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10歳

ー…ま

ー-様

玲様!


微睡の中から声が聞こえてくる 耳を声がする方へ向けて答える様に傾ける

まだ眠く起きる気にならないこのままもう1度寝てしまおうかと考えていると


「玲様!きこえてるフリなのはわかりますよ!さあ起きてください!」


海が毛布代わりのブランケットをはぎ取りながら声をかけてくる

成長し妖力を抑える事ができる様になり起きている間は姉様や同年代と関わる事に許可がおりた。だが、熟睡すると獣化(子ぎつねスタイル)してしまうので海以外は入って来れない


「うー、海まだ早くない?なんじ?」

あまりにも眠いので目をあけずに声をかける


「おはようございます。玲様。いまは15時です。今日はこれから玲様のお披露目パーティーですのでこれでもギリギリまで待ったんですよ!」


海の言うとおり時計を見ると12と3を指していた。

左狐家の恥にならない程度には準備をしないといけないので本当にギリギリまで寝かせてもらえたみたいだ 人型になり使用人を呼ぶと海が使用人に指示をしてくてた


10歳のお披露目で家紋が入った和服を用意され、されるがまま着込んでいく

人ならず者は10歳になると仮成人として儀式を行っていたが現代では儀式をやらない代わりに一族とそれに近い同世代の子供たちを集めお披露目パーティーを行うのが通例となってきている

本来なら10歳の誕生日に婚約者(側近)を選ぶが私は既に海を選んだので、妖狐一族の社交と顔つなぎにすぎないパーティーにはいく気になれなかった

不満そうな顔をしながらも文句は言えないのは家紋をつけてのパーティーだからだ

今日は妖狐一族の分家も全家系出席となる 

左狐家(さこ) 狐野家(この) 狐塚家(こづか) 狐森家(きつねもり)  蒼狐家(そうこ)

この5家当主が出席となっており家紋入りパーティーは妖狐に近い人ならず者の当主も来ることになっている

準備が終わり家族が待つリビングに向かう

「父様、母様、姉様 準備ができました。」


そう声をかけるとニコニコ顔でこちらを向き声をかける


「やあ、おはよう。今日は遅くまでパーティーだけどお昼寝はできたかな?」


海が椅子を引いてくれたので腰をおろし父様と向き合い答える


「ありがとうございます。しっかり休めました」


遅くまでパーティーとは言ってもお昼寝をしないと起きてられない程ではないのだが

なにかと子供らしさを求めるはじめ(父様)に言われ、お昼寝をしていたのだ

言われるがまま寝ていたが思いのほか気分がスッキリしている

パーティーには分家の他に政治家や他国の妖や精霊が来ると聞く。


「響、玲 居ないと思うがもしフェロモンにあてられる者が出ても声をかけてはダメだよ?

言の葉に乗せて魅了してしまうかもしれないから。今日は常に奏多君と海君のそばにいるように」


はじめ(父様)が思い出したように話しかける

奏多とは海の兄で(姉様)の婚約者となっている波長も妖力の釣り合いも取れているので先日の響の誕生日に正式に婚姻が決まった。響が成人後に番予定で外交的には暫定的な婚約者として説明しているのでここで発表してしまうようだった。

(姉様)は奏多の瞳の色と同じ淡いオレンジのドレスをまとい、奏多はポケットチーフに響の瞳と同じ青を挿していたのでなるほどと感じた。私と海はそれぞれの家紋を入れた着物で行くことになる

時間になったので4家当主と次代が使えるゲートをくぐり会場に向かう。

会場につくと主催者が挨拶をしてくれたので適当に挨拶をしその場を後にする。

それぞれのお披露目も兼ねているので(姉様)とは別れ海を伴い、ケーキが並んでるテーブルを目指す。



ー-----------

パーティーに着くと甘い匂いがした

近くにフルーツやお菓子が色とりどり並んでいるからかと思っていた

キョロキョロと周りを見回して匂いの正体を確認すべく歩きだそうとしたとこ

親父に声をかけられ、主催者に挨拶をする。今日は狐の姫がきているそうだ

狐の姫だろうとドラゴンの分家の分家である俺の方が偉いに決まっている。なんせサリバン家はかの国で右に出るものがいない程の圧倒的な力とカリスマ性を持つ方が次代様なのだトップに決まっている

挨拶を聞き流しつつ10歳のお祝いを紡がれると親父から離れる

仮成人から成人前の子供にも子供なりの社交があるため、子供が集まる場所に移動する

ボーイからグラスを受け取り一口飲む。少し周りを見回すと狐の一族がいた。ドレスを着ているので仮成人ではないようだが狐は初めて見るのでじっくりと見てしまった。

俺の目線に気付いた狐男が視線から庇うように場所を入れ替えた その反応に少しイラッとしたが 所詮、狐が何をしても俺には敵わないのにと思い溜飲を下げるとまたあの甘い匂いがした

ばッと顔を上げるとそこには家紋入りの着物を着た狐がいた

あぁ、あれが姫だ。一目でわかる。でもどうして心地良い、いい匂いがしてくるのかわからなかった 思い切って匂いの主に声をかける事にした


「おい!そこのお前、狐の姫だな?」

「名前はなんという?」


人ならず者にもヒエラルキーが存在する、この場ではドラゴンの分家の分家の俺が偉いので俺から声をかけてやった それなのに一瞥し何もなかったように移動しようとする

俺に何も感じないのか!俺はこんなにも焦がれるのに!俺をみろ!心が叫ぶ 

思わず、手を伸ばした が、素気無く姫の傍にいた女に手を振り払われる


「無礼者!俺はアゲート・サバ・リザー サリバン家のゆかりの者ぞ!」


声を荒げる。俺が声をかけてやったのに、目線も合わせず、近くにいた女に対応させるとは許さん

そうだこの女は今日の責任を取り俺に仕えさせよう。そう考えていると不躾に言い返された


「我が主に許可なく話しかけ、許可なく触れようとしないで頂きたい」


言い返された事により騒めきが大きくなり親父が来てしまった。バツが悪いが正当性を主張するため手短に説明した

ドラゴン種族である俺から話しかけたのに無視をされた

俺の傍にいると姫は心地良いだろうからメイドにしてやる為にもう1度声をかけた

それなのに格下()が割って入ってきたこと

サリバン家ゆかりの者に手をあげた事を伝えた途端に親父に殴られ霊力で押さえつけられた


「な、なにをっ」


一言吐き出すだけでも重い苦しい圧力がのしかかる、親父は俺を見もせず狐の姫に土下座をした



なにをしているのか分からず狼狽える。なぜ親父が頭を下げる?それよりもその女を俺の近くに…



「申し訳ございません。愚息は左狐様のフェロモンに当てられているようでしてこのようなことを」




フェロモン…近くにいると心地がいいと聞くがフェロモンが効くのは格下と……、フェロモンとはこんな気持ちになるのか?



「下位の者からの発言、接触。詳しい沙汰はサリバン家に任せるわ。よくよくフェロモンや系譜を教えるのね」




下位...?俺は下位だったのか?狐よりドラゴンが下だと?




「寛大なご配慮いただきありがとうございます。」




親父が未だに頭を下げながら離れるのを待っている。突然、圧力が強まり俺は……。




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