49話
どうもです。
49話
「ウェル様。」
「ん、何だ?」
俺たちは城の敷地内、東京ドームが10個分の広さの中を徒歩で移動していた。
俺たちの居たう王宮から、勇者のいる屋敷まで徒歩15分程で暇だったティアが話しかけてきた。
「勇者が複数居られるのは知っておりますわよね?」
「あぁ、一応40人だろ?」
この言葉に国王たちはビクッと反応し、何処知らぬ風のように誤魔化してる。
成程…テーレは俺が勇者の事件を聞いた事は黙っていてくれたみたいだ。
「え、ええ、で、そのうちの女性の勇者の中に私と仲良くしてくれてる方がいるので紹介したいのですが…良いですか?」
「あぁ、ティアの友達なんだろ?」
「えぇ、とても私の事を分かってくださって今では親友ですわ!」
ティアのその人を相当信用してるみたいだ。今までの笑顔とは全然違う。かなり幼い感じだが、これが本当のティアの顔なんだろうな?
「なら、俺が拒否する理由は無い。っと、着いたみたいだな?」
話しをしているうちに目の前にはかなり大きい屋敷があった。
ここに、勇者が居るのか。なんか、懐かしい感じだ…
「あ!お兄ちゃん!!」
「ん?セラ?何でここに?」
屋敷の門の前には父さんと母さんを抜いたメンバーに、あれは…?
「すまぬな、ウェルよ…どうも王妃が連れてきたようじゃ。」
と国王が何故か謝罪を…って、あれが王妃か。ティアに似ているが、胸は似て無かったのか…ティアはその、察してくれ。王妃はメロンだな。
「ッ!?…ん、ティアどうした?」
「いえ、何か失礼な事を考えたように感じたので!」
おっと…ティアにばれたか!?女の勘は恐ろしいな…
「ウェル君、やっぱりあれの事で?」
「あぁ、キョウこそどうして?」
「それなんだけどね…」
「私が言ったのよ。」
と、マイがキョウの前に出て言った。
「ちょっと私も気になって、王妃様に聞いたら、じゃあ会いに行きましょうか?的な流れになったのよ…」
何か、この国のトップ軽いな!?そんな簡単に良いのかよ?
「うん、まぁ事情は分かった…取り合えず入らないか?」
俺の言葉がきっかけとなり取り合えず、皆門をくぐった。
「ねぇ、ウェル?」
「ん?何だテーレ?」
「その子紹介はいらないけど挨拶くらい…ね?」
そうだな…どうも、テーレにティアは初対面じゃないっぽいが挨拶は必要だな。
「ティア今良いか?」
「ええ、大丈夫ですわ。あぁ、そう言う事ですわね…ウェル様、こちらは私たちだけで十分ですので先にお行き下さい。」
そう言って、ティアとテーレは話しを始めたので、俺は屋敷に入る。
「な!?…これは、和式か?」
「だね…やっぱり勇者って、お兄ちゃん…」
そこには、玄関から靴箱、畳みたいのから、襖とこの世界と言うよりこの国の生活文化とは異なる作りをしていた。
「ここで、靴を脱ぐ、…ウェルたちは自然と脱いでいったの…」
上がると、屋敷の執事に案内され部屋へと通される。テーレたちも終わったようで合流していた。
「ここで、御待ちくださいませ。」
待つ事3分…俺は部屋を観察していた。大きさはかなり大きく100人でも入りそうだ。
しかも畳、庭まであり、池に獅子脅しがある。壁には竹があり、土壁。
もうこれ日本だよな?てか、国王に王妃を待たせるって、ここの勇者は位は王より上なのか?
