INTERLUDE
私は立っている。
一本の綱の上に。
依って立つには余りにも細い綱の上に。
その綱の、
右には生が、左には死が見えている。
どちらへ落ちても、その落ちた先で私はまた新しい綱の上に立ち上がる。
立っては落ちて、落ちては立って。
生きているときも死んでいるときも、
延々とそれを繰り返す。
前に進んでいるつもりが、いつの間にやら横へ横へ、下へ下へ。
昔は宇宙が無重力空間だってこと知らなくて、宇宙に放り出されたら永久に落ち続けるって思ってたけど。
案外間違ってなかったのかも。
落ち続けてんだけど、自分ではわかんないんだよね。風景が変わんないから。
普段意識しないから。自分がいつも選択っていう綱の上にいるってことは。
余りにもその綱が細いもんだからさ。気づかないんだよね。その上に立ってるってことは。
けどほんとはそう。みんなそう。男も女も、動物も植物も。
選択はいつも、強制と意志の間にある。私たちは、選ぶことを強いられる。けれどその中で、何かを選ぶこともできる。
その間で私はいつもフラフラしてる。でもそれが私。右と左、生と死の境界に接しながら、その間の綱に立っているもの。それこそが私。私は私。誰にもそれは譲れない。