0ワん
「今日から家の子だよ!」
1番フルイ記憶
「名前は…どうしよっか」
1番ダイジな記憶
「マユ毛が可愛いからまゆる!」
1番スキな名前
「まゆる!今日は一緒に寝よう!」
1番スキな人
「まゆるは寒がりだね」
1番───────
「まゆる、今日は寒いね」
ちょっと寝てたようだ。
ちょっと寒いから体が震えちゃうな。
「ほら、俺のパーカーかけてあげるからさ」
大丈夫だよ、ボクはへっちゃら。
ご主人の方が寒そうだからこれ着てていいんだよ。
「うわ、今日は雪が降るんだって。
夜は冷え込むよなぁ」
ユキ、というのは見たことがある。
食べた事だってあるんだぞ。
……まぁ、あれはもう食べたくないけど。
「今日は一緒に寝よっか」
ご主人と一緒に寝るのは久しぶりな気がする。
一緒に寝ると暖かいんだ。
ご主人の温もりをすぐ側で感じるよ。
「っと、もうすぐ日付が変わるね」
ご主人が時計を見ながら言う。
明日は何があったっけ……思い出せないや。
「相変わらずマユ毛が丸っこくて可愛いやつだな」
ボクがこの家に来た時から言っているから口癖なんじゃないかな。
「明日はまゆるが家に来てから16年目だよ」
………そうだっけ。
「俺が忘れるわけないじゃないか」
なんかテレくさいなぁ
「まゆる…」
ご主人が呼ぶ。
そっちを振り向くとちょっと悲しそうなご主人が居る。
寒いから体が動きにくいな。
立ち上がれないや。
「まゆる、君の名前はまゆる」
そうだよ、忘れちゃったの?
ボクの名前はまゆる。
キミがこの名前をくれたんだよ。
「誕生日おめでとう、まゆる」
ありがとう、ご主人。
ボクの1番ダイスキな────
ボクの意識はそこで途切れた
一番大好きな人