13歳②
翌日、いつものようにカフェテリアで紅茶伝説96の旅を飲んでいるとお昼時間が近づき人が増えてきた。
父から引き継いだ仕事を片付け場所を移動しようとしたらちょうど海とアイラが来たのでそのまま一緒にお昼にする。
メニューを見て私はヨーロピアン~太陽のせ~というパスタを選び、海は平日レディースランチ、アイラはホットサンドを選んだ。ここのカフェテリアはメニューの中に変わった名前を採用しているので選んでて楽しいので気に入っている。
食後のコーヒーを飲んでいると「玲様、長期休みは家の予定が特にないので、練習にあてられます」
アイラから休みの間は帰省しない事を聞いたので長期休みは私邸で練習する事が決まった。
アイラがあまりにも言いにくそうに話すから何か一族の思惑があるのかもしれないが、今気にしても仕方ないので深くは聞かないことにして、早速自由曲を決めるところから始める
課題曲がピアノ/ヴァイオリン/チェロのトリオで奏でる三重協奏曲第1楽章を約10分に編曲したものと自由曲が5分程ある1組20分の持ち時間があり6組で2時間あるので音楽を聴きなれない人はきっと疲れてしまうから悩む。
「海、アイラ何か提案はあるかしら?」思いつかないので2人に聞いてみる
「ピアノで編成できますので流行りの曲はいかがでしょうか?」
海が提案してくれたので流行りの曲からそれぞれピックアップしその中から決めた。
曲か決まり3人で談笑していると次の講義の時間になり海とアイラが、席を立つ
一人になり海の講義が終わるまでどうやって時間を潰すか考える。
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長期休みに入り、コンクールの練習をする為に車で玲様の私宅を訪問する
お父様からは左狐家を調べる様に仰せつかっているが玲様の進学の為に造られた家なのでかなり新しい。左狐家について調べるのは難しそうだなと思いながら呼び鈴を鳴らすと海さんが出迎えてくれた。
「海さんは先にきていたの?」
慣れた様に家の中を案内されながらさらっと「婚約者なので一緒に住んでいるんです」
「…婚約者?」思わず聞き返してしまい海が怪訝そうな顔でこちらを振り向き
「左狐家は10歳で婚約者を決める仕来りなのです」詳しく聞きたいが部屋についてしまったようで海が扉をあけ、入室を促す。入ると防音室になってり玲様がピアノを弾いていた
音を立てない様にし耳を傾ける。
何度かプロのリサイタルに行った事があるがプロと勝るとも劣らない
聞き入っていると玲様がこちらに気づき音が止まる
「アイラ、いらっしゃい、迷わなかった?」
「お気遣いいただきありがとうございます。こちらお口に合えばいいのですが私のオススメの焼き菓子ですのでお召し上がりください」
手土産を渡し、練習する為に準備を始める
楽器は玲様が用意してくれたので椅子に座り弓を張り高いキーからチューニングをしていき、準備ができたので3人で音合わせをし課題曲から演奏をする
チェロから始まりピアノが加わり、ヴァイオリンがソロで加わる
私が1拍遅れてしまった為、演奏が中断してしまい申し訳なくなり俯いてしまう
「気にしなくて大丈夫よ」玲様が優しく声をかけてくれる
「すみません、もう1度最初からお願いします」
何度か休憩をはさみ課題曲を演奏しミスをなくし自由曲も含めて通しで弾けるようになった時には日没近かった。
「玲様、海さんそろそろお暇させていただきますね」
2人に声をかけると玲様が海さんと顔を合わせ、海さんが防音室から退出したので私は帰り支度を始める
数分で海さんが戻ってき、手には紙袋とカメラがあった
「最近カメラを買ったんだけど、一緒に撮らない?」
玲様が嬉しそうに海さんから渡されたカメラを構える
「はい、もちろんいいですよ」
「ありがとう、それじゃあ3人で撮りましょう」話しながらカメラを机に置き、3人で並ぶと玲様の手から小さい子ぎつねが出てきて机に飛び乗りシャッターを押す。
撮られた写真は絶対にひどい顔をしている。
撮り直しをしてもらい無事に撮り終わったので帰りの挨拶をし門まで送ってもらう。
「今日はありがとう、楽しかったわ。急に使役獣をだして驚かせてしまってごめんなさい」
すまなそうな顔をして玲様が謝る
「初めてみたので驚きましたが大丈夫です。私も楽しかったので次回もよろしくお願いします」
玲様の使役獣を初めて見た。玲様は恐らく意識的に力を隠している。
普通はあんなに簡単に使役獣は出せない。
海さんと婚約していたり、意識だと力を隠してそうだったり…もう少し調べてから報告でも遅くはないと迎えの車で考える。
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最高の冬休みが終わり、今期終了イベントが始まる。
毎年、寒い中ホールに集まり音楽鑑賞会をさせられる。出る奴らはいいだろうけど興味ないってのが本音。そう思ってる奴の方が多いだろ、なんたって人のが在校生多いから
ノットヒューマンを訳してN校舎、ヒューマンを訳してH校舎って安直にもほどがある。
ちょいちょいネーミングセンスを疑うのに遭遇する。紅茶伝説とかな
クラスごとに席が分けられ自由に座れるのでこっそり寝ててもばれなさそうな席を選ぶ
俺らのクラスからはもちろん出る奴はいない。ピアノは辛うじて触った事あるけど、普通バイオリンとかチェロとか見たことないだろ。H校舎の半分くらいは金持ちの息子、娘が通ってるが庶民が多い、申請すれば条件付きで学費が安くなるので庶民に人気がある。俺もその口で入ったから面倒くさくても講義や年間行事はサボれない。
きちんとすみ分けできているので金持ち、庶民の争いはなく平和そのもの。だけどこういったイベントは金持ちだけでやって欲しい。プログラムで終わり時間、確認したらあと半分もある。
本格的に寝ようかなと浅く座り背もたれに寄りかかり目を閉じようとしたら音が変わった
振動?雰囲気?なんかわかんないけどさっきまで聞いてたのと違う思わず聞き入っていると1曲目が終わった。次の曲はヴァイオリンから始まった。
「これってアニソン?」思わず声にだしてた
え、今演奏してるの順番てきにN校舎の奴らだと思ったんだけど、ここからだと遠くて顔すら見えない
堅苦しい音楽でも知っている曲だと楽しくなる。眠気も覚めたなと思っていたら肩を叩かれ起こされた
「おい、もう終わったぞ」苦笑いしながら起こしてくれたクラスメイトにお礼をいい
結果がどうなったか聞く。やっぱりというか印象に残っているのはそれしかないけど最優秀はあのアニソンを演奏してたN校舎の奴らだった