魔女VS聖女3
双極剣を携える蒼穹の戦乙女アウライディスが屹立する。
「……そっちが本気で来るなら俺も本気でやらないと悪いからなっ、来いっ!七罪魔装剣『暗澹たる七罪の痛み』!!」
ゼレスデウナが振り薙いだ右手先の延長線上に黒く紅い連刃片がひとつずつ出現し、刃鳴り立ちながら重なり、七つの鉤状の大太刀になる。
互いの獲物を互いに構える。
場を支配する圧倒的な強者同士の緊張と気配。
先に動いたのは聖女たち。
大鷲の戦士の鳥人バルバロットが空中を駆け、翼を広げ大戦弓を構える。
「先手必勝っ!穿てっ我が戦弩!!絶技『烈空虚鷲弓波』っ!!!」
大戦弓から射出された音速のエネルギー弾が無数の矢状の雨となり、魔女たちに一斉に襲いかかる。
「させんっ!我が鬣っ、我が牙っ、我が爪っ!数多貫く幻影にして幻影に非ずっ!!『獅子閃迅極光破』っ!!!」
ジークレオヴァルトが大地を蹴り、奔り、その軀が白熱化し何百体もの光の獅子に分身する。
光の矢群と幾多の幻影が衝突し、相互消滅させていく。
「……忌々しきかな、光の御使どもっ!永きに堕としめられた妾たち闇の血族の嘆恨と怨念を受けよっ!!『ブラッディアストラルデスヴォイド』ッ!!!
吸血姫アルモディアの全身から夥しい量の鮮血が噴き出し、巨大な手の形に変え聖女たちに攫み来る。
「……光在れば闇何処、光成せば闇無浄。我が身、邪を祓う劔なり。天使剣『封滅神雷斬』っ!!!」
騎士レヴェアールが構えた神気に満ちた儀式剣を袈裟斬りすると雷の斬撃波が空を割き、大地を奔り、迫る巨手を縦に両断する。
「チョロチョロ小煩イ羽虫ドモガッ!マトメテ朽チルガイイッ!闇ヨ全テノ命ヲ喰ライ蝕メッ!!『カオスディザスター』ッ!!!」
黒龍エルドアザルが漆黒の水晶の巨体をくねらせガバリと竜骨の大顎が開き、冥洞覗く深淵から暗黒の瘴気のブレスを吐き出した。
「むっ!?これはいかんな。我が魔笛は幽玄の調べ、虚無の夢幻を奏でる神域の旋律。魔曲『破軍の行進』」
老奏者ナグダが笛を奏でると勇ましい音色の曲とともに聖女たちを守るようにオーロラの壁が出現し暗黒の瘴気を弾く。
「わたくしの妙舞を特等席でご覧あそばせ。舞うは火の粉、踊るは紅蓮。炎舞『ヒノカグツチ』」
舞者ファルシアスが蠱惑の肢体を滑らかに悩ましく躍らせながら燃え立つ炎の剣を何十何百と幾重にも創り出し、その全てをゼレスデウナたちに放つ。
「……甘いな、敵を攻撃するってのは、こうやるんだよ――――魔装剣技『狂無斬絶命閃断』」
魔女ゼレスデウナが切り上げるように魔装剣を振るう。
連刃を鳴らしながら黒紅の蛇刀が飛来する幾百もの炎剣を次々とその鉤牙で斬り喰らい、尽く断ち、無限に伸びやりながら聖女アウライディスの従魔レヴェアールの斬撃を斬り伏せ、バルバロットの雨の矢を一掃し、ナグダが張ったオーロラの壁を打ち砕いた。
従魔たちが攻防した一瞬さえも超える速度で。
「そんなっ、私の舞が!?」
「小生の裂帛の斬撃を!?」
「我の神速の矢が!?」
「なんと!儂の魔曲を破るとは!?」
驚愕する間も僅かに聖女の従魔たちに無慈悲な死神の刃が超速で迫る。
「――――我が身、我が技、あまねく光を以て奇蹟と成せ。神技『シャイニングエターナルキャリバー』
聖女アウライディスが天高く構えた対の双剣。
それは光の環を描き神々しく輝く巨大な極光の長刃へと至り、螺旋を巻くよう薙ぎ斬り振るうと衝撃と烈風を巻き起こし、従魔たちに襲い来る無尽の蛇刃のうねりを極光刃が全て打ち払い防いだ。




