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得たもの消えたもの

 








 湖から上がり水辺の縁で濡れた体を細くしなやかな指で白銀の髪を拭う様は傾国の美姫を懸想する。


 いや実際に国を傾けて有り余るほどのは美しさである。


 しかし残念ながら中身は40のおっさんなのだ。

 おっさん美女は自分の体を見たり触ったり色々と確認する。


 さも重要なことであるかのように念入りに、丁寧かつ、慎重に、しかしときには大胆に、聖なる探索を敢行する。















「・・・ふう。ご馳走さまでした。そしてありがとうございます神様。とても素晴らしかったです」


 おっさん美女は艶やかな甘い息を吐き、ピンクな冒険を終え、よいしょっと胡座をかいて座った。もろ行動はくたびれたおっさんだが素っ裸の美女だから構図的に色々とアウトであろう。


「うん、あれだ。ヤバイね。ドチャシコ興奮したわ〜。女体化したのはもちろん嬉しいし男だからなんだけど、このアバターがね〜」


 そうおっさんは自身が今まさに文字通り心血を注いで育てた大好きだったゲームのキャラクターになったことに異常に興奮していた。


 ダークネスセブンズソード。

 正式リリース前のベーターテストからガチでやり込んでいたゲーム。テストプレイの段階から綿密なキャラクタークリエイトが出来たので何時間もかけて作り上げたキャラが今の自分だ。


 そしても正式リリース後もキャラクターデータは引き継ぎ、更なるカスタマイズでルックスからボディまで念入りに調整してきた。


 そのおかげでおっさんのキャラはダークネスセブンズソード、名前長いな。DSSでいいよね。DSSの中でも秀逸な出来栄えとされてクリエイター賞を受賞し、運営から限定アイテムなど貴重なものを貰えた。


 故に人一倍時間をかけ、労力を注ぎ、愛で、育んだ。

 現実には存在しない、もう一人の自分として自身もこんな風になりたい、と密かに思っていたのだ。


 言わばおっさんの願望の塊が具現化されたようなもが、この絶世の美女、美の女神も嫉妬で怒り狂うほど出来栄えのアバターなのである。





 男の勲章は失ったが、たいした活躍はしてなかったので割愛する。









 憧れの非現実の存在に俺はなった。

 だからだろうか興奮が冷めやらない。

 肉体の内側から心の奥から猛るような燃えるような。

 それでいてどこか冷淡さも合わせて綯い交ぜにしたような感覚に戸惑いを覚えた。





「嗚呼・・・なんかぁ、駄目だぁ・・・どうなってんるんだ?これぇ」




 自分から発せられた声はまるで誘うそれだと。

 欲望が無いと言ったら嘘になる。理想的に作り上げた肉体だ。メチャクチャにしたいと何度も何度も想った。

 そしてそれを手に入れた。自分となって。







「あっ・・・」






 これじゃ発情期の雌の獣だと感じたが、コントロール出来そうにない。


 そのせり出した余りにも大きな豊かなそれを下からすくい上げ指に柔らかく食い込ませる。
















「よう姉ちゃん。楽しむなら俺らも混ぜてくれよ。ぐへへっ」















 突然下卑た男の声が静寂な森に響いた。












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