「ん?ああ、すまないね。つい会話が楽しくて目的を忘れていたよ…では、改めて私は『レーラ』と言う。君にはパーティを申し込みに来た。」
「僕は『ウェル』です。そしてパーティを組んで武器を盗むですか?」
もう一か八かだ!!違ったら謝ればいい…
「む、なんの事かな?」
おっ、当たりか?結構対応が緊張してる。もう一押し!!
「いえ、あなたの香りが以前ぶつかった剣泥棒と似ていてですね…顔も見たんですよ?」
「なっ、顔はしっかり隠していたはずっ!!?」
「はい、ひっかりましたね?」
距離をすぐさま取り、『黒姫』を取り出して戦闘を警戒する。
「はぁー、肝心な所でボロを出してしまったか…しかし、パーティを組みたいのはホントなのだがな…」
「そんなのは、後にしましょう。」
「ふむ、まぁ力ずくで従わせるのもありかな?」
っ!!この魔力、やっぱり強い…ははは!!思わぬ所で戦いとはあるものだな!!
「ははは!!やろうぜ!戦いをよ!!」
すぐに空いた距離を詰め『黒姫』を居合の型で斜め下から放つ
「っ!!それが君の本当の姿か!!?猫かぶってたな?」
レーラは体をずらしただけで、避けそのままウェルの首を狙って手刀で突いてくる。
「っち、まだまだ!!≪逆巻き≫」
空いている左手でレーラの手に絡めてそのまま受け流す。
「ふむ、ホントに強いな…む!ほう、あの一瞬で斬っていたのか?」
レーラの頬から、血が出ていた…
「ははは、あんたも強いな!!」
対するウェルもレーラが逆の手で首に横なぎをしていたので、血が出ていた…
「すぐに終わってくれるなよ?私も楽しくなってきたところだ!」
「それは、こっちのセリフだ!!」
そこからは、ほとんど捨て身の戦いだった。
レーラが魔法≪ファイヤランス≫を放ったり、手に≪アイスソード≫を持ってウェルに斬りかかる。
対するウェルは魔法を刀で散らして、そのまま斬りかかる。
両方とも数多の傷が出来ていて、お互いに血だらけで、周りが気付かないほど、戦いは静かに行われてる。
ちなみにウェルが風魔法で音が漏れないようにもしている。
戦いが始まってから10分経つとお互いに限界が来たのか、一旦距離を取りその場で睨みあっている。
「はは…ホントに君は強いな。ますます君が欲しくなったよ。」
「そりゃあ、どうも…俺もあんたの事情次第じゃ組んでも良いぜ?
まぁ、あんたがまだ隠してるのを見せてくれたらな?」
「ほう、いい度胸だな?君には魔法が効かないから、使わざる得ないだろうが耐えれるかな?」
「あんまし、舐めんなよ?まだこっちだって隠してるのがたくさんあるわ…」
そう言って、乱れた呼吸をお互いに整えて、先に口を開いたのはレーラだ。
「≪八卦封印・解≫」
「はは…妖人か?」
「いかにも、私の名は『ココノエ・マイ』でレーラは仮の名よ」
そこには、頭に狐の耳で尻尾が9本生やしたマイが居た。
「かわいいな、後で触らせてくれよ?」
「なっ!!かわいいなど…むぅ、まぁ勝てるなら触らせてやってよ、よいぞ?」
テレながらマイが言ったが、まだ空気は剣呑としている。
「じゃあ、勝たなきゃな?」
「もういい!!私から行くぞ?」
「ああ、いつでも来い!」
「≪九尾の舞・壱尾≫」
マイの尻尾から火が溢れており、少しずつマイの頭上に丸い形を作っている。
「ははは!!こうでなくっちゃな!!?」
「行け、≪カグヅチ≫」
巨大な太陽がウェルに向かって来ている。
そもそも、これは妖人が身に宿す、妖力から出来ており、『妖術』として発動している。
そもそも『妖術』は術者の想像力であり、それが形を作っていってその術となるので、
『妖術』に基本は無く、それぞれが異なった術を持っている。
補足だが、1人につき『妖術』は1つしか保有しないため、マイは≪九尾の舞≫がマイだけの妖術となる。
「ふー…やるか。≪四の型・断絶≫」
納めていた『黒姫』にウェルの残りの魔力約4万と全力で気功を注いで、居合切りを放つ。
マイの術は爆発して、ウェルの張っていた風魔法は消え、静かな夜の中立っていたのはマイだった…
お読みいただきありがとうございます‼
そろそろ、迷宮をに入りたいですね。