(再投稿版)
ポップス、ボカロ、歌謡曲…
世の中には様々な音楽の「ジャンル」というものがある。
そして同時に、世の中にはこの「ジャンル」の区分にとてもうるさい人種がいる。
信用・イメージが大事なリアルならいざ知らず、匿名っぽい雰囲気のあるネット社会においてはこの手の人々の暴走を止める術はないと言っていいだろう。
その中でも際立って生物学の如く細かい「ジャンル」が分けられ、かつ輪をかけてそれにうるさいメンドくさい人種が多い音楽の界隈、それがロックだ。
あなたも「メタル」や「パンク」、「ロックンロール」なんて言葉を耳にしたことが一度くらいはあるはずだろう。
もしもネット上でこの辺のジャンル分けについて不用意な発言をしようものならさぁ大変。
すぐにでも矢継ぎ早に訂正の波が押し寄せ、最悪骨も残らぬほどにボッコボコにされること間違いなしだ。
しかし、だからと言って彼らを責めるのは良くない。
僕らにとっては心底どうでも良いことであろうと、彼らにとってもはやそれは死活問題に等しい。
具体的に言えば、「エヴァンゲリオン」のことを「エバンゲリオン」と書いてしまったり、ボーカロイドの曲に対して「TikTokのオリジナル曲」と発言してしまうようなことと同じくらいの重罪なのだ。どうだい、はらわたが煮えくり返ってくるだろう。
ここは一度彼らに歩み寄り、少しでもロックに対する知識を身につけることで円滑な外交を行っていくべきではないだろうか?
そこで、今回は私ぱれっそが世の中に存在する様々なロックについてまとめてきました。「なんか違う!」とか言わないでね、これ大部分がWikipedia情報だから。
まず、「そもそもロックって何ぞや?」って人のために「ロック」の意味をgoo辞書で調べてみると、次のような結果が出た。
1 ロックンロールのこと。
2 ロックンロールをはじめ、その流れをくむ強いビートを特徴とするポピュラー音楽。電気的に増幅した大音量のサウンドを特色とし、1960年代にビートルズが出現して以来、急速に世界に広まった。ハードロック、グラムロック、プログレッシブロック、オルターナティブロックなど。
読み取る限り、音がデカくてビートが強ければ大概ロックなようである。
あと(偏見だけど)音楽以外の面から見ると、反抗心を感じさせるものはなんであれロックっぽいところを感じさせるようだ。
ではまず、辞書中でもいの一番に掲載されている「ロックンロール」について説明していこう。
ロックンロールとロックは、例えるならちくわとちくわぶのようなもので、似て非なるものとしてよく扱われる。もっと良い具体例はなかったのかよとか言わないでね、これが僕の語彙力の限界だから。
ロックンロールというのは主に1950年代から1960年代初頭にかけて流行った音楽ジャンルの一つで、上の辞書にもあるように、ロックの源流となった、いわば「ロックの先輩」的な位置付けの音楽だ。
具体例を出せばエルヴィス・プレスリーやチャック・ベリーなどがロックンロールの担い手だったと言われ、日本でも故・内田裕也氏なんかは口癖が「ロックンロール!」だし、日本にも一応ロックンロールの担い手はいたと思われる。
ただ、実際に彼らの曲を聞いてみればわかる通り、ギターがギュイギュイうるさかったり、ドラムがバンバン激しかったりといった「ロックみたいな要素」は皆無なことがわかるだろう。事実、ロックンロールは「激しさ」よりも「ノリ」が重要であり、今で言うEDMのような世のパリピ達に向けた「踊れる音楽」だったと言われている。
この後からは色々あってロックンロールは下火になり、代わってロックが台頭するようになる。ちなみにこの動きによって犠牲になった「ロール」は「踊る、踊れる」という意味のスラングだったと言われている事からもわかる通り、ここからしばらくロックの世界でダンス的要素は鳴りを潜めることとなる。
この次に流行るようになったのが「ロック」である。
