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異世界残酷冒険物語  作者: モンゼツナカチョー
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2話 広間

書き溜めがなくなりかけているので、更新頻度を2日に1度にします。楽しみにしてくれている人がいるとしたら、すいません。



「待って、冒険者が全滅してるようなところに行くのは危険じゃない?」


エリナが諌めるが、テツヤは聞く耳を持たない。


「いや、一ヶ所で全滅するってことは何かあるってことだろ。ゴブリンだったら乱戦になるはずだし、どう考えてもおかしい。どうせ殲滅しなきゃいけねえし、そこは避けては通れねえよ。」


「おいフィルアニア人、とっととそこへ連れて行きやがれ。」


と言って乱暴に張り手をする。


暴れるアレスを無理矢理に案内させる。


上のダクトを警戒しながら廊下を歩く。


右手に大部屋の入り口が見える。


中を覗くと、かなり広い部屋で、モヤシの様な植物が栽培されている。


「あの部屋はなんだ?」


テツヤが尋ねる。


「あそこは、恐らくゴブリンの食糧を生産している。他にも、ジダニブタを育ててる牧場みたいな部屋もあった。」


ジダニブタとは、フィルアニアのジダニ地方によくみられるブタの種類で、暗い洞窟の中等に生息する、豚の種類である。


普通の豚と比べて細く、暗闇に慣れているため目が退化し、運動しないため足も短い、が栄養価は高く、薬等には使用されることはあるが、細いため食べれる部分が少ない上に固く、味は悪いため人間はあまり食べない。


「ゴブリンて巣の中に牧場とかつくるもんなの?」


気になった鞍馬が尋ねると、チカが返事をした。


「そんなの聞いたことないね。アレスだっけ?は聞いたことある?」


「俺もない。そもそもこんなに大きな巣も初めてみる。」




一同は緊張したまま、無言で歩みを進める。灯りは鞍馬とソンヒョンのものしかないため、たまに足元が不自由になる。


しかし何かに遭遇したりすることはなく、そのまましばらく歩くと、件の部屋に着いた。


部屋はかなり広め、天井の高い八角形の広間になっていた。部屋の奥には、引き出しのついた大きな棚が1つポツンとある。


その部屋の入り口付近には、冒険者の死体が3つ転がり、辺りには血が飛び散っている。


そして奥には3体、棚の横で三本の弓矢に射ぬかれて壁に張り付いた死体、右奥にも冒険者の死体と、そして左奥にゴブリンの死体が1つが転がっていた。


「酷いな……。」


凄惨の一言であった。


広間に予めついていた照明器具に、ソンヒョンから預かったランプの火を灯しながら、至極慎重に罠を探すグィホン。


「何か毒ガス室になってるとか?」


「こいつらの面をよく見ろよ。吹っ飛ばされてる。部屋の様子や血の飛び散り方を見ろ。明らかに激しい戦闘の後だ。」


「でもこれだけ人間がいてゴブリンの死体が1つさかないのはおかしすぎるよ。ゴブリンの死体だけ片付けられたとか?」


「床に引きずった後はない。何らかの戦闘で人間だけが一方的に殺されたんだよ。それもとてつもない強い力で。」


話を聞かず部屋を注視していたグィホンがナイフを取り出すと、入り口からすぐの空中に向かって振りかざす。


シュババ、と音を立てて、壁から矢が飛び出し、反対側の棚の横の壁に刺さる。


「毒矢矢罠だ。この死体の1つもこれにやられたんだろう。そしてこれは、」


入り口から見て右側の端に歩いていったグィホンが壁を蹴飛ばすと、ドゴ、と鈍い音を立てて、グィホンのすぐ隣に、天井が落ちてくる。


「寄っ掛かったらペチャンコだ。この部屋の罠はそれぞれ左右対称に2つずつついてるんだ。だからこれと同じ罠がこっちにもある。」


反対側に歩いて行くと、同じように壁を蹴飛ばす。


ドゴ、グィホンの言うとおり、左右対称になるように天井が落ちてきた。


「ほら、この罠はよく出来てる。精巧だ。ただ、左右対称じゃわかりやすすぎる。賢いけどバカなやつが作ったんだろうな。」


「おいおい、危ねえじゃねえかよ。」


「……グィホンはすごいな。」


「こんだけ罠があるってことは、この部屋、やっぱなんかあるぜ。」


グィホンは、メンバーの中でも罠を見つける技術や勘はピカ一と言われているだけあって、クールに、的確に罠を発見していった。しばらくして部屋の照明器具にすべてに火を灯し終えると、口を開いた。


「どうやらもう罠は無いようだよ。でも一応奥の引き出しにはまださわらないでくれ。奥のゴブリンと人間の死体には争った形跡がない。罠の様子はないが、怪しい。」


罠の不在がわかると、一同は部屋に入って、またああでもないこうでもないと死体の検証を続ける。


グィホンが引き出しを調べるが、既に荒らされた後で、何も見つからなかった。


鞍馬は、死体検証を忘れ、グィホンの鮮やかな罠の看破、マサトの寡黙だが誠実で便りになる力強さ、チカの気は強いが思いやり深い様、そしてテツヤの圧倒的なカリスマ性、この冒険で触れた仲間の魅力を思い返していた。一緒に生活していたユミコとソンヒョンも、自分を冒険者として育ててくれたエリナも、彼らが何故この仲間に拘り、何故地球人のプライドを保ち続けることに意味を見いだしているのか、この冒険でわかった気がした。。自分も一人前になって、この最高の仲間達と暮らしていきたい。そう心から思えた。


冒険者達の死体を漁っていたエリナが声をあげる。


「見てこれ!」



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