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ひしゃげた指輪

2010/04/21執筆

 十数年前には丁度よかった結婚指輪。今では節くれだった中年の手そのものに変わり果てた私の指には入らない。

 一縷の望みをかけて、左薬指に通してみる。

「ダメに決まってる、よね」

 指の中ほどで止まった指輪。よく見ればいびつにひしゃげていた。

 踏ん切りをつけて、書類を書く。捺印をしてテーブルへ。そしてバッグを肩に担ぎ。

「さよなら、あなた」

 玄関の鍵をポストへ落とすと、妙に晴れ晴れとした爽快感が私の中を満たしていた。

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