転生刑事純情派
「志之咲さんいつのまにアリーナの中位にランクインしてるんすか。なんすかこれ、スコア半端ねーっすよ」
短く刈り上げた髪型のスーツの20代後半ぐらいの青年が助手席でスマホのゲームで遊んでる。
「君に教えてもらった狩場でだいぶ素材を稼いだからね。装備を一新したんだ。おかげで、戦闘力がかなり上がったよ泉見くん」
缶コーヒー片手にスマホのゲームを器用にスワイプするオールバックの50代ぐらいの年配の男性。
「マジすかっ?確かにあそこはレア素材がたまに出ますけど、メチャ効率悪いっすよ?敵は状態異常乱発するわボスは魔法無効化するわ、雑魚はウザいし稼ぎには向かないはずんなんすが……」
泉見と呼ばれた青年が首をかしげる。
「そうなのかい?だからほとんど人がいなかったんだ。でも『熾天使の霊核』や『天輪の羅神盤』とか、たくさん手に入れたよ」
「はっ!?何激レア素材手に入れちゃってんですか!ていうかそれSランク魔獣の激レアドロップじゃないすか!志之咲さんっ!」
「はっはっはっ、では私は運が良かったんだよ。おっと武器合成が成功したぞ。これは『失われし太古の秘杖アトランティア』聖職者クラスの専用装備か。ちょうどいい、今司祭を育ててるからね」
「志之咲さん!それ超激レアアイテムだから!さらっと簡単に手に入れたよっこのおっさん!!」
志之咲と呼ばれたおっさんは、たまたまだよ、と笑いながらゲームをプレイしていく。
些細なきっかけで後輩から教えてもらったスマホのゲーム。最初は何が何やら理解出来ず、右往左往したが徐々に頭角を現し今や中堅プレイヤーの仲間入りだ。
同じ中堅プレイヤーであるこの部下もまさか上司に暇つぶしにと教えたゲームに本人がどハマりするとは夢にも思わず、既に自身を追い越すほどの腕前にも成長している。
はぁ〜と溜め息をつく青年だが、こんなにも楽しんでくれているので教えた甲斐があったな、と素直に喜んだ。
ピッ――――ザッザザ
《こちらB班張り込み組、マル被が売人と接触するためそちらに向かうと思われる。確保の準備を急げ》
車中の無線から声が聞こえてくる。
「こちらA班。了解した。マル被と売人が接触しだい確保する。両者ともに武器を所持している可能性がある。B班は援護と逃走経路の遮断を頼む」
即座にに無線に対応する志之咲。
「仕事だ。行こうか泉見くん。準備は万端かい?」
「問題ないっすよ志之咲さん。いつでも準備OKですっ!」
二人は手早く車から降り現場へと走る。
いつも通りの仕事。いつも通りの捕物劇。
変わらない日常的な光景。
コレが刑事課警部補、志之咲幸史51歳最期の仕事となり殉職する。
そして死後、神と名乗るものに遭遇し転生し、後に聖女として異世界に赴く。




