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はぐれおっさん転生系

 







「やめた。今のアンタじゃヤル気しないわ」


 俺は展開してた槍を魔装剣に戻してイベントリに突っ込み、くるりと背を向ける。さっきまで昂ぶって闘争心は既に無くなり、今は冷めた感情が支配している。


 いわゆる賢者モードってヤツだ。まあ、出すもん出したからちょっと落ち着いたのだ。


「……なんだと?待てっ貴様!もう一度戦えっ!私には神に与えられた使命が……」


 聖女が、焦ったように叫ぶ。


「……聖女さん、アンタ、神様が〜とか使命〜とか言ってるけどこの戦いで死ぬつもりだったんだろう?最初から。俺にやられて」


「!!」


 俺の唐突の言葉に聖女の顔が驚愕に変わる。仮面みたいな顔だったのにそんな表情も出来たんだ。


「そ、それは誠でしょうか、主人よ……」


 そして驚いていたのは聖女の従魔たちもだ。


「…………いつから気付いていた」


「途中からだよ。全力で闘うとか言っときながら全然本気じゃなかったろ?だから俺も合わせてやったんだ。まあ結構楽しめたからいいけど」


 思えば最初から違和感を感じてたんだけど、俺も初めての異世界でテンション上がってたからな。


「アンタの上司?の神様に何か命令されてるみたいだけどアンタみたいな強いヤツと闘えて俺はワクワクしたよ。でもアンタはそうじゃない、自分の顔鏡で見なよ。白い顔がさらに死人みたいに白いよ、まるで人形だ」


 聖女は俺の言葉に死んだ魚みたいな淀んだ目をする。


「……人形。そうだ、私は人形だ。世界の監視と異界に入り込んだ異分子を排除するのが私の役目だ……そして貴様が現れた。600年間待ってようやくな。私は嬉しかった、これでやっと終わりに出来ると」


 聖女は目を瞑り静かに語る。


「……私は生前公務員、警察官だった。これでも刑事課でな、それなりに検挙率はあったし、部下にも慕われていたと多少は自負していた。妻にも子供にも恵まれ、仕事もやりがいがあった」


 おうふ。どうやら聖女さんは元警察官だったようだ、それもベテランの。さらにさらっと妻とか子供とか言ったからこの人、男だ。しかもこれ俺より年上のおっさんだ。


「……だが仮にも警察官だ、命の危険は無いとは言い切れない。何度か危ない目にもあった。……それでも、充実した人生。私はそう思った」


懐かしそうにする聖女。


「……ある時長い張り込みで暇を持て余した若い部下が携帯でゲームをしていた。時代だろう別段咎めることでは無い、むしろ気を紛らわせるには丁度いい。私はその若い部下が熱心に集中するゲームがなんなのか聞いてみたのだ」





 聖女がふっと笑う。





「それが"ダークネスセブンズソード"だった」












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