1話 なに!?どういうこと!?知らないうちにビックリだらけ!
12歳になったら、必ず、迎えに来るから――。
「誰か」が、私に、そう伝える…。
そんな夢を…昔から見ていたのです…。
ゴーン…ゴーン…。
大きな古時計が、深夜0時を伝える。
その時、【雨宮 菜野花】という少女は、12歳になった。
しかし、彼女はそのことに気付いておらず…ベッドですやすやと眠っている。
瞬間、突如、少女の身体は光に包まれ…。
少女は…それまでの彼女とは【違う存在】になった。
「しばらく見ないうちに、大きくなったものだな、菜野花…。」
【彼女】がポツリと呟く。
「それは、やはり、12年も経っていますから――。」
【彼女】の覚醒と同時に、白髪の執事が寝室へ入ってきた。
「おお…久しぶりだな…。ふふ…老けたな?」
「それも、時の流れです。お待ちしておりました。『いよいよ』…始まるのですね?」
「ああ…『いよいよ』な…。」
「『使い魔』が必要でしょう。準備しております。」
「おお!さすが!気が利くな!」
「色々と、お話したいところでありますが…。」
「うむ…。いつどうなるか分からんからな。とりあえず、やるべきことは先にやっておかないとな…。」
「さあ、こちらでございます。」
執事は、少女の寝室にある本棚、その裏にある機械に【番号】を入力し――。
本棚は「ゴゴゴゴゴ」という凄まじい音を立て、新たな部屋の扉が開かれた。
そこは、灯りが無く――あるのは、【数多く並べられた深紅の蝋燭のみ】だった。
「必要でしょう、これをどうぞ。」
「ふふっ…。やはり、さすがだな。」
【彼女】は、執事から【ナイフ】を受け取った。
そして、【彼女】は、少しだけ小指をナイフで浅く切り…。
小指から流れ出る血で、【魔法陣】を描き始めた。
描き終えたのか、【彼女】は手を止め、何か呪文のようなものを唱え――。
瞬間、幻想的な色の炎が、魔法陣から勢いよく噴き出された。
そして、炎の中から――【綺麗な黒い髪の美少年】が現れた。
「初めまして。――貴女が、俺のご主人様、ということで?」
「うむ。なかなかイケメンじゃないか。よろしく頼む。」
握手をしようと、【彼女】は、少年に手を伸ばした。
瞬間――。
少年は、握手ではなく、【彼女】の手の甲に【キス】をした。
「おやおや…。これは、なかなかの色男だな。」
「ふふふ…。俺の性格は、貴女様の好みなのでは?」
「はてさて…。さて、早速だが」
「貴女様をお守りするのが俺の役目、ですよね?」
「話が早いな!色男の上に、聡明とは!その通りだ。だが、守るのは『私』ではないのだよ。」
「ほう…?」
「『私』は、護衛が必要ないほど『強い』から、大丈夫なんだ。守って欲しいのは――『この娘』だな。」
「娘…?」
「実は私は、『大魔法使い』でな。今は、『この娘』の身体を借りて、ここに存在しているのだ。」
「ふむ…。」
「『この娘』は魔法使いではない、ただの人間、か弱い少女だ。そして、『彼女』が死ぬと、『私』も死ぬことになる。」
「なるほど…。では、『彼女』をお守りするのが、俺の使命なんですね。」
「そういうことだ。後は、戦闘になった際、私のサポートを頼みたい。よろしく頼むぞ、色男。」
「お任せください。――ちなみに、『夜のサポート』も、得意ですよ。」
「ふふふ…。何せ、『この娘』の身体を借りているから、『色々と』自由に出来んのが残念だな…。」
【大人の会話】をする二人。
そこで、後ろで見ていた執事が「ゴホン」と咳払いをした。
「お二人とも、今日はここまでで、お願いします。お嬢様は明日、『学校』がありますので…。」
「おお…!そうか、『学校』…!ふふふ…なんと可愛らしい…!」
「では、明日の『学校』には、俺も同行しますね。」
「ああ、よろしく頼む。さて、今夜はここまで。おやすみ、良い夢を――。」
――――――――――長い夢を、見ていた、気がする。
「ジリリリリリリリリリ」
「ん‥‥?」
なんだか頭がぼんやりする。
うるさい…。
目覚まし時計か…。
…………ん!?!?!?
「学校!!!!!!!!」
【少女】は、ベッドから、勢いよく起き上がった。
「急げ~~~急げ~~~~!」
慣れた手つきで、早着替えをする。
つまり、【日常茶飯事】なのだ。
「お嬢様!お誕生日、おめでとうございます!!!」
執事が入室するなり、突然「バン!」とクラッカーで大きな音を鳴らした。
「わーーー!!!ビックリするーーー!!!でもありがとう!!!」
「お祝いのケーキなどは、また帰宅後にいたしましょうね。」
「ありがとう!!!朝ごはん!!!いただきます!!!!!」