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空の番人

 









 でかい。馬鹿でかい鳥だ。


 拡げた両翼、尾羽も含めた体長はエルドアザルの全長にも匹敵する巨大さだ。


 鮮やかな色合いの長躯。針ネズミみたいに鋭い羽根が翼をびっしり覆っている。頭は鷲に似ていて鋭い猛禽類の視線で此方をじっと見据える。


「コイツはロック鳥、ルフだ。精霊大陸のイベントボス。クエスト『勇敢なるは蛮勇か』かで戦ってティム出来る巨大モンスターだ」


 オレとエルドアザルの周りをブワッと翼をはためかせて悠々と空を回遊する巨大な怪鳥。


「主ヨ、ドウヤラ彼奴ノ縄張リニ踏ミ込ンダヨウダ。我々ヲ敵ダト認識シテイル模様」


「コイツの棲息圏は精霊大陸全域だからな。主食は飛竜という凶暴さで、飛べは嵐を巻き起こす」


 鮫が餌を見定めるように旋回するロック鳥。


「戦ウカ、主ヨ?」


「ああ、コイツに狙われたらまず逃げられないからな。ここで倒してついでに従魔にしてやる。エルドアザル、久しぶりの共闘戦だ。バディ宜しくな」


「承ッタ!我ガ魔瘴の力、存分ニ奮オウゾッ!!」


 エルドアザルが黒い頭蓋骨の鼻穴から瘴気を汽笛のように勢いよく噴き出す。


「気合い入れていくぜっ!魔装剣っ!!」


 魔装剣を構えるオレ。此方が戦闘態勢に入ったと見たか、ロック鳥が旋回の軌道を変えて向き直る。


「来ルゾッ!」


 エルドアザルの警戒の声と同時にロック鳥が飛翔する。雲波を吹き飛ばし巨大な怪鳥が両翼を広げ超速で突っ込んで来る。


 翼の羽根が並んだ剣のように煌めく。


「ムウゥンッ!!」


 エルドアザルが巨軀を唸らせ迎え撃つ。


 ズッッッドッッッ


 大翼と竜骨が重なり鍔迫り合い火花を散らす。エルドアザルが至近距離で顎門を開き瘴気のブレスを吐く。


「朽チレッ、カオスディザスターッ!!」


 触れれば腐り殺す腐食の吐息。


 ロック鳥はぐるりと巨体を翻すと、その場で超速回転を始めスクリューする。錐揉み状にまるでドリルのように回転し瘴気のブレスを掻き消す。


「マジか、コイツ。デカいだけじゃない。頭いいぞ」


 スクリューするロック鳥が一旦離れて向き直る。


 両翼を大きく開き激しくはためかせる。翼の羽根が此方に向かって幾つもの刺突剣となり放たれ飛来する。


「しゃらくさい。叩き落とすっ!チェーンディストラクションッ!!」


 構えた魔装剣を振るい薙ぐ。鉤裂きの連なる刃が無数に分割され長く伸び上がり、空中から襲い飛んでくる鋭利な羽根を次々と斬り裂いて払い落とす。


「穿テ不浄ノ滅光ッ、カオティックバーストッッッ!!!」


 エルドアザルの頭蓋骨の大口がガバッと開き、黒いビームの極光が放出される。


 ロック鳥がけたたましく甲高く鳴く。鋭角なクチバシを開いてエネルギーを収束し、撃ち放った。


 ロック鳥のブレス、ドラゴンスライザーだ。竜の鱗も焼き裂くレーザー。ゲームでは体力が半分切ると頻繁に使ってくる強力な攻撃だ。その分隙もデカいから攻撃のチャンスでもある。ま、ここはゲームに似て異なる世界っぽいから関係ないだろうけど。


 黒いビームと白いレーザーが互いに撃ち合い弾け、青空が目紛しく明滅する。


 遥か空の彼方で戦う二大巨獣。


 大怪獣決戦だ。


 やがてお互いのブレスの応酬が徐々に終息し潰える。


 直後、ロック鳥が翼を折り畳み体躯を翻し超速スクリューを始める。


 アサルトスクリューミングダイブ。文字通りスクリューしながら突っ込む威力絶大突貫攻撃。


「魔装剣形態変化。七罪解放『嫉妬』」


 暗澹たる七罪の痛み(アブソリュートセブンズペイン)を新たな形態に変化させる。


 昏い泡が揺らぎ沸き立ち、刀剣から形作るはロングバレルのマスケット銃。





(ねた)()()(こご)える慟哭(どうこく)


 属性 氷


 追加 病呪、氷結ダメージ最大化


 七罪魔剣の形態のひとつ。七業『嫉妬』の解放された魔具。冷たく狂える絶対零度の冷気が魂をも凍てつかせる。





 装備者自身にもダメージを与えそうな見た目をした透き通る氷の荊棘が幾重にも巻き付いた禍々しい形状。蒼い銃身が美しくも寒々しく痛々しい。


 ジャキッと片手の延長線上に獲物を構え、超速飛襲するロック鳥に銃口の先端を定める。物凄い勢いで空気を切り裂き錐揉み回転してくる巨大な怪鳥に向けてーーーー



「狙い撃つぜ」



 その引き金を引いた。



 亡者の叫びに似た金切り声のような悍ましい銃撃音が大気を震わせ響き渡る。


 砲身から青白いエネルギーの流体弾丸が軌跡を描き迸り、ロック鳥のクチバシの鋭い切っ先に衝突した。


 眼が眩むほどの力の奔流が大気を輝かせる。


 煌々と凄まじい閃光が弾け飛び、ロック鳥の巨体が力無く雲海の波間に落ちて飲まれていった。











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