7話
学生(高校生)は受験シーズンが一番きつい
7話
“ブォン!!”
「おい、こら!じじぃ!!危ねえな!!?あれ、当たったら即死じゃねえか!?」
こう話している間にも俺の頭上を剣が何度も通過している…
「ふん、回避だけは立派じゃのう!!」
そう言って、ドワーフの老人がウェルに何度も斬りかかる。
「ちっ!こんなんじゃ埒が明かない!!」
そもそもなんでこんなことになったんだ!?
―遡ること
俺がアーラ商会を出て、紹介された『メルク鍛冶』に向かっていたちょうどその時、俺はフードをかぶった人とぶつかった。
そのフードの人はすぐに謝りもしないで去って行ったが、その場に1本の剣が落ちていたので、拾ったところ、
「おい、小僧!!貴様が盗人か!!?」
「は?」
そこには、白髪で白い髭のドワーフがいた。
てか、このじいさん何て言った?
「すみません。何のことでしょうか?」
「ふん!白々しいの、その剣はワシの店の剣じゃ!!証拠はあるぞ盗人め!!」
あぁ、さっきの人はこの剣を盗んで逃げてたのか…
「いや、それ人違いですって。さっきフード姿の人がこれ落としていったんですよ」
「自分の罪を他人になすりつけるとはこの外道めが!!この手で成敗してくれるわ!」
そこで最初にもどるのだが――
ほんとに俺って不幸だよなー
でもホントこのじじぃどうすっかな?
とりあえず誤解を解くために無力化か…
「おい、じじぃ…悪く思うなよ?」
「何を、いっ!!?」
じいさんが振りかぶった所を、縮地法で距離を詰め、手刀で首に突きつけた
「とりあえず、俺の話聞けよ?な?」
じいさん、自分の状況が分かったのか、首を何度も縦に振る
「ふむ、つまりお主はフードの奴にぶつかって、落としていった剣を拾っただけだと?」
「ええ、信じられないなら証拠はありますよ?
どう見てもあのフードの人は、僕より年上でしょ?身長が160cmくらいはありましたよ?僕なんて140cmくらいですよ?」
「言われてみれば、確かにそうじゃの…ふむ、まぁこの剣が帰ってきただけでも良しとするか」
「とりあえず、誤解が解けたようでなによりです」
「しかし、お主は強いの?一応ワシはランクCはあるんじゃぞ?」
まじか、このじいさん想像してたより強かったのか?
「ま、まぁ鍛えてますから」
「この歳でその強さじゃと将来が楽しみじゃの!」
ガハハって笑ってるけど、一応ここ道の真ん中だぞ?さっさと避けるかなんかしろよ?
「ふむ、お主これからどこに行くのじゃ?」
「ああ、僕は今武器を買いに行ってる途中でしたね」
「ふむ、お主ちょいっとワシの店に来い。お詫びと剣のお礼をしたい」
「それは…わかりました」
さすがに断れないよな…それに断ってもこのじいさん無理にでもつれていこうとするよな。
「ふむ、ではついてこい」
歩くこと20分弱、そこには、
「え?『メルク鍛冶』?」
「そうじゃ、ワシはメルク・ナ―ド、ここの頭やっておる」
え?このじいさんがメルク鍛冶の頭?
「えっと、マジですか?」
「がはは!ホントじゃよ!!なに安心せい、お主の実力はさっきので分かった。
ワシの打った武器でも十分扱えるじゃろう」
ははは…明日は槍でもふんのか?俺が今運が良いって思ってるのは、何かの前兆か?
「とりあえず、中に入れ。お主に渡す武器を持ってこよう」
「えっと…分かりました。ありがとうございます」
「よっこらせと」
じいさんがカウンターの奥から布に包まれた何かを持ってきて、カウンターに置くと
“ドスン”
置いただけでこの音って…どんだけ重いんだ?
「これはの、ワシが人生の中で一番の武器であり、一番の失敗作じゃ…」
「それって、どういう…?」
失敗作を人に渡すって?
「これはの、まず『黒龍の鱗』『ヒヒイロカネ』『死獣の牙』『オリハルコン』と材料にしていてな、鱗はまず鞘に使い、付加効果が≪呪い耐性≫、芯には牙とオリハルコンを混ぜてなそれだけで重さが10倍、最後にヒヒイロカネじゃが、刃に使ったんじゃが、芯と鞘に反応して呪いが付いてしまっての、この武器は持主を武器が選ぶ呪いがついておる…」
まず、材料が凄いな…しかも普通は鉱石と魔物とかの素材の合成は不可能に近いって、本で読んだぞ?それをしたって…
「とりあえず、見せてもらってもいいですか?」
これだけ、凄いんだ…なんとしても選ばれたいよな?
しかも、この武器…今じいさんが言った効果以外にも付いてるな。
根拠はない、直感なんだが妙に感じるんだ…
「ふむ」
じいさんが布を取るとそこには1振りの美しい刀があった…
って刀?
鞘は黒く柄も黒い全部が黒だが、そこからは力を感じて少しだが寂しくも見える…
「美しい…」
「ふむ、これは『刀』と言っての東の果てにある『和』という国の武器じゃ」
『和』か…本で読んで得た知識の中で俺が一番行きたい国だな…
なにせ文化が日本の戦国に近く、皆、着物をきていて、国の中に将軍はいるが、各地の支配者が領地を国に無断で作っている。
領地の取り合いでの戦争もあるみたいだ。
それよりも、刀に触れたい…持ってみたい、振りたいな。
「持ってみても?」
「ああ、ただし持てるならじゃが…」
「では、!!重っ!!?」
まじで重い…これ何キロあるんだ?
「ぐぬぬ…、負けてたまるか!!俺の物になれ!!」
そう言って、俺は全身に魔力を行きわたらせ、気功を使って身体を強化していく。
「な、なんと、なんじゃこの馬鹿デカイ魔力は!!?店の≪魔剣≫が全部反応しておるじゃと!?」
まだまだ!!俺は全身にかけていた身体強化を少しずつ出力を上げていき、腕だけに集中させていた。
そして、
「な、なんと…この刀が認めたじゃと!?」
「ふう、おっ!?これ認められたら重さが軽くなったな!
おい、じじぃこいつは、いや『黒姫』は俺がもらうぜ?」
「がはは!!まったくお主には急な性格の変化といい、馬鹿げた魔力といい、驚かされてばかりじゃの!!」
「気にすんな、ただテンションが上がってるだけだよ」
「そうか、ふむ…お主、名は?」
「ああ、俺はウェル・アルバート。ランクGの冒険者だ!!」
「は?ランクGじゃと?」
「ああ、なんなら見るか?」
「いや、別に疑ってはおらんぞ?ただ、ランクと強さが比例しておらんのは…?む!
ガハハハハハ!!なるほどのぉ!!これはホントに将来が楽しみじゃ!!」
「おい、じじぃ…1人で上がるのはいいがまだ返事をもらってねぇぞ?」
「ふむ!!よいぞ!!それはそもそも、主を選んでおるのでもうお主のじゃぞ」
「そうか、じゃあ『黒姫』はもらっていくぞ」
「む、もう行くのか?」
「ん、ああ…さすがに宿を探さねえと、もう暗いしな…」
「ふむ、ならこの店の3件右となりの宿がオススメじゃな…それと明日もう1回ここに来い。防具も用意しておこう」
「あぁ、じじぃ…色々世話なったな。これからも宜しく頼むぜ?」
「あぁ、いつでも来い…整備はタダでしてやろう」
「あんがとな!じゃあまた!!」
「ふむ」
いい、じいさんだったな…
お読みいただきありがとうございます!!
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