2話 決着
ドカン、と、大きな爆発音が響く。
キーン、と、耳鳴りが続く。爆煙が収まると、そこには片足が弾け飛び、虫の息のテツヤと、横たわる巨大ゴブリンがいた。
「テツヤ!大丈夫か!?今すぐ上につれてってやる!」
「あ、あぁ……。しかし足を一本持ってかれちまった。」
「心配するな!片足でも生きていけるし、俺たちがなんとかしてやるよ!」
「エリナ、ソンヒョンは意識が戻ったか!?」
返事がない。
「エリナ!どうしたん……」
振り返る鞍馬を大きな影が覆う。
「こ、こいつまだ生きてるのか……。」
「もうダメだ……。」
ヨロヨロと膝立ちになりながらも、身体を起こす巨大ゴブリン。
「お前たち、今すぐ逃げろ……。」
テツヤは、力なく呟く。
しかし鞍馬は咄嗟に剣を拾う。
「エリナ!今すぐ逃げろ!テツヤは殺させない!」
斬りかかるが、簡単にいなされ、張り倒されてしまう。
「エリナ!早く逃げろ!」
エリナは恐れていた。今までにみたことのない巨大なゴブリンが仲間を蹂躙する姿をみて、絶望の淵に立たされていた。
しかし、自分より弱いはずの鞍馬が、自身を庇いながら勇敢に戦う姿をみて、ある覚悟を決めた。
「違う!鞍馬!今すぐランプのオイルをこいつにかけて!いいから早く!」
鞍馬は、言われるがままにランプのオイルを取りに走る。巨大ゴブリンに一撃は貰ったが、膝立ちであったこと、かなりのダメージを与えていたことで、それほど堪えてはいなかった。
エリナは剣を拾う。ジュウウウ、と、高熱を持つ剣の柄に手の皮膚を焼かれる。剣が発火すると、エリナの手にも着火する。
鞍馬が巨大ゴブリンにオイルをかけると、エリナは迷わずに斬りかかった。
剣は巨大ゴブリンの頑強な皮膚に弾かれ、床を滑る。斬撃によるダメージは残らなかったが、火の手は回り、オイルのかかった。巨大ゴブリンは火に包まれた。
「ギギ、グギギギ!」
しかし巨大ゴブリンはそのまま両手にそれぞれ鞍馬とエリナの首根っこを捕まえると壁に押し付けて締め上げる。
「ク…ソ……まだこんな力が……。」
「もうダメだ……。」
鞍馬の意識が途切れかけた時、エリナが呟く。
「ねぇ鞍馬……」
ドン!と音が鳴る。鞍馬が視線を上げると、ゴブリンの側頭部に金属製の矢が刺さっている。
それは瀕死のテツヤが力を振り絞って放った、ユミコが装備していたボウガンのボルトであった。
ボウガンは、通常のゴブリンなら頭を粉々にして反対側の壁に傷を付ける程の威力を持っているが、巨大ゴブリンには矢が半分程刺さるだけであった。
巨大ゴブリンは二人を締め上げる力を緩めない。
「こ、こいつ……化物か……。」
「テツヤ、俺もこいつのルックスは化物だと思うね。」
巨大ゴブリンの脳天を戦闘斧が割る。
巨大ゴブリンの手から力が抜け、エリナと鞍馬が解放される。
「ゴホッ、ゴホッ、ソンヒョン!!!」
「意識を取り戻すのがおせえよ……。」
「気を失ってたから一部始終を見てないけど、話し合いの途中ではなさそうだったからね。」
意識を取り戻したソンヒョンは、マサトの戦闘斧を拾い、構造上筋肉の付かない脳天を目掛けて斧を降り下ろしたのだった。




