異界の神の粋な計らい
なんだか騒がしいなぁ。
周りがやたらとうるさい。
救急車のサイレンがやたらと鳴り響く。
どうやら誰かが事故ったらしい。
ん? なんで俺の周りに集まってるんだ?
んん?? みんなが俺を見下ろしているぞ。
んんん??? これ、俺が倒れてるのか?
あー、なんか思い出した。
俺、車に轢かれたんだ。
ショックのあまりボーとしてて赤信号渡ろうとしてて。アホだなぁ、俺。
あ、俺のスマホが落ちてる。
ふう、良かった。液晶画面には傷は無さそうだ。
だけど残念だな。あのゲーム本当に楽しかったのにな。サービス終了しちゃうっていうんだもんなあ。
あぁ、もっと遊びたいなぁ。やることいっぱいあるんだ。楽しいんだよ。
しょうもないいい歳したおっさんの俺がメッチャハマった超面白いゲームだった。
あー、なんか眠くなってきたわ。
だめだぁ、起きてられん、わ……
不運な最後を遂げたおっさん。
その最後を見ていた気まぐれな異界の神がいた。
「ふーん、そんなにそのゲーム面白いんだ。
死の間際までゲームのことで頭ん中いっぱいだね。
よーしよし、それじゃそのゲームの中に転生させてあげようかな。
えーと、"ダークネスセブンズソード"だっけ?
内容は……ふむふむ。まあ、詳しいことは後回しでいいか。
面倒いから彼が使用してたゲームのデータそのままでいいよね。
ポチポチっと。
サクっと済ませないと向こうの神に気付かれたら面倒だからね。
よしよし。これでO K。
異世界転生楽しんでね」