ある程度リズムやコードにおいてしきたりや制限のあったロックンロールと違い、ここからはもう本当になんでもありで、それゆえにここまでの大規模なジャンル分けが起こったと考えている。
しかし、当時は「ロックだ!」と言われていた音楽も後々「これは〇〇・ロック」みたいに新しい名前が付けられ更に細かく分類されているため、「純粋なロック」と呼べる音楽はもはや存在しないと考えて良いだろう。使う楽器ひとつとっても違うロックになってしまう所がロックの面白い所であるそうで、僕らにとっては面倒なことでもある。
ただ一応、初期のビートルズやローリングストーンズは「アイドル・ロック」とか「リヴァプール・サウンド」とかよく分からない用語を使って表されることもあるが、他にピッタリ合う名称がないため、単に「ロック」と呼ばれることが多い。
で、次に紹介するのが「サイケデリック・ロック」、略して「サイケ・ロック」。ざっくり言えば「お薬でイっちゃってる感じの音楽」である。
なんだかこの世のものとは思えない音が入っていたり、妙に声や演奏がグニャグニャしてたり、ビジュアル的にも「これはアカン」と思ってしまうような極彩色だったり、まぁそんな感じだ。
例を挙げれば1966〜68年のビートルズ、同時期のビーチ・ボーイズ、クリーム、ジミ・ヘンドリックスなどが挙げられる。邦楽勢にこの手のアーティストがいなかったのは、日本で薬やっちゃあ社会的に死ぬからじゃねーの。
これが流行った理由は1960年代の社会情勢をある程度知っていなければ見えてこない部分も多いが、とにかく当時はそういう規制が緩かったので大きな動きとしてこの手の音楽やその他反社会的運動が高まり、「サマー・オブ・ラブ」という名前のついた社会現象にまでなったのは事実である。
それと、この辺りから「ミュージシャンと薬物はセット」みたいな風潮が生まれ、この手の音楽がその後も断続的に流行ることが多く、そこからまた新しいロックが生まれることも多々ある。ただし一般常識として当然ながら、違法薬物はいかなる理由があろうとダメ、ゼッタイである。
お次は「サーフ・ミュージック」。
もはや名前に「ロック」と冠されることすら無くなってしまったが、Wikipediaで調べたらこの名称しか出てこなかったのでしょうがない。これも立派なロックの一つである。
肝心の中身だが、YouTubeか何かの動画サイトで「ベンチャーズ」「サーフィンUSA」でググって一番最初に出た動画を見ればもうそれで良い。それがサーフ・ミュージックだ。文に表すのがもう既に面倒臭いし、実際に聴いた方が早い。じゃあ何のためにこれ書いたのとか言わないでね、それ言われるともう返す言葉なくなっちゃうから。
サイケ・ロックと並行して発展したロックの一つであり、日本ではサイケ・ロックの代わりにこれが流行った。それはもうあり得ないぐらいに流行った。具体的に言えば、このサーフ・ミュージックの主要な担い手だったザ・ベンチャーズが日本でのあまりの人気に押されて日本人が歌うサーフ・ミュージックの曲を編曲したり、今でもたまに来日してライブを開くぐらいだ。
ちなみに「エレキの若大将」こと加山雄三氏はこのサーフ・ミュージックを牽引した偉大な人物の一人。最近になって脳出血で入院したけど先日無事に退院を報告してくれた。若大将、いつまでもお元気で。
さぁ次は「ハード・ロック」。
このロックの特徴は「ボーカルやギターが主役」「これまで以上にうるさい音響」「途中で入る『ビャアアア』みたいなシャウトと長いギターソロ」などなど。そう、大抵の人が「ロック」と聞いて思い浮かべる音楽そのものである。
具体例も実に多岐にわたる(Wikipediaで「ハード・ロック」で調べたらとんでもねぇ量のアーティストが載ってた)。有名どころではレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、エアロスミスなどが挙がる。