「失礼すんぜ。で、国王さんよ。用件ってのは、」
「「ハ?」」
俺とセラの顔から表情が消え、同時にある事を思い出した。
こ、いつは…『藜慶』だと…俺を虐めていた主犯で、瀬良を…
「待つのだ、慶。」
「あ?何だよ?」
「え…澪先輩…?」
そして、そいつの腕に自信の腕を絡ませて登場したのは、俺の幼馴染の『神楽坂 澪』だった。
“ピシ…パキパキ…”
2人に続き、他の勇者が10人程部屋に入って来た。見知った顔も何人もいたが、ウェルにそれを考える余裕は今はない。
「どうしたの?ウェル?セラ?」
「瀬良だと?そこの方…今瀬良と…」
さっきのセラの声は聞こえなかったようで、セラが『皇瀬良』と気付いていない。
「ええ、この子がセラよ。」
「な…すまない。人違いのようだ。」
「おい、澪。瀬良ってのは確か…あの屑の妹か?」
「く…あ、あぁその通りだ…」
藜が澪に聞くと澪は苦虫でも噛んだ表情で、気付かれない程度の殺気を飛ばしながら答えた。
「お、お兄ちゃんは屑じゃない!!!訂正しろ!!!!!!」
ここで、藜の言葉にいらついたセラが藜たちにされた事を思い出し、恐怖をしながらも兄を侮辱された事に憤怒を持ち声を荒げて言った。
「は?おい、こいつ大丈夫か?」
「澪先輩も何でそんな下種なんかと!!お兄ちゃんは『夕痲』お兄ちゃんはもう、」
「待て、今なんて…?君は一体…」
「たく、こいつも綺麗だな?こいつもあん時みたいにやるのも良いか?」
“バリバリ…パリン”
藜が言った瞬間にウェルの中で何かが弾けた。
それまで、事を静かに見守っていたキョウにマイ、国王、王妃はそれに気付かず、
「ふむ、ウェルが何か起こったかの?」
「あぁ、主が一つ、何故か目覚めたね?」
「ウェル、さ、ま?どうしたのですか…キャッ、どうしたのですかその手は?血が出るまで握ってるなんて…」
「ウェル…ウェルが怒ってるわ…ん?え!?」
テーレがウェルに近づこうとした瞬間その場にウェルは居なかった。
「グガッ!!!?な…何をしやがるテメェ!!!」
一瞬で藜の前に移動して蹴りを体に放ち、藜が吹き飛ぶ。
「・・・・す・・・・ない…」
「は?何ブツブツ言ってやがる!!?」
「瀬良を奪う者は殺す。藜 慶…お前を許さない!!」
その瞬間にウェルから濃密な殺気に魔力などがあの時のように流れる。
まるで、『輪廻覚醒』を発動した時のように。
「ウェル様!!!お待ちください!!!」
ティアはそれでも怯まずにウェルに抱きついた。
ティアは気付いたのだ。ウェルには勇者アカザとただならぬ因縁があり、そこのウェルの闇が潜んでいると。だから、ティアは自身の夫になる人物をこの手で闇から解放したいと思っている。
「ティア…どくんだ。」
「どきません!!」
「何でだ…?言っちゃ悪いが、俺とお前は今日会ったばかりだぞ?」
「それでもです!!私たちはもう婚約者ですわ。私はあなたを一目見た時にあなたを好きになったのです。この方になら私は抱かれても良いなんて、はしたないですが思いましたわ。」
「何でそれだけで…」
「だからですわ!私はあなた様を復讐の為だけに人殺しをする所を見たくありませんわ!だから矛を収めてください。」
「だが、俺には、」
「ウェル、私も見たくないわよ?それは、ここに居る、マイちゃん、キョウちゃん、セラちゃんも見たくないはずよ?」
「…あー!!くそ。これじゃ俺が悪役じゃねぇか?は~…そのありがとな、ティア、テーレ…皆も…」
「おい、お前…お前は一体…誰だ?」
今までフリーズしていた藜が聞いてきたがおいそれとウェルは教える気は無いが、
《輪廻覚醒・第一段階突破。『神器召喚』が解放されます。裏解錠【復讐乃物語・愛情】がクリア。特典により『神獣使役』が解放。情報を共有いたします…成功しました。》
急にウェルの頭に言葉が響き、良く分からない情報まで得たが、使い方が一瞬で理解した。
「『神器召喚』」
ウェルは自分の中で、ある物を想像してスキルと呼ばれるのを発動した。
『神器召喚』・・・使用者は神器を召喚出来る。神器は自身の想像したのが召喚され効果はランダムで付く。消費魔力50万。
ウェルは前世で愛用していた刀『真刀・暁』を想像していた。
「な…それは…君の手に持つのは夕の『暁』…?」
「『神刀・暁』だ。さて、今日はもう良い…知りたい事は分かった。国王、俺は帰る。」
「う、うむ…今日は遅いから城に泊まると良い…もう手配はしておる。後、ティアとテーレと同室じゃ!!」
「な…まぁ良いか。じゃあ、俺は行く。」
「ま、待ってくれ!」
と言う澪の制止の声を気に留めずセラ達を強引に押して屋敷を後にした。
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