干支達の夢 その十一 【犬の地位向上委員会】
干支に関するショートショートです。今回は犬 その1です。犬の地位向上委員会という秘密の組織がありますようで…
「だからさ、俺としては」
「うん」
犬の地位向上委員会の最年少メンバーの二人、ケンとタロが向か
い合い座っている。ここは選ばれた優秀な犬だけが利用できる秘密
の地下バーだ。
「やっぱり手っ取り早いのはマスコミを利用する手だと思うのよ。
それも影響力を一番持ってるお子様をターゲットにしたね」
ケンはそう言うとグラスを口に運んだ。口元の塩を拭いながら続け
る。
「結論から言おう。まずはア●パンマンの中のチ●ズな、あいつに
辞めてもらう。その代わりセー●ームーンの中の黒猫●ナな、あい
つの役をやってもらうんだ」
ケンはタバコに火をつけながらそう言った。
「あっ、やっぱりアニメか! で、重要な役のトレードってヤツで
すね? でも、それなら何もセー●ームーンでなくっても。ド●え
もんっていう手もあるんじゃ?」
タロもグラスを手にしながら言った。
「バカだな。ド●えもんじゃダメさ。今一番人気はなんてったって
セー●ームーン。それにド●えもんってやつは性格的には犬だから
ね、インパクトが小さい」
「あっ、そう言われてみれば」
タロは頷いた。
「フォッ、フォッ、フォッ、まだまだお若い」
その時、ふたりの後ろで飲んでた長老、口を出す。
「ア●パンマンに目を付けたのはいい。チ●ズは確かに喜ぶかも知
れんが、セー●ームーンに犬はダメじゃね」
「えぇ~? どうしてですかぁ? 」
ふたりが訊ねた。
「よく考えてみたまえ。子供達に大人気のセー●ームーンじゃが
ね、中学生で金髪、セーラー服の超ミニスカ、ブーツ、メイク、
一歩間違えれば放送禁止じゃよ? そこにマゾッ気たっぷりの犬を
出したら、こりゃSMアニメになっちまう」
長老は続ける。
「わしも月に代わってお仕置きされたいもんじゃ」
ふたりは顔を見合わせた。やっぱり犬は受難者役が一番合うのか
も。
タバコの煙が目に沁みる夜だった。
リバイバルのセー●ームーンに、いつの時代も人気のア●パンマンにド●えもん。子供たちは大好きですよね。著作権侵害の意思はありません。一部を伏字にして許して頂けるでしょうか?