その登場があんまりにも衝撃的だったからか、多くのフォロワーを生む事態となり、今では「ロック」といえば大概これを指し、このロックを元にさらに新しいロックが生まれることも多くあった。
同時に「この程度の知識でロックを語るなんて」とかほざく老害の温床にもなった。どこもお互い様とはいえ、つくづく罪な音楽である。
続くは「AOR」。
「また名前に『ロック』がねぇじゃねぇか!」というご意見は御門違い。このジャンルは「Adult-Oriented Rock(大人向けのロック)」の略で、こちらもれっきとしたロックである。
具体的には若干ジャズ・フュージョンっぽい要素を入れてきたり、ギターを引っ込めてキーボードやサックスを出してきたり、一言で言えば「渋い」とか言われがちな落ち着いた曲調で、ハード・ロックとは対照的なまさに「大人のロック」といった感じ。
ただ、名前通り若干地味な印象は否めず、AORの具体例として挙げられる洋楽勢もボズ・スキャッグス、TOTOなど、少し洋楽をかじっていないと「誰?」となるアーティストが多い。
しかし、このAORの最大の功績はなんといっても一時代を築き上げ、現在のJ-POPにもつながるジャンル、シティ・ポップの始祖となったこと。
例えばシティ・ポップの仕掛け人として知られる山下達郎と大貫妙子が組んでいたバンド、シュガー・ベイブはAORを売りにしたバンドだったし、AORを演奏する(していた)日本人として挙げられるミュージシャンも、 DREAMS COME TRUEや松任谷由美、鈴木雅之にORIGINAL LOVE(田島貴男)にキリンジと、わりかし知名度の高い、かつ音楽関連の技術や知識への造詣が深い人達が多い。
もちろん異論はあるだろうが、それでもAORは今もJ-POPの根底に潜んでいることだろう。多分。
では続いて「プログレッシブ・ロック」、略して「プログレ」。
直訳すると「革新的なロック」となり、その実態も斬新というか全体的に前衛的な感じがするロックだ。演奏者としてはキング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエスなどが挙げられる。
音楽的な特徴は、それまで控えられていたシンセサイザーが全面に押し出され、とてつもなく高い演奏技術を魅せる必要があり、それ故に歌のない曲も多く、演奏時間も1曲8〜9分は当たり前、下手したら1曲だけでレコードの片面が埋まってしまうほどクソ長い、といったところだ。あの懐かしの「To be Continued...」ネタでかかっていたイエスの「Roundabout」もプログレの一種である。
そのクセの強さのせいで、あまり大衆受けはしないものの、一部のファンからはそれはもうザ・カルト的人気を得ている。普段プログレを作らないミュージシャンがたまにプログレに挑戦することもあるので興味があったら聴いてみよう。
お次は「パンク・ロック」、略して「パンク」。
先程のプログレが演奏技術を重視するロックだったのに対し、こちらは感情や激しさを表現することを重視し、故に力強ければ誰でも演奏できるパワー系のロックだ。有名な演奏者としてセックス・ピストルズやザ・クラッシュなどがいる。
これだけだとハード・ロックと何が違うのかよく分からないが、あちらがギターソロなどで早弾きや歯ギターなどのテクニックを磨いていたのに対してこちらは100%暴動であり、歌詞も当時の政府や技巧派に凝り出したロック達を糾弾するような内容が多かった。
このカウンター的な動きもロック界隈ではしばしば見られ、ロック業界が技巧派に揺れるにつれ一つ、また一つと新しいタイプのパンクが生まれることもよくある。覚えておこう。
続くは「オルタナティブ・ロック」、略して「オルタナ」。
