週末の予定
翌日。優菜は新都市交通の終点で降り、待ち合わせの場所まで向かう。今日は紺と白のアシンメトリーシャツと、チェック柄でミニ丈のプリーツスカート、その右側に膝丈の黒い巻きスカートをあしらったレイヤード風のボトムスに黒のサイハイソックスを着用している。
果たして、待ち人は既に到着していた。
「お待たせ、智」
「おお、優ちゃん。待ちわびたぞ」
優菜の呼びかけに、小さく手を振って迎えてくれるその姿は、チャコールの鹿の子編み七分丈フリルニットに、ミントカラーのサロペットを着用している。つい先日、短くカットされた肩口くらいの長さのミディアムヘアは、今はハーフアップで纏められており、小さなリボンも良いアクセントとなって、可愛らしい感じに仕上がっている。
私服の智を見るのは初めてなので、ついじろじろと見てしまう。
「ど、どこか変かね?」
優菜の視線が気になったのか、智が不安そうな声を上げる。
「ううん。とっても似合ってて可愛いよ」
そんな不安な音色は聞きたくないと、優菜が智に素直な感想を述べる。
「そ、そうか。ならよかった」
と、胸を撫で下ろす智だが、今度は逆に優菜が観察される番だった。
「え、えっと」
「ふむ。優ちゃんはアシンメトリーがお好みかね?」
「あ、うん。持ってる服は殆どそうかな」
まぁ、優菜としては好みというよりかは、私、優希という存在の影響が大きい。
幼い頃から、双子の姉妹がいたという事を聞かされていた優菜は、何時の頃からか、私の事を身近に感じるようになっていった。
そのせいもあってか、優菜は左右非対称というものを無意識に選ぶようになる。
もしも、双子の片割れが生きていたなら、こういう感じだったのかと想い描くように。
「うむ。何とも優ちゃんらしいな」
だが、智がその事を知る由は無い。何となくなイメージで優菜を語る。
「うん。智も気に入ってくれるといいけど」
実際、魅由からは評判がいいが、贔屓目というものもある。私服姿を他人に見せる機会があまりない優菜としては、気になるところだが。
「ああ。いつもよりかっこいいし、何気に可愛さも演出している。絶妙だと言えよう」
何とも言えない感想をいただく。でも、それってどっちなのだろう、と優菜が思っていると。
「ほれほれ、そんな事より、早速今日の目的を果たしに行こうではないか」
急に右腕に掛かった重みに、重心が引っ張られる。智が腕に抱き着いて、いや、これは組んでいるのか。優菜と目が合うと、少し照れたようにはにかむ。
「うん。まずは智の用事だね」
「そうだとも。では、行こうぞ、我が目的を果たしに!」
「いや、口調は普通でいいから」
そうぼやきながらも移動を開始する。そんな二人を見つめ続けている暗い瞳を置き去りにして。




