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剣士の少女

 





 あたしの名前はシーラ・レエル。


 ルホネスという小さな田舎の村の農家の娘として育った。ルホネスの村の人たちは昔からモルズの森の近くに集落を作り狩りや農業をして生計を立てて暮らしていた。


 何も変哲も無い何も特産品も無い貧しい村だったが、村の人たちは当たり前のように生活を受け入れていた。


 毎日を忙しなく変わり映えしない日々を送る村人。

 自分も農作業の手伝いをする毎日を過ごしていた。これからもずっと変わることが無い日常、あたしはそれがとても嫌だった。



 時間がある時、あたしはお気に入りの絵本を読み耽る。

 小さい頃に村に来た行商人から親に買ってもらった騎士と姫の物語だ。背表紙が擦り切れてボロボロになるまで読み込むぐらい好きだった。

 女の子だったら普通はお姫様に憧れるのだろうが、ボクは騎士に憧れた。

 あたしは小さい頃から村の男の子たちに混じって遊んでいたから、そのせいかもしれないけど魔物を倒しお姫様を救う騎士がとても好きだった。

 いつか自分も物語の騎士みたいになりたい、と。魔物を倒し人々を守る強い存在になりたい、と。


 でも別に騎士じゃなくても良かった。

 ただ変わり映えしない日々が退屈だったから抜け出したかっただけなんだ。








 ある日、村が魔物に襲われた。

 モルズの森には魔物自体は少ないが時たま野生の動物が堕落して魔物になることがある。

 その時は狼が魔物化して何匹も群れを成して襲って来た。村の人たちは戦える人は総出で立ち向かったが、数が多く何人かの人が傷を負い、命を失ってしまった。


 村に冒険者組合は無いし、村に護衛の傭兵や冒険者がいれば魔物を退治してくれたのだろうが、村には護衛を雇うお金は無いし、こんな寂びれた片田舎の農村をわざわざ訪ねる人もいない。


 あたしは隠れていた家から親の制止を振りきり飛び出して、落ちていた剣を拾い、村の人たちを食らっている魔物に斬りかかった。


 その時のことは無我夢中だったが、ハッキリと覚えており、初めて剣を手にした瞬間自分に扱える素質のようなものがある事を感じた。


 そして物語の騎士のように魔物を倒す事が出来て、村を守ることが出来た。


 村の人たちの反応は様々だったが、多くの人は肯定的で感謝された。親には引っ叩かれて泣かれたが沢山の人が助かって良かった。


 その事がきっかけであたしは冒険者になろうと思った。

 これで退屈な日常から抜け出し、絵本の物語の騎士のように英雄譚みたいな活躍が出来るかもしれない。


 でも実際に王都に赴いて冒険者になるとそれがいかに甘い考えだったか思い知らされた。剣の素質も魔物を倒す力もあたしは全然未熟で依頼をこなす事が難しく、一緒に戦ってくれる人もなかなか現れずに途方に暮れていた。


 そんな時に出会ったのが同じ年頃で同じ様に伸び悩んでいた魔術士の少女ジャスミィだった。


 ジャスミィは魔術士のお師匠様がいて、その人に武者修行の旅に無理矢理放り出されたらしく、あたしと同じ様に冒険者に登録したもののどうしていいか分からず右往左往していたのをボクが声をかけたのだ。


 そしてあたしたちはパーティーを組んで少しずつ依頼をこなして己れの腕を鍛えていた。


 その日もなるべく自分たちにこなせる依頼をと受けたのが行商人の護衛だった。






 その依頼が、あたしたちの運命を大きく変えることになることをまだこの時は知らなかったんだ。











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