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10歳②

「下位の者からの発言、接触。詳しい沙汰はサリバン家に任せるわ。よくよくフェロモンや系譜を教えるのね」


そう言い残し、海を伴い化粧室に向かった


「玲様、耳が出てます」

「だって海、驚いちゃったの。まさか父様が言っていた通りになるなんて」


ビックリしすぎて耳まで気が回らなかったので化粧室で身だしなみと耳を隠す。

今まで海以外は身内(響、奏多)か大人しかおらずフェロモンに引っかかる下位の者に会った事がなかったのだ

まさか家紋をつけた者がああいったこと(無作法)をするとは思いもしなかった。

化粧室を後にし、会場に戻る気にはなれず左狐家の控え室に行くと分家の狐森家がいた。

入室するとすぐに近くに来て挨拶をしてきた


「玲様、初めてお目見えいたします、狐森家 狐森 飛鳥と申します。先程はご無事で何よりでした。」

「飛鳥は見ていたの?」


飛鳥と話していると控え室の入口が騒がしくなり、サリバン家当主が入ってきた

海も飛鳥も私の後ろに控える 4家は上下関係がないものとされているが、あくまでも表向きとして実際は獣化出来る私がいるので左狐家がリードしている。


「初めまして。左狐玲と申します。 サリバン家当主様がノックもせず左狐家の控え室に何用でしょうか?」


当主の顔を立て先に挨拶をする。

確か本日の出席にサリバン家はいなかったはずだ。先ほどの件を聞きすぐにゲートで駆け付けたのだろう顔色に焦りを感じる。


「これは大変失礼した。先ほどの件お詫び申し上げる。

件の分家とそれに近い者を今後、妖狐一族の前に現れない事を約束しよう。

今後何かに困った場合1度だけ無条件でサリバン家が力添えすることを誓う。」


周りで聞き耳を立てていた人ならず者が騒ぐ。


「決定は妖狐一族当主に委ねますので私からのお返事は控えさせて頂きます。

迅速な対応感謝いたします。」


「承知した。左狐家当主にも後程、謝罪させていただく。」


そうして10歳のパーティーはサリバン家の乱入で幕を閉じた。




ー----------


次の日、はじめ(父様)から改めて昨晩の話を聞いた

どうやら、父様には有名政治家や貴族の令息からの婚約打診があったそうだ。

まだ海との婚約は一族のみしか伝えておらず、(姉様)の婚姻お披露目後だったので私に集中したようだが、妖力がないと子をなせないことを知らないので

遠まわしの断りに納得がいかないようで、気を付けるように注意され、進学先についても決定した

私は天花学院に進学し3つ離れた(姉様)は16歳の年でスターン学園に交換留学する事になった。

サリバン家当主は宣言した通りはじめ(父様)にも伝えてくれていた。

力添えについては保留にするとのことで話は終わった。



「海、さっき父様が言っていた天花学院について教えてくれる?」


人ならず者は12歳まで各一族で力の使い方や常識を学び、13歳の年から人と同じ学院に入学する

校舎は違うものの合同行事などもあり交流を図る。

1・9割で人が多く通うが、交換留学制度もあり教育にも力をいれている

この学院で結番に出会う可能性もあり人ならず者にもメリットがある、結番(恋人)になると玉の輿になり玉の輿(結婚)になれなくても卒業すれば大手企業に就職できる為、人にもメリットがある。

結番に出会えると人ならず者の校舎に移動し結番の事や種族の事をお互いに学ぶ


海から大まかな内容を聞き、ほっとする

制御ができるようになってきたが何かのきっかけで人を威圧してしまうかもと思ったからだ


「ありがとう、大まかには把握したわ。まだ先の事だし今日の訓練を始めましょう」


海と向かい合わせ、手をつなぐ。

妖力を練り形にしていく。分身体をつくり使役させ諜報活動や護衛などをさせる為。

作る者により、形が違い、私は狐だ。

大きさも変える事ができてなかなか可愛いので気に入ってる。

大きさが安定しないので訓練をしているが、一族に伝わる妖術はマスターしているので

お遊びに近い訓練の為、可愛さに重点を置いている


「玲様、そろそろ手をつながないで訓練しませんか?」


海が呆れ半分でいう。海に妖力を吸収し分散してもらわないと総毛立つ狐が出来上がってしまう

フォルムが可愛くないので却下だ。

無言で海の言葉を相殺し、指を絡める。おでことおでこをくっつけ微笑むと

海が手を放し腰に手を回し抱きしめ妖力を吸収した


「…玲様、耳と尻尾がででます」


海に言われ離れる。妖力を抑え今日はここまでにする。

尻尾や耳は獣化の次に力の象徴のため家で隠す必要はないが、玲は幼い頃から担ぎ上げられ

比較され隠すようにしている。それでも妖力で威圧になるため、訓練をかかさない



ー------


玲様に仕えてそろそろ3年になる


私は産まれた時から欠間(尾なし)を抱えていた

妖狐一族は必ず産まれた時から尾が1本あるのに私にはなかった

それでも、見捨てずに育ててくれた両親には感謝している。色々調べると特異体質とわかった

どんなに妖力が離れていても威圧されず、分散できる

幼い時に強い威圧を受けてしまうと、妖力欠症に陥る為、威圧しないように訓練することが決められている。成長につれコントールができるようになるが幼い内は難しいときく

たまたま兄の訓練中に傍にいた私をみて父が気付いた。

父から妖狐一族当主のお子様は産まれながらにして尾が3本あり、幼く妖力が制御出来ないと聞いた話を聞いていると私は父から選択肢を与えられた。

玲様に仕えるかこのまま狐野家の片隅で静かに暮らすか。私はすぐに答えが出せないでいると

父は玲様に仕える訓練をするように言った。

礼儀作法や伝統、妖力コントール方法や分散方法を学び日々を過ごす

落ちこぼれの私が仕えてもいいのか分からずにいた時に父に言われ

本家が開催しているパーティーに参加する事になった。

初めて遠目で見た玲様は獣化しており、大きい椅子で丸まっていた

玲様の周りには誰もおらず遠目で見ていた私は一人たたずむ。


「父さん、なぜ玲様は一人でいるの?」


近くに来た父に聞くと妖力が強すぎてはじめ様もさくら様も長時間一緒に入れないそうだ

響様は影響も考え接触ができないらしい

あぁ私は玲様に仕える為に欠陥(尾なし)で産まれてきたんだと思った

他の人達は玲様を見て喜んでいる完全なる獣化は類を見ないと口々に言う


私はどうしてか素直に喜べなかった。玲様を見てから心が落ち着かない

家に帰り父に宣言した


「私は一生、玲様に仕える。その為に今まで以上に訓練します。」


玲様に仕えてからいつも思う

私は玲様の心に添えるようになりたい。

玲様が耳と尾を隠すならそれを応援する。

玲様が何かを成し遂げたいのなら力になる。

玲様に仕える事で私は満たされ、歓喜する。

玲様が喜ぶ事で私は全身の毛が逆立つような喜びを感じる。なぜこの気持ちになるかまだ分からない





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