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凡人以下の俺に異世界でチートスキルがあったら奇跡だと思います。  作者: 羽矢隼
第3章 俺は異世界で役目を果たす。
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 出発

 久しぶりの更新です。

 魔王退治当日


 朝露が葉を()らし、朝日で輝いている。

 まだ朝日がでているにしても、寒さを感じる。時折吹く風が、頬を打つ。

 寒気で鳥肌が立つ。この寒気が、ただの寒さによるものなのかは判断しかねる。

 これから起こることを予言しているのかもしれない。


 今日こそ待ちに待っていなかった魔王退治の日だ。

 背中には一本の剣。鎧は重かったので着けてはいない。しかし、完全な戦闘着だ。

 素晴らしく行きたくない。しかし、そんな弱音は吐けない。

 なぜなら……


「気を付けてね! 絶対帰ってきてね……」


 上目遣いにこんなにいとおしいセリフを言っているのは、現在俺の妻であるカリーナである。

 彼女の持つ紅い瞳はこの世界では差別の象徴だ。その元凶が魔王なわけだが。

 しかし、魔王さえ倒せば俺がこの国の王になれる。

 そうすれば、差別の撤廃だって楽になるだろう。

 そんな理想があるからこそ、俺は退けない。


「ああ。任せておけって」


 軽い感じで対応するが、実際はかなり緊張している。というかビビってる。

 しかしまぁ、そんな様子は見せらんねぇから。

 俺は必ず生還する。だってまだ、カリーナとあれやこれやをやってないもん!

 

 雰囲気をぶち壊す思考をしている俺だったが、もう出発するということで、気合いを引き締める。


「じゃあ、行ってくる」

「行ってらっしゃい」


 俺が手を振ると、カリーナも笑顔で返してくれた。

 この笑顔をもう一度見るために、俺は戦わなくてはならない。

 出発すればもう退けない。後戻り出来ない。逃げ出した腰抜けなんてレッテルを貼られるわけにもいかない。

 覚悟を決め、一歩を踏み出した。


 先ほど頬を打っていた冷たい風が、身体の横をすり抜ける。

 もう冷たいとは思わない。なぜなら、それ以上に身体は温かかったから。


 さぁ、出発だ。


「帰ってきたら伝えたいことがあるんだ」

「必ず帰ってきてね」

 

 近くにいたカップルらしき二人の会話だ。

 おもいっきりデスフラグ立ててますが、大丈夫かな?

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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