ちょ…神様、勘弁してくれよ( ;∀;)
アイテム
所持数: 1
「・・・・・・・・・・・・マジ、か・・・・」
俺は今ガックリと膝を落とし虚無感に包まれていた。
俺が愛してやまないMMO RPGオンラインゲーム ダークネスセブンズソード。
ベータテスターで初めてプレイして惚れんこんだグラフィック。訳が分からず手探りで模索し攻略していた懐かしい日々。
気のいいフレンドや見ず知らずのプレイヤーと冒険し、様々な情報を交換していた日々。
極端にドロップ率が低いレアなアイテムを入手しようと何日も粘った日々。
使役化出来るモンスターを躍起になって仲間にしようとした日々。
モンスターを倒しまくって全クラスのレベルを上げまくって、レベルが上がるたびに喜んでた苦行の日々。
アリーナのランキング戦で勝って負けて一喜一憂してた日々。
ガチャ回しまくって爆死して粗悪品を量産したり、課金して高価なアイテムを大量買いして優越感に浸って月末の請求に悶絶した日々。
自分のアバターを着飾って眺めてニヤニヤしていた日々。
運営のイベントに積極的に参加して限定アイテムを貰ったりして狂喜乱舞して楽しかった日々。
長いメンテナンスの待ち時間にソワソワしてた日々。
アップデートが来るたびドキドキと新しいイベントに期待を膨らませていた日々。
サービス終了するまで欠かさずログインボーナスを受け取り続けた。
自分の生活がダークネスセブンズソードと共にあった。
それらの血と汗と涙と時間とお金の結晶というべき大切なアイテムや従魔たちが消えた。
いや、金や時間はこの際構わない。
ただただ大事な想いごと消えてしまった喪失感。
ポッカリと穴が開いてしまった胸の空洞を抑えるように両手を組み、森から覗く空を仰ぐ。
「酷えよ・・・こんな仕打ち無えよ・・・あんまりだよ・・・」
ポロポロと蒼銀と紅金のオッドアイから零れた涙がアバターの頬を雫になり伝う。
ああ、ちゃんと涙を流せるんだ、と凄いな、と思った。
そしてこれが現実である事を再認識した。
うちひしがれ、儚げに涙する麗しくも悩ましく艶やかな美女。
森の木漏れ日が銀幕のヴェールのごとき髪に煌めき、まるで祈りを捧げる乙女の絵画のようだとこの光景を視た者は言うかもしれないだろう。
実際は嘆く全裸の美女を三匹の不気味なグールがただボーッと主人の命令を待って、所在無さげに立っているというシュールな光景があった。