こちらは調べてみてもイマイチどういうものか分からなかったのだが、Wikipediaによると、その定義は「大手レコード会社主導の商業主義的な産業ロックやポピュラー音楽とは一線を画し、時代の流れに捕われない普遍的な価値を求める精神や、アンダーグラウンドの精神を持つ音楽シーンのことである。」、つまり型破りかつ唯一無二であればなんでも良いらしく、それゆえに具体例がバカみたいに量産されているロックでもある。筆頭に挙げられるのが洋楽勢ではU2、コールドプレイ、ビョークなど。そして邦楽勢がここにきてようやく強みを見せる。例として挙がるのが赤い公園、[Alexandros]、エレファントカシマシ、KEYTALK、キュウソネコカミ、銀杏BOYZ、グッドモーニングアメリカ、くるり、GRAPEVINE、THE ORAL CIGARETTES、JUN SKY WALKER(S)、syrup16g、ストレイテナー、スピッツ、ソウル・フラワー・ユニオン、ナンバーガール、NICO Touches the Walls、HIGH and MIGHTY COLOR、BLANKEY JET CITY、POLYSICS、ポルカドットスティングレイ、MAN WITH A MISSION、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、ユニコーン、LOVE PSYCHEDELICOなどなど、マジでとんでもねぇ量の具体例がいる。前提としてこのロックは「唯一無二」という特徴を持つので、もちろんそれぞれ音楽性はバラバラだが、ここに載せられたバンドはそれぞれ日本のロック好きや自称ロック好きらの御用達として現在も人気を博しており、僕が好きなバンドもこの中に含まれていることが多い。
また、オルタナは唯一無二とは言うものの、それを真似たロックバンドが続出して新しいジャンルとして確立されていくこともよくある話。
その格好の例が「ヴィジュアル系」、通称「V系」だ。
1980年代末期に突如現れたX( JAPAN)に発端を起すと言われている(聖飢魔IIとかもV系っぽいけどX起源って言っちゃった方が都合がいいのでそういうことで…)このロックは、デヴィット・ボウイやクイーン、忌野清志郎らのグラム・ロックと呼ばれる化粧をして熱唱するタイプのロックを進化させて、独自の世界観やライブ上でのルールなんかを自分で作り出してしまった、平たく言えば宗教みたいなロックだ。あ、V系ファンのみんな、そんな目でこっちを見ないで、僕まだ死にたくないから。
まぁそうは言っても、「化粧で誤魔化してて中身がない」という趣旨の蔑称としてこの言葉が使われることも多く、世間一般から見たら誰がどう見たってV系なL'Arc〜en〜Cielはこの呼称を嫌っている。
他に具体的な例を挙げれば、GLAY、LUNA SEA、黒夢、GACKTがかつて所属していたMALICE MIZER、変わったものではゴールデンボンバーなんかもV系として扱われる。
曲者揃いのロック業界の中でもここはマジでヤバい。空気が違う。一度ハマれば他のロック以上にのめり込む危険性が高いので、ご利用は計画的に。
他にもオルタナ発祥のロックはある。「青春パンク」だ。
こちらはTHE BLUE HEARTSとかHi-STANDARDとかに影響を受けて、文字通り「青春をテーマにパンクを歌う」ロックである。
残念ながら一過性のブームとして終わってしまったので具体例はそう多くないが、175R、初期のFLOWや藍坊主、ロードオブメジャーなど、世代が世代ならまぁ知ってる…って感じの人達が多い。
いかがだっただろうか。一体ここまで読むまでに何人の読者が脱落していったことか、僕には計り知れない。
まだまだロックは色々と分類されているけど、作者のやる気が尽きたのでとりあえず今回はここまで。次回があるとしたらヘビメタとかニルヴァーナとかワンオクとかその辺を攻めていこうかと思っている。
逆にロックを知らないけどここまで読めたのなら一度興味を引かれるロックを一つでも聴いてみたらどうだろう。もしかしたらあなたにもロック好きの素質があるかもしれない。
と、いい感じに締めの文が思いついたところで終了。それでは。