オワリ・ハジマリ
最終章
「おかーさん、早く行こうよ!花火終わっちゃう!」
一階から、子供たちの声が聞こえる。
そんなに、急かすこともないだろうに。
苦笑を漏らして、声に応じる。
「お父さんと先に行ってて!お母さん少し用事があるの!」
不満げにぶーたれる声が耳に届くが、無視して一人支度を続ける。
この日だけは、私はわがままを通そうと決めているのだ。
――――――遠く、花火の弾ける音が聞こえた。
目蓋を閉じると鮮明に思い浮かぶのは、あの夜の彼との逢瀬。
ちょっと無理して大人っぽい格好をして、少し不安になっていたのだったか。
始めに不機嫌そうに振る舞っていたのも、彼の気を引くため。
綺麗と言ってもらえて、とても嬉しかったのを覚えている。
どれもこれもが、大切な思い出だ。
笑って思い出せる、特別な思い出だ。
「ねぇ、今夜の花火もとても綺麗ね」
――――――どこかで、笑ってうなずく声が聞こえたような気がした。
~END~
これにて完結です。
お付き合いいたただきありがとうございました。
きっと誤字脱字がたくさんあるだろうなぁと思いますので、見つけたら指摘お願いします。
また、感想をいただけたら踊って喜びますので、是非お願いします。
それでは、また次作で。