魔女VS聖女
立ちはだかる禍々しい魔力を放つ異形。
だが聖女アウライディスは特に臆する事なく表情には余裕さえある。
「…やはりそうか。ダークネスセブンズソードをプレイするならば必ずストーリー上で戦い従魔にすることが出来るSランク魔獣の七罪の大業を持つ魔将。貴様が手中に収めていたか。…神が言った通り貴様は危険すぎる存在だ。この世界を侵す劇毒になるだろうことは難くない」
「ふっ、随分余裕そうじゃないか。それにアンタもいるんだろう?自分の従魔が。俺が闇系統でアンタは光系統。闇と光は相互相性で互いに潰し食い合う。アンタも無事じゃ済まないだろ」
俺の従魔は皆んな闇系統に隔ってるんだけど邪神の思惑だろうか。
それに聖女様の言葉で確信した。聖女様には七罪業の従魔はいない。いや、いないというか仲魔には出来なかったんだろう。
俺の勘が正しければこの世界では固有の従魔は一個体しか存在しない。実際のゲームならば全てのプレイヤーが同じ従魔を持っていて普通だが、この世界ではそうはならないようだ。
誰もが持っていた最強の従魔たちを俺が独占しているのだ。これはチートと言えよう。
まあ、要するに早い者勝ちという事だな。これには最初に貰った邪神様に感謝するしかない。
そうなると逆のパターンだ。俺は闇系統のステータスに隔っており、そのせいか光系統の魔法やスキルは使用出来ない。
となると今目の前の聖女様は光系統であり、闇系統は使用不可ということになる。
そうだとしたら、光系統の従魔を召喚出来るはずだ。
それも向こうの神様のお墨付きで、最強クラスの。
「…見え見えの安い挑発だ。だが、確かに闇属性と闘うには私も相応の手段を取らざるを得ない。特に最高位ランクのプレイヤー同士の対戦では、それは特に顕著だ。故に……」
聖女アウライディスが手をかざす。
「…その挑発に乗り、私も呼ぶとしよう。私の仲魔たちを」
かざす手に強力な魔力が集中する。
「ーーーー我が御技は神の奇跡。神界の頂に座する大いなる主の御名を代り、我に忠実たる尖兵を授けたまえ。ーーーー従魔召喚ーーーー」
アリーナ上空から雷音が轟くき木霊する。
白雲を突き抜け、蒼天から凄まじい稲妻が飛来し、闘技場の地に着弾する。
脈動する魔力の暴流が魔方陣を形成し、電嵐のスパークとなり溢れる光芒の渦中に姿を現しは影四つ
勇尊かつ神々しいしき遮光の御羽根を日輪に担ぎ、黄金の全身鎧を抱く雄壮の騎士。右手に細美な儀式剣を掲げ片羽の兜を戴く姿はまさに神のしもべ、天上の御使。
「小生の名は高潔の聖騎士レヴェアール。聖苑なる御処女の祈りにて侵奪なる愚弄に神の鉄槌を下さん」
火炎の羽衣を豊満な肢体に羽織る朱く燃え立つ髪に朱い肌の美女。全身を炎の燐粉が舞いて踊る幻想かつ美しい姿は現し世に非ずの存在。
「私の名は緋焔の悠姫ファルシアス。気高き御処女の祈りにて蒙昧なる愚輩に神の業火をもたらさん」
軽やかな笛の音色が聴くもの魂に安らぎを与える。善者には祝福と栄冠の旋律を。悪者には畏怖と悔悟の戦慄を。長い横笛を両手に奏でる異国の緩やかな民族衣装を纏う白い髭を蓄えた白髪の老人の男性。
「儂の名は幽笛の魔奏者ナグダ。壮麗なる御処女の祈りにて卑賤なる愚々に神の調べを与えん」
力強い風鳴りが空を駈け、天に両翼が羽ばたく。鋭角な嘴と勇猛なる瞳を備え、長大かつ剛健な戦弩弓を構えるは大鷲の戦士。脚先に映える蹴爪は全ての獲物を刈り取り、手にした大弓は全ての獲物を逃さず貫く。
「我が名は烈空の猟王バルバロット。勇敢なる御処女の祈りにて陋劣なる愚昧に神の御矢を穿たん」
神の威光に照らされた四体の守護者が聖女を守らんと現界せしめた。




