アルケオン神聖王国
アルケオン神聖王国。
1000年以上の歴史を誇る古代国家。初代国王は人間王アヴァロンの直系の由緒ある血筋とされる末裔の一族。
闇の黎明期に衰退した国家を時の聖女とともに復興し、神聖王国として復権させた。
そして代々王家は聖女とともに栄光の歴史を歩み続け今に至る。
なんちゃらかんちゃら。
という話を今俺は冒険者組合の向かい側にある酒場のビアガーデンでむさい男どもに囲まれ冷たいエールをガブガブ煽りながら酔っ払いどもの話を聞いている。
その話だとこの国の人間の王族は大なり小なり血が薄くてもアヴァロンの血族になる。そうなると直系というか、神と人のハーフでダークネスセブンズソードの主人公たるプレイヤーの扱いはどうなるんだ?
俺はいるし、聖女自身もプレイヤーだし。それとここでいう人間にエルフやドワーフや他種族は入らないみたいだ。純人間至上主義だな。道理でこの国に多種族を見かけないか分かった。そこんところは聖女さんに話聞かないと分からん。
光の女神テラは人間を贔屓目にしていたから、人間が傲り高ぶるのは仕方ないけど。まあ今の俺にはどうでもいいことだ。それよりエールを飲まないと。
「かっはぁあ〜っ!キンキンに冷えてやがるっ!!おかわりを頂こう〜っ!!」
「はははっ姉ちゃん凄え飲みっぷりだっ!よぉし、じゃんじゃん持ってこいっ!俺の奢りだっ!」
城塞の街の中は想像以上の賑わいだった。人々は活気に満ち溢れて、各々の生活の中で自由を満喫していた。
俺はシーラちゃんたちと冒険者組合に向かい、そこで彼女たちの依頼の成否の確認中の間、こうして暇を潰して待っているのだ。
そもそもダークネスセブンズソードに冒険者組合というものは無かった。プレイヤー自身が興すギルドという派閥組織を統括するシステム上の名目、ギルド連盟があっただけだ。
冒険者組合は依頼の斡旋を主とし、依頼主、仲介者、請負人とで成り立つ。ゲームで言うところのクエストを請け負い、その成否で報酬と冒険者としての進退が決まる。
ゲームでは失敗しようが何度でも同じ依頼は挑戦出来たが、この世界では一度の失敗は冒険者としての資質を決めるシビアなもののようだ。確かに護衛対象を死なせり、任務失敗、遂行不可になったら冒険者としての信用をなくすだろう。そういうとこは現実世界と同じだ。
ちなみに冒険者組合を創設したのは聖女様のようだ。それとゲームではクエストは掲示板が村や町に其処彼処にあってそこで受注していた簡素な仕様だった。
「あんたみたいな別嬪さんは、そうそうお目にかかれないだろうよ。うちの聖女様といい勝負しそうだ、はははっ」
男たちが俺の色々な所を見て言う。自分も元男だからよく分かるよ。いくらでも見るが良い、見るだけならタダだ。手を出そうものなら容赦無くギルティだがな。俺が何杯目かのエールを飲んでると向かいの冒険者組合の建物からシーラちゃんとジャスミィちゃんが出てきたのが見えた。
「おっと、私の連れが所用を終えたようだ。随分とご馳走になってしまったな」
俺はキリリッとクールに対応する。全く酔わないのはアルコールを状態異常としてレジストしてるみたいだ。別に構わないか、生前酒にはあまり強くなかったし酔って変な真似したくないしね。
「気にすんなぁよっ、また一緒に飲もうやー姉ちゃんっ。目の保養に最高だったぜ、眼福眼福っ」
男たちが笑いながら俺を見送る。流石に手を出してこなかったな。ナンパの手合いも絡んでくるヤツもいなかったし。そりゃあ冒険者組合が目と鼻の先だからな。トラブル起こしたら速攻で目を付けられるだろう。
俺はシーラちゃんたちに合流する。
「あ、ゼレスさん!」
「シーラちゃんジャスミィちゃん、依頼はどうなったのかな」
「はい。積荷の確保は残念でした。でも商人さんが先程目覚めて気が付いたらしいので、これから会いに行くところです」
「……場所は教会病棟施設」
教会病棟施設?もしかして病院のことか。




