表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Tri ALLs -トライアル-  作者: 木偶 坊
第一章 それぞれの立ち位置:佐井本編
5/14

はじまりの大地

トコトコとエンジンの音が耳に入った。

ハンドルの振動がヘルメット越しに俺の頭を揺らす。

どうやら俺はバイクに身体を預けて眠っていたようだ。

サイドスタンドがいつの間にか下りていて、エンジンはニュートラルに入っていた。


体を起こす。


「……ぅえ?」


間抜けな声が思わず出た。


目に入ったのは赤茶色の平坦な大地。

何処を向いても赤茶色。

点々と緑色が見えるが、ほとんどが赤茶色だ。

地理の教科書で乾燥帯の写真を見たことがあるが、それに似ていた。

エアーズロックとかありそうな場所だ。

しかし俺が先程までいた場所は河川敷の公園だ。


「何処だよここ!?」


俺の叫びが空しく響く。

ヘルメットを脱ぐと涼しい風が髪を揺らした。

気温はそれほど高くはないが、空気が乾燥している、そんな風に感じた。

雲一つない青々とした晴天だったが、俺の心は晴れやかではない。

これは夢だと自分の頬をペチペチ叩いたが、鈍い痛みがそれを否定した。


広大な自然が広がるが、それを美しいと感じる前に不安と焦りが俺を包んだ。

それは時間が経つにつれて肥大していき、やがては恐怖へと姿を変えた。

辺りに誰もいない孤独が更に俺を追い立て、パニック寸前の俺を呼び戻したのは女性の声だった。


「やっと起きたのね」


そんな声がふと、耳に入った。

助けを求めるように、辺りを見回すが誰もいなかった。


「……誰か、いるのか?」


「ここよ、ここ」


俺の問いに応える声は、俺の足元から聞こえた。

正確には俺の股の間。







もっと正確に言えばその声を出していたのは俺のバイクだった。


「……は?」


俺は再び間抜けな声を出した。


短いですがキリがいいので今回はここまでです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