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美麗無双

 









「ふう〜、間一髪間に合ったかな」







 澄んだ音の甘い響きの声色が奏でる。




 平緑の褪せた大地に突き刺さり穿つ黒紅の大戦太刀。


 その飾り柄元の上に赤黒の袴から覗く白金具足甲の片足を乗せた神聖さと禍つさを合わせた装束を身に纏う女。


 天からの陽射に照らし出された銀麗の長き絹糸草の髪は眩しく光り煌めいて神秘的な此の世ならずの美しさを醸す。


 長銀の睫毛の下の瞼には、蒼銀と紅金の双眸の瞳が怪しくも弦凛とした輝きを放つ。


 相貌は淡く滑らかで最美の令姫かと思わせ、その艶肌に異国の(まじな)いの入墨が大胆にも露出された肢体を縦横無尽に侵して刻印されている。


 まるで異邦の神に贄として、供物として捧げ祀られた巫女のような清廉さと潔煉さは、神々しい屹然とした姿となり見る者を魅了する。




「……女神様……」


「……綺麗……」



 剣士の少女シーラと魔術士の少女ジャスミィが陶然とした表情で突如出現し危機を救った謎の美女の身姿に魅入られていた。




 ブゥホォオオオオオオッッッッ!!!!




 荘厳な雰囲気を打ち破るけたたましい(いなな)きが空気を震わせ(こだま)する。



 噴飯の怒気を孕ませ、黒針剛皮の鎧の巨体を震わる猪の魔物。鼻息を荒ぶらせて己れの自慢の大牙を叩々(たた)切った輩が華奢な人間如きにと憤慨する。



「えっと…コイツは、確かイモータルボア、だったかな?鑑定してみるか」


 当てられる凄まじい殺気と怒気をものともしない美女は空中で指先を操作する。




 イモータルボア


 ランクC

 種族: 野生種・猪(魔獣)


 野生の猪が闇の影響下により魔物化した。非常に凶暴で巨体からの突進は危険であり討伐優先度は高い。



「思い出した。初期にレベル上げるのと素材集めに狩りまくったな」



 美女はどこか懐かしそうに笑う。


 魔獣と化した猪は後ろ脚を蹴り抜き地面を抉ると怒咆の唸りを放ちながら美女に向かい突進した。



「でも今更じゃ雑魚だな。お前は要らないから」



 つまらなそうに呟く美女が装束の袖口から白い腕から指先を伸ばす。



「喚くな害獣。暗闇よ、我が敵の自在を戒め縛れ、シャドウバインド」


「!?」



 怒号の奔りを出した猪の巨体が突然止まり、忽然とその動きを強張らせる。


 猪の足元から闇色の茨の蔦が無数に繁茂し魔獣の巨躯を雁字搦めに絡め取っていた。


 魔物は茨を引き千切ろうとがむしゃらに踏ん張るが、闇の茨はビクともせず、更に身体に食い込み動きを阻害する。


「素材は確か、黒毛の剛皮と巨猪の折牙だったか。換金素材としても序盤は重宝したな」


 美女はスッと大太刀から降りると右手に軽々しく持つ。


「所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。強き者の糧、要するに俺の所持金の肥やしになれ」


 そうニコリと微笑う美女だが、猪の魔物にはその笑顔は死刑宣告と同じだった。



「魔装剣形態展開『怠惰』」


 黒と赤の刀身の大太刀が闇に包み込まれ、その形を変えていく。


 闇が細くしなやかに変化すると、一本の黒い茶褐色の槍が現れた。



()(うつ)ろう兇魂(まがつたま)終園(ついぞの)


 属性: 土


 猛毒付加 病魔付加 魂砕侵食:対処のステータスを複数ランダムに五十パーセント半減(確率上昇)


 七罪魔剣の形態変化の一つ。螺旋状に捻れた二又(ふつまた)の禍々しい長槍。穿たれた魂は虚無に囚われ、永劫の刻に朽ち果てる。






「我が魔槍は必中の一撃。有象無象の区別なく卑しき輩諸共に撃ち屠らん」





 黒い波動を纏う長槍を高く掲げ、振りかぶる美女。






「オーバードファイナルストライクッッッ!!!!」







 裂帛の気合いが込められ放たれた長槍。


 見る間に白熱気化し、それは加速するエネルギーの塊となる。


 闇の茨に捕らえられた動けない魔物は、迸る閃光とともに呑み込まれ、一瞬で蒸発した。













 後には土が剥き出しになった巨大なクレーターが冷めやらない熱と白煙を上げているだけだった。

















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