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美女と魔獣

 






「ランクDゴブリン討伐依頼ですね。受注確認しました。追加素材の納品で報酬額が増加します。ではお気をつけて」


 俺は当たり障りない低ランククエスト王道中の方王道中ゴブリン討伐を選んだ。高ランクの依頼もあるが低ランクの冒険者は基本的に自分のランクより高位のクエストは受けることは推奨されない。


 ここ重要。受けれないのでは無く、あくまで推奨されないというだけで受けようと思えば受けれるのだ。


 まあ、あまりにかけ離れたランクやあからさまに無理そうな内容なら組合が受注拒否をして受けれないだろう。俺が一気にAランクやSランクのクエストを根こそぎクリアしてもいいがそれじゃ面白くない。こういうのは少しずつやるのが楽しい。無双はいつでも出来るのだ。今は初心に帰ろう。


「ゴブリンか、懐かしいな。あの頃はとにかくレベルアップに必死でひたすらに狩りまくっていたな」


 低レベル初心者時代に随分世話になったモンスターだ。ゴブリンにもいろいろな種類がいて序盤から終盤にかけて見かける常連の魔物であった。ストーリー終盤のゴブリンはなかなかの強かさを持っていた。


「……攻撃、回復、補助、阻害魔法を使いこなすゴブリンシャーマンキングは無限に手下のゴブリンハイナイトやゴブリンハイメイジを呼び出す嫌らしいヤツだった」


 俺はしみじみゲーム時代にバトルしたゴブリンの回想をしながら組合から出て街の外に向かおうとしたとこで、どこら辺に行けばゴブリンとエンカウントするのか知らなかった事に気付いた。


「……よく考えたら俺この世界の地理知らんかった。ゲーム時代の1000年前の大陸の知識は役に立つのか?あ〜、一旦戻ってゴブリンの狩場を受付嬢に聞いてこようかな……」

 

 意気揚々と出て行ったから、戻るのは恥ずかしいなぁ。


「ようお嬢さん、冒険者登録したばっかりだろう?ひとりは危ないぜ」


「そうだとも。仲間がいた方が安全だ。俺たちがいれば百人力だぞ」


 俺が戻るかどうか迷いながら街道を歩いていると二人組の男が声をかけてきた。


 振り返ると、そこには細マッチョの高身長にハーフアーマーを身につけた若い男たち。


 片方は金髪ロン毛で爽やか風な笑顔を決めた腰にロングソードを装備したイケメン。


 もう片方は黒髪の短髪に彫りの深い顔の背中にでかいバトルハンマーとタワーシールドを装備したイケメン。


 二人とも結構なイケメン面でなかなかに女性陣にモテそうな好青年ぽい雰囲気を出している。


 イケメンは爆発四散してほしいものだ。


「なんだ? 私に何か用か」


 俺はとりあえず用件を聞くが、これは間違いなくナンパだろう。大方酒場か組合の中で俺に目を付けていたのだろう。


「まあそう警戒しなさんな。別にお嬢さんをどうこうしようってわけじゃ無い。そりゃあ、君がとても綺麗で魅力的だから下心がないと言ったら嘘になるが、まあ、これは親切心だ」


 金髪のイケメン男が苦笑いする。そういうとこも凄い絵になってなんか腹立つ。その視線は時折俺の大胆に開けた見えそうで見えない衣装に向くが、ちゃんと俺の瞳を見て受け答えしている。


 なんだ、ちょっと見直したぞ。俺だったら絶対ガン見したまま視線が固定してるぞ。


「あんたがまったくの素人じゃ無いのは分かる。だが冒険者としては初めてだろう?組合で説明を受けたのはいいがどうすればいいか、分からないんだろう?」


 もうひとりの黒髪イケメン男が俺を真っ直ぐに見て言う。

 ……ドンピシャに的中した。なんだコイツら結構まともじゃないか。俺はてっきり始末した盗賊どもと同じかと思っていた。冒険者っていうのはみんなこんなかんじでフレンドリーなのか?シーラちゃんたちもいい子だったし。


 基本ボッチでソロってたまにフレンドと遊ぶぐらいの俺にはちょっと新鮮かも。ここは素直に彼らに聞いてみようか。


「……ああ、正直どこでどうやって討伐対象と遭遇すればいいのか分からず困っていたんだ」


「討伐対象は魔物か?どんなヤツだ?」


 黒髪イケメンが聞いてくる。


 あ、俺の依頼ゴブリン退治なんだよな。ちょっと恥ずかしいなぁ、ドラゴンにしとけば良かったかな。


「……ゴブリンなんだが」


 俺が正直に言うと、それを聞いた金髪イケメンが腕組み少し考えてから話す。


「ゴブリンか。お嬢さんは冒険者は初めてだろうが戦いの経験はあるだろう?ゴブリンと戦ったことは?」


「……戦った、ことはない。それにまともに戦ったのは随分前だな。それと私はこの辺りのは地理に詳しくないのだ」


 ゴブリンと戦った事はない。まだこの世界のゴブリンとは。まともに戦ったのもゲームだったしな。今はチート満載だから雑魚相手には無双状態だろうが、こちらの世界の魔物がみんな同じとは限らない。


 しかし、今思えばあれら魔獣たちは何処から湧いて出てきたのか。ゲームでは空間から出現する闇から産まれていて、普通に敵シンボルがリアルに滞在し、いちいちリポップが長いボスと違い、再ポップを待たなくてもわんさか無尽蔵に湧いて出て来た。


「なるほど、なら北西あたりがオススメか。あそこならば見通しが良く多少は無理が通る」


 金髪イケメンが黒髪イケメンを見ると黒髪イケメンが頷くき俺に言う。


「正直言うと最初からゴブリンを選ぶのは悪手でオススメじゃあないんだ。あんたような見目が映える女がひとりで相手するのはな」


「ああ、奴らは一匹一匹は弱いが、集団になると途端に難易度が跳ね上がる。そして奴らはズル賢い。そうなると女性は……」


 金髪イケメンが言いづらそうにすると、黒髪イケメンが代わりにハッキリと答える。


「女を拐って犯して繁殖の苗床にするんだ。特にあんたみたいな若く綺麗な女は奴らがほっとくはずがない」


 おーっ、さすがファンタジー定番のゴブリン。ゲーム時代の設定がそのまま生かされている。ということは少なからず世界中の女性たちが被害を受けているのだろう。


 ゴブリン許すまじ。ヤロウぶっ殺してやる。

 

 ゴブリンオブクラッシャー。


 俺はゴブリンスレイヤーになるっ!


 と意気込むものの、ゴブリンがいそうな場所など知らんし、このあんちゃんたちの話の続きを聞く。